岩手でもっともっと楽しいことをやりたいし、イベントを通じて“コミュニティ”の交流の場を広げていきたい―東北最大持ち込みゲームイベント「G019サミット」代表インタビュー | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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岩手でもっともっと楽しいことをやりたいし、イベントを通じて“コミュニティ”の交流の場を広げていきたい―東北最大持ち込みゲームイベント「G019サミット」代表インタビュー

岩手県で東北最大級の持ち込み型ゲームイベントが開催されました。

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岩手でもっともっと楽しいことをやりたいし、イベントを通じて“コミュニティ”の交流の場を広げていきたい―東北最大持ち込みゲームイベント「G019サミット」代表インタビュー
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岩手eスポーツ協会は、2024年5月24日から26日まで東北最大持ち込み型ゲームイベント「G019サミット」を、岩手県・安比高原にて開催しました。

参加者がPCやゲーム機などを持ち込んでゲームを楽しむ”LANパーティー”や”コスプレ”、”ボードゲーム”など、さまざまな遊びが詰まった「G019サミット」は、多くのコミュニティが集まり、大いに盛り上がっていました。

Game*Sparkでは、主催である岩手eスポーツ協会代表・遠藤徹也氏にインタビューを実施。イベントやeスポーツ、コミュニティへの思いなど、さまざまなことをお答えいただきました!

「岩手にもっと楽しいイベントを」

今回インタビューに答えてくれたのは、岩手eスポーツ協会代表の遠藤徹也氏。盛岡市出身で、元外務省職員などの経歴を持つ同氏は、eスポーツなどを通じて岩手県を盛り上げるべく活動しています。

――まず、岩手eスポーツ協会について、その成り立ちについて教えて下さい。

遠藤徹也氏(以下、遠藤氏):元々ぼくは岩手の出身で、20代後半くらいまで県外や海外で仕事をしていたんです。それで岩手に戻ってきたときに、なにか「岩手で楽しいイベントをやれないかな」と思ったんです。それがきっかけですね。

2018年頃に、関西でeスポーツ施設を作るという人にお会いしたんです。その頃にコナミの『ウイニングイレブン』シリーズなどがeスポーツ界隈で盛り上がり始めているというお話をうかがって、ぼくらもなにかイベントや大会などを開催してみようかな、と思いました。そして、2018年12月に早速『ウイニングイレブン』の大会を開催しました。

これがきっかけになって、当時まだ岩手にeスポーツの組織がなかったので「eスポーツ協会」を設立しました。

――これまでの協会の主な活動について教えて下さい!

遠藤氏:最初は、2018年に地元のリサイクルショップで『ウイニングイレブン』『ストリートファイターV』の大会を開催しました。一回の大会ではなく、月一で開催するリーグ戦で「(事実上)岩手最強を決める」みたいな形式でしたね。

当時はまだ岩手でeスポーツの認知度は高いものとは言えなかったのですが、活動を重ねている内にいろいろな人から「体験会をやれませんか」などのお話をもらえるようになりました。その中で障がい者や高齢者の方々や学童など、さまざまな場所や人々を対象にした交流会や体験会も行っています。

そして、2019年に「C4LAN(日本最大級のLANパーティー)」の代表である小林泰平さんとお会いして、実際にイベントに参加することになりました。その回に岩手県のPRブースも参加することになっていて、そこで「見に行くだけじゃつまらないな」と思い、協会としてもブースでお手伝いさせてもらったんです。ここで岩手県との繋がりもできました。

岩手県とC4LANの繋がりがきっかけで「岩手でも同じようなLANパーティーをやれたら面白いんじゃないか」と思ったんです。そして、2019年に、このG019サミットの第1回をスタートさせたんです。

今回のポスター。イベントが満載です。

――大規模なゲーム大会はもちろん、小学生を対象にしたイベントや、介護施設でのゲーム体験など、とても幅広い層へゲームの楽しさを伝えていると思います。協会の理念について教えて下さい。

遠藤氏:そうですね。まず、シンプルにeスポーツなどゲーム全般で「岩手県が盛り上がってくれればいいな」という想いが根本的にあるんです。とにかく面白いことをやりたくて、大会などのイベントをやっています。

でも、大会でゲームにあまり触れていない方から「eスポーツってなんですか?」と聞かれることがありました。また、2019年に国体の文化プログラムとしてeスポーツが加わったのですが、岩手県庁の担当の方から「学校にポスターを貼れない」などのお話もありました。これは、まだまだeスポーツへの理解や認知の関係でも仕方なかったとは思います。

それで「どうやって(eスポーツというものを)理解をしてもらおうか」と思い、とにかく間口を広げて活動を行うことにしました。機会があればどこにでも行くよ、と活動していく中で障がい者や高齢者にも楽しんでもらい、交流や社会的な意義にも繋がりました。このあたりは、実地体験で学んだことも多いですね。

――日本チームの活躍など、eスポーツ界隈はますます盛り上がりを見せています。協会としては界隈を盛り上げるため、今後どのような活動やイベントを行っていく予定でしょうか?

遠藤氏:ぼくとしては、この安比高原での「G019サミット」が、eスポーツ界隈を今後盛り上げていくこと、継続させていくための重要なポイントだと思っているんです。

ゲーム大会などを開催していて気付いたんですが、どうしても大会が終われば参加してもらっても解散して「そこでおしまい」になってしまうことが多いなと次の大会には参加しない人なんかも多く、1年間やったとして100人参加したら10人残るかな、くらいの感じですね。

そこで人を残すために考えたのが人と人とのつながり、“コミュニティ”を作るということでした。第1回のサミットを行ったときに、当初は「1タイトルごとに30人集まるなら10タイトルで300人集めよう」と考えたんです。実際はそこまで集まらなかったですが、それでもタイトルごとの“コミュニティ”が生まれたんです。

その結果として、G019サミットは半年ごとに開催しているんですが、“コミュニティ”で「半年後にまたここで集まろう!」みたいな話になっています。それはゲームだけでなくコスプレやカードなどそれぞれのもので、このサミットだけでなくSNSなどでも繋がっていますね。

ぼくたちも定期的に懇親会などを開催していて、そこに色々な“コミュニティ”が参加してくれています。そうやって色々な“コミュニティ”が集まる、もっと大きな“コミュニティ”を作れているし、おかげで色々なイベントを開催できていると思います。

なので、今後も色々なイベントを開催する中で人と繋がりが持てるようなものを心がけています。その中で、なるべく“コミュニティ”のためにもオフラインで色々な人と交流したいなと思っています。

――オフラインイベントが繋がりを作るということですね。今後なにか大きなイベントも予定していますか?

遠藤氏:そうですね、オンラインでしかやれないイベントがあることも理解してますが、いずれオフラインで楽しめることになれればいいかな、とは思っています。

サブカルチャーの好きな人ってコンテンツへの熱量が高いと思うんです。その熱量って素晴らしいもので、県外であってもイベントに参加してくれたり。結束力の高さもすごいと思います。そういう方々のためにも“コミュニティ”の場を作っていくのが大切だと思いますね。

eスポーツを通じて障がい者の方をサポートするePARAさんという団体があるのですが、昨年この団体と協力して安比高原で格ゲーを楽しむイベントを開催したんです。それを今年も秋に開催予定ですね。11月に次回の「G019サミット」も開催します。これらが大きなイベントで、もちろん協会としては他にも色々なイベントもどんどん開催していきます。

あと、まだ先の話ではあるんですが、2026年に岩手県北上市の都市開発事業の一環としてeスポーツ施設が作られるのですが、協会はこの事業に参加しています。岩手で本格的なeスポーツ施設はなかったので、これまでぼくたちが見てきたものや、他県のケースを分析していかねばならないな、と思っています。

――ちなみに、協会のみなさんのゲームの腕前はどれくらいでしょうか?

遠藤氏:初期メンバーで言うとゲーム好きであってそんな上手くはないと思います(笑)。自分も『Apex Legends』なんかも好きですが、全然プロ級とかではないですね。

でも、協会の活動が続いていく中で、元プロプレイヤーなどのスタッフも参加するようになってくれていますね。そういったスタッフのお陰で、配信や人脈などゲーム関係の役割をしっかり分担できていると思います。

――岩手eスポーツ協会のスタッフ数はどれくらいの規模なのでしょうか?

遠藤氏:協会発足当時は2人でスタートしたんですが、今は14人体制で行っています。今年の春から運営をメインで行う正会員と、イベントなどを手伝うサポーターという会員制になっています。人数としては正会員は7人、サポーターが7人ですね。

好きなことができる空間で“コミュニティ”を盛り上げたい

――G019サミットについて、成り立ちや経緯について教えて下さい。

遠藤氏:先ほどもお話しした通り、岩手県やC4LANなどと繋がれたことが大きなきっかけになっています。イベントをやりたいと思ったときのタイミングも良くて、イベントから帰ってきてすぐに、たまたま安比高原のイベント担当の方から「なんかイベントできないかな?」というお話をもらったんです。

それで、担当の方にC4LANの資料を見せて、これ「実際にやれるんじゃないか?」となり、スケジュールを含めて担当の方と話を進めていきました。そして、2019年11月頃に第1回イベントを開催したんです。

――会場の安比高原はトレッキングやスキーなどで有名なリゾート地ですが、この場所に決まった理由はどのようなものでしょうか?

遠藤氏:どうしてもC4LANのようなイベントをやりたくて、最初は盛岡にある施設などを思い描いてたんです。でも、そのタイミングで安比高原のイベント担当からのお話をいただいたことで、驚くほどすんなり決まったんですよ。

――遠藤さんが参加したC4LANが2019年5月で、第1回G019サミットが11月開催と驚くべきスピーディーさですね。元からの繋がりや準備などもあるのでしょうか?

遠藤氏:いや、これが本当になくて、初対面だったんです(笑)。安比高原の担当者の方が今も担当してくれてますが「eスポーツでなんかできないか」って提案してくれたんです。

それで、色々な設備を考えると他の会場で今と同じような規模にするのは難しいなとなっています。現在のような3Days開催である以上は宿泊施設も考えなければならないのですが、安比高原にはホテルが有るのも大きいですね。

――温泉もありますからね。そこはC4LANでも難しい、この会場ならではの有利なポイントだと思います。

遠藤氏:それは小林さんにも言われましたね(笑)

参加している“コミュニティ”の中にはホテルだけでなく、高原にあるペンションを借りている人達もいるみたいです。

――それは絶対楽しいやつですね!

遠藤氏:(笑)

――毎年数百人が参加しているイベントの魅力を教えて下さい!

遠藤氏:「好きなことができる空間なこと」ですね。ビデオゲームだけじゃなくカードゲームやコスプレなど、いろいろな要素が詰まっていて、このイベントを通じて繋がりが増えていくことが魅力だと思っています。

去年からサミットを開催していない時期に飲み会を開催しているのですが、そこに多くの人々が参加してくれてるんですね。こういった人々はどんどん繋がりが強くなっていて、(サミットが開催される)半年ごとの出会いだけじゃなく、定期的に会えるような場を作れていると思います。

それと、安比高原という土地だからこその「自由度」もあるかなと思います。C4LANの小林さんとも色々お話したのですが、C4LANは町中で開催するんですね。G019サミットは車などが必要になるアクセスが決して良くない場所ですが、小林さんが「逆にそれがいいよね」と言ってくれました。

遠方から参加してくれた人などからは「こんな苦労して到着したよ!」とか「こんなものを食べたよ!」「温泉入ってるよ!」みたいな情報を発信してくれて嬉しいですね。来てくれているだけでも嬉しいのに、遊べる空間として、大人として喜んでくれていることが本当に嬉しいです。

イベントは当初1Daysでしたが、今はC4LANと同様に3Daysになっています。長時間のイベント空間になったからこそ、限られた時間の中で楽しんでほしいなと思います。自由な空間と場所を通じた繋がりができることが、最大の魅力だと思っています。

――“東北最大のLANパーティ”であるG019サミットが岩手県で開催されているのは、岩手在住の人間としても喜ばしいことです。参加者の方々は、やはり岩手県の人が多いのでしょうか?

遠藤氏:そうですね、今だと岩手県の方が85%くらいの比率で参加しています。その他も東北の方が多くて、青森や秋田の人も多いみたいです。

割合で言えば、イベントを重ねていく内に岩手の方が増えてくれているのが印象的ですね。最初はどうしてもLANパーティーというものがあまりわからない人が多かったみたいで、じょじょに県内で浸透してくれているのを感じています。LANパーティーとしてのブランディングを低くしないように、チケットの設定などの面でもも苦労していますね。

――2020年はコロナ禍などもあり、イベント運営で大きな混乱もあったと思います。LANパーティーなどのイベント運営の上でどのような苦労があったのでしょうか?

