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Game*Sparkと4Gamerは6月30日(日)、「とにかくゲーム業界で働きたい!」と志す学生の皆さまに向けた就活イベント「キャリアクエスト ~冒険者から専門職へ~」を開催します。
本記事ではこちらのイベントにあわせて、実際に現場で働いている方に質問を投げかけた“ゲーム業界を目指す学生のためのインタビュー”をお届けします。
今回のインタビューのお相手は、「株式会社バンダイナムコエンターテインメント」で働く青山早紀さん。バンダイナムコエンターテインメントは『鉄拳』『機動戦士ガンダム』『テイルズ オブ』シリーズなど数多くのIPと幅広いジャンルのタイトルを展開しています。
なお、本記事はGame*Sparkと4Gamerによって共同制作された連載記事となります。
「キャリアクエスト ~冒険者から専門職へ~」公式HP楽しそうなことに飛び込んで、しっかり面白がる
――自己紹介をお願いします。
青山早紀(以下、青山)CE事業部第3プロダクション1課チーフの青山早紀です。入社は2017年で、大学では文学部で日本文学を学んでいました。
――現在はどのような業務を担当されていますか。
青山『鉄拳8』のマーケティングとeスポーツを担当しています。私が所属するプロダクション部門は「なんでも屋」だと思っていて、ゲームの情報をどこでどう発表するか、といった大枠のプランの組み立てから、SNSの投稿やプロモーションビデオ作りなど、お客様が喜ぶことを考えつつ、ゲームを一人でも多くの方の手に取っていたためにやれることはなんでもやっています。
実は、『鉄拳』はプレイヤーの95%以上が海外ユーザーなんです。そのため海外のeスポーツイベントも多く、eスポーツの仕事としては、1年間かけて世界で行われる「TEKKEN World Tour 2024」という弊社主催のトーナメントサーキットなどに関わっていますし、「EVO 2024」にも行く予定です。
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――バンダイナムコエンターテインメントへの入社を志したきっかけは何だったのでしょうか。
青山もともと、就活の際は漠然と「楽しい会社で働きたいな」と思っていたので、エンタメ業界にはある程度の興味はありましたが、実を言うと、最初はあまりゲーム業界に入るつもりはありませんでした。
大きなきっかけは、大学の企業説明会にバンダイナムコエンターテインメントの人事担当者が来たことです。
その説明会は複数社が集まっていたのですが、そんな中、バンダイナムコエンターテインメントは他の企業と比べてもすごく明るく楽しそうで、エンタメ企業らしさを感じました。面接でも、面接官の方々が少年・少女のような遊び心を持った方が多く、「この人たちと働きたい!」と率直に思いました。
――学生の頃学んだことや経験したことは、ゲーム業界でのお仕事にどのように活きていると感じますか。
青山私は大学ではアウトドアサークルに所属していて、サークルのメンバーと、登山やケイビング(洞窟探検)、無人島にサバイバル、カヌーなど、アクティブに活動していました。当時から、いろんなエンタメにアンテナを張って、楽しそうなことには積極的に飛びついて、どういう企画にしたらもっと面白くなりそうかといったことを考えていました。私たちの仕事は、ユーザーをどう楽しませるかを考え、実行する仕事なので、そういった面では「楽しそうなことにどんどん飛び込んでいって、しっかり面白がる」経験は、今の仕事にも通じる大事なメンタリティなのかなと思います。
――入社1年目はどのような教育を受け、どのような知識を学ばれましたか。
青山入社一年目はプロモーションの部署で、家庭用ゲームタイトルの宣伝業務を担当しました。弊社では、入社1年目はインストラクターという指導係の先輩がついて業務を一緒に進めます。プロモーションの業務は、タイトル公式Xの運用や公式サイト作成、プロモーションイベントの実施など、お客様に一番近く、ゲームの面白さを伝える仕事です。入社一年目は、そういったお客様へのアウトプットを何度も試行錯誤しながら、タイトルの魅力を伝える一連の業務を経験しました。そこで初めて、エンタメを発信する側の難しさや楽しさを身にしみて体験しました。
――バンダイナムコエンターテインメントが手掛けた作品のなかで、特に思い入れの深いものはありますか。
青山やはり『鉄拳』ですね。もともとは名前を聞いたことがあるくらいでプレイしたこともなかったのですが、初出から発売まで関わった分、思い入れが深いです。
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――ゲーム業界ならではのエピソードはありますか。
青山私はある有名タイトルの参戦キャラ発表プロモーションビデオに狂喜する海外ユーザーの動画が好きで、お客様を熱狂させられるような体験を、いつか自分でも提供したい!と思っていました。
『鉄拳8』ではユーザーがどうすれば新情報を喜んでくれるか、と考えながら情報を出していったのですが、情報解禁のたびに皆さんが喜んでくれて、「自分が喜びを提供する側になれた……!」という嬉しさを感じましたね。
自分の仕事を好きになることの大切さ
――入社後、はじめて感じた困難はありましたか。また、それをどう乗り越えましたか。
青山入社したての頃はゲームや業界に対する知識量が圧倒的に足らず、同僚同士の会話についていくのも精一杯でした。当時はあらゆるゲームの最新情報を日々追いかけたり、わからないことは調べたり、プライベートでもゲーム配信者をチェックしたりして、一生懸命知識を蓄えました。
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――ゲーム業界で働く中で、やりがいを感じることは何かありますか。
青山お客様が楽しんでくれている姿を見るのが一番やりがいを感じます。入社したてのころは東京ゲームショウなどを含めいろいろなイベントに行ったのですが、お客様がゲームに熱中して楽しんでいる顔が見られるのはとてもやりがいに繋がりました。現在は『鉄拳8』のeスポーツ大会の白熱した場面で、プレイヤーや観客が熱狂している姿を見るのが、ほぼ趣味のようになっています(笑)。
――人間関係の風通しの良さなど、職場環境についてはどう感じていますか。
青山若手のうちからある程度の裁量権や予算を持たせてくれるので、自分の意見ややりたいことが実現しやすい環境だと感じます。もちろん、そのためにはいろんな準備や議論が必要ですが、上司やチームメンバーがサポートしてくれるので、協力しながら進めることができています。
――他業種と比べて、ゲーム業界ならではの良い点などはありますか。
青山他社で働いている友達の話と比較すると、社員の感性がとても若いなと感じています。さまざまなエンタメに対する関心が高いので、流行っているコンテンツの話をしても上司・先輩・後輩の年齢関係なく話が盛り上がりますし、私の知らない新たな知見をたくさん持っていたり、一般的な会社員よりはエンタメや流行に関する感度が高い思います。
――プライベートの時間はゲームをプレイされますか。
青山仕事の勉強としてプレイすることはあるのですが、あまりガッツリとはプレイしませんね。たまにパーティゲームやスマートフォン向けアプリのカジュアルゲームをプレイすることはありますが、どちらかというとゲームが下手なので……。プレイするというよりは、人気ストリーマーの配信を見たり、『鉄拳』や格闘ゲームの配信者をチェックする時間のほうが多いです。
――一般論として、「好きなものを仕事にすると続かない」というような考え方もありますが、どう考えられますか。
青山好きなものを仕事にしていることはとても素敵だとは思うのですが、「自分の仕事を好きになる」ということが最も大事だと考えています。私はもともとゲームにそこまで強い関心はありませんでしたが、ユーザーやコミュニティ、チームメンバー、社内外の関係者と関わるうちに、自分の担当タイトルや仕事がどんどん好きになりました。
仕事を通じて新たな興味や情熱を見つけることも、とても価値のあることだと思っています。
――今後業務を通じてチャレンジしていきたいことはありますか。
青山『鉄拳8』をさらに多くのお客さんに届けるために、まだまだできることがあるのでチャレンジしていきたいです。また、自分が経験してきた仕事の楽しさや困難さを後輩たちに伝え、彼らの成長をサポートしていけたら良いなと考えています。
――ゲーム業界での就職を志す学生に向けてアドバイスをお願いします。
青山ゲームに限らずさまざまなエンタメや楽しいことにアンテナを張り、積極的に飛び込んでみてください。幅広いエンタメ体験は、ゲーム制作やマーケティングにおいても、新たな視点やアイデアをもたらしてくれるはずです。そして、ただ受け身で楽しむのではなく、「自分だったらどうするか」「どうしたらもっと良くなるか」といった視点も持てるとなお良いと思います。
就職活動は自分の良し悪しを判断される場ではなく、企業との相性を見極める場なので、あまり気負わずに頑張ってください。(そして思いっきり、大学生活楽しんで!)応援しています!
――ありがとうございました!
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説明会での出会いをきっかけにゲーム業界に飛び込んだ青山さんは、持ち前の好奇心を仕事に活かして楽しみながら仕事に取り組んでいることを語ってくれました。その働き方や姿勢は、ゲーム業界を目指す就活生のみなさんにