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気になる新作インディーゲームの開発者にインタビューする本企画。今回は、Somi氏開発、PC/Mac向けに1月18日にリリースされた短編アドベンチャー『未解決事件は終わらせないといけないから』開発者へのミニインタビューをお届けします。
本作は、元警官である主人公・清崎蒼が、突然尋ねてきた若い警官と共に、自身のあいまいな記憶をたどりながら未解決となった「犀華ちゃん行方不明事件」を解決に導くアドベンチャーゲーム。日本語にも対応済み。より詳しいゲーム内容については、プレイレポをご覧ください。
『未解決事件は終わらせないといけないから』は、800円で配信中。
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――まずは自己紹介をお願いします。一番好きなゲームは何ですか?
Somiこんにちは。2014年から韓国・釜山で一人でゲームを作っているインディーゲーム開発者のSomiです。『Replica』や『Legal Dungeon』を含む『Guilt』三部作を作り、1月18日には本作をリリースしました。好きなPCゲームを挙げるとすれば、『Papers Please』や『The Return of the Obradin』など、Lucas Pope氏のすべてのゲームですね。彼は間違いなく私の中でナンバーワンの開発者です。
――本作の特徴を教えてください。また、そのアイデアはどのように思いついたのでしょうか?
Somi本作最大の特徴は、プレイすることで安らぎを得られることだと思います。世界はますます二極化し、政治的・社会的見解の異なる人々、自分が属しているグループ以外の人々に対する憎悪や嫌悪が渦巻いている時代です。一日をやり過ごすだけでも大変な苦痛だと思います。このような世の中であっても、他人を理解し、思いやり、親切であろうとするすべての人に癒しを与えたいと思ったのです。
――本作の開発にあたって影響を受けた作品はありますか?
Somi主に小説からインスピレーションを受けています。ゲームのクレジットにもありますが、韓国の小説家キム・ヨンスが書いた「濡れずに水に入る方法」からインスピレーションを受けました、 この小説は、他人に対する無条件の優しさについて書かれています。また、ミステリー部分では三木彦連蔵の小説「白光」から、ドラマティックな部分では東野圭吾の小説「新参者」から多くのヒントを得ました。
――本作の開発中に一番印象深かったエピソードを一つ教えてください。
Somi自分ひとりでゲームを作っていると、本当に良いものかどうかわかりませんし、みんなに飽きられないか心配になります。自分の作ったゲームが面白くないと思っていた矢先、翻訳者に送ったところ、翻訳してくれた人たち全員が、まるでお互いが話を合わせているかのように「プレイして泣いた」と言ってくれました。それで、もしかしたらチャンスがあるかもしれないと思ったのです。それが一番印象に残っていますね。
――リリース後のユーザーのフィードバックはどのようなものがありましたか?特に印象深いものを教えてください。
Somi実は私は自分のゲームのレビューをほとんど読みません。ゲームを通して自分を表現するのが私ですし、それをどう受け止めてどう解釈するのかはプレイヤー次第です。また、私は自分のゲームの否定的なレビューに怯える傾向があるのですが、本作の場合、ほとんどのレビューがとても良いものだったので驚きました。「このゲームはプレイした後、私の心に何かが残りました。」というレビューをいくつか見ましたが、こういったレビューが一番好きですね。
――ユーザーからのフィードバックも踏まえて、今後のアップデートの方針について教えてください。
Somi私は常に新しい遊びやストーリーを考え出そうとしています。次のゲームでは、プレイヤーを驚かせ、同時に満足させたいですね。
――本作の配信や収益化はしても大丈夫ですか?
Somi配信も収益化も、まったく問題ありません。
――最後に日本の読者にメッセージをお願いします。
Somi本作の日本語訳は、友人のイ・ゴンとフリーランス翻訳家のMasa Keiが担当しました。特にMasaさんには、翻訳だけでなく、日本のゲームメディア環境をまったく知らない私のために販促物を作成していただき、様々なプロモーション活動をサポートしていただきました。この場を借りて、Masa Keiさんにお礼をさせてください。
また、私のゲームを気に入ってくれた皆さんに、心から感謝します。自分にはゲーム開発の才能がないのではないか、このゲームの後に何か他のことを探さなければならないのではないか、と思っていた時に、日本のプレイヤーの皆さんからの分不相応な応援が本当に嬉しく、励みになりました。これからもいいゲームでお返しします。ありがとうございました。
――ありがとうございました。
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本連載は、リリース直後のインディーデベロッパーにメールで作品についてインタビューする連載企画です。定期的な連載にするため質問はフォーマット化し、なるべく多くのデベロッパーの声を届けることを目標としています。既に700を超える他のインタビュー記事もあわせてお楽しみください。