遠藤氏:2020年5月のイベントは一度中止しています。この時はコロナについての対応などもまだまだわからず、当時まだ岩手で感染者がいなかったこともあり、イベントを開催していいのかわからないと思ったんですね。

でも、このまま止めていたら「このイベントが一回だけで終わってしまう」と思いました。そこで、安比高原ホテルなどと協力して万全な対策を立てたのですが、その上で「果たして人がどれくらい来てくれるんだろうか?」という不安もありました。

でも、スタッフが「20人でも30人でもいいからやろうよ」と言ってくれて勇気をもらいました。それでホテルと協議して2020年11月に第2回サミットを開催することができました。来場者はどうしても減少しましたが、万全の体制で望んだこともあり、感染者もなかったですね。本当に良かったです。

こんな状況でも参加者が来てくれたことで、我々としてもイベントは継続していこうと決意しました。波もありましたが人も増えてきて、イベント規模も大きくなっていったと思います。開催するかどうか、対策はどうするかなど、色々と協議面での苦労はありました。でも、ありがたいことにこれまでクレームなども無く運営できています。

――イベントに多くの地元スポンサーが集まって「地域とeスポーツ」の融合ができている印象です。精力的な活動が評価されていると思いますが、地元との繋がりはどうなっているのでしょうか?

遠藤氏:今は協会におよそ50社を超えるスポンサーが付いてくれていますが、全部岩手県内の企業なんです。「岩手を盛り上げたい」という我々の活動実績を評価してくれている企業、eスポーツを応援したいという企業で、とてもいい関係が築けていると思います。

――盛岡の老舗ケーキ屋なども参加しているのに本当に驚きます。

遠藤氏:協会の営業をしている人間が、その人脈などを活かしてさまざまな協力体制を作り上げています。そのおかげで多くの企業から協賛をいただいています。

――最後に、全国ならびに東北のゲーマーたちに熱いメッセージをお願いします!

遠藤氏:先程も言いましたが、ぼく自身は決してゲームが上手いわけではありません。でも、誰にでも好きなものを長く続けてほしいと思いますし、もし、何かが上手くなくても必ず役割はあると思っています。その中でコミュニケーションツールとしても、色々な人と繋がっていければいいなと思います。

一方で悩みを抱えて、それで(好きなことを)やめてしまう人もいると思います。ぼくは小学生の親御さんなどにも伝えるんですが、メリットもデメリットも正しく知ってほしいなと。その上で長く続けるために上手く楽しく付き合ってほしいなと思っています。

ぼくらは「楽しくゲームができる」というものをサポートするためにもイベントを開催してますし。東北中でLANパーティーなどのイベントが増えれば嬉しいですね。先月から「Fighters Crossover」という『ストリートファイター6』のコミュニティ対戦会が岩手でも開催されていますが、青森と秋田でもスタートするんです。

こういった交流の場が広がっていけば、もっともっと東北のeスポーツ界隈としても、“コミュニティ”としても、ますます盛り上がって行くんじゃないかなと思います。

――ありがとうございました!


イベントにかける情熱や、さまざまな交流を通じて広がっていく“コミュニティ”の繋がりなど、遠藤氏の強い想いが伝わってくるインタビューでした。「G019サミット」ではその想いを実現するように、多くの人々が集まり、思い思いの遊びや交流を楽しんでいました。

Game*Sparkでは、2024年5月24日から26日まで開催された「G019サミット」の体験レポートも掲載しています。東北最大級の持ち込み型ゲームイベント、参加して盛り上げてみませんか?

《Mr.Katoh》

酒と雑学をこよなく愛するゲーマー Mr.Katoh

サイドクエストに手を染めて本編がなかなか進まない系。ゲーマー幼少時から親の蔵書の影響でオカルト・都市伝説系に強い興味を持つほか、大学で民俗学を学ぶ。ライター活動以前にはリカーショップ店長経験があり、酒にも詳しい。好きなゲームジャンルはサバイバル、経営シミュレーション、育成シミュレーション、野球ゲームなど。日々のニュース記事だけでなく、ゲームのレビューや趣味や経歴を活かした特集記事なども掲載中。

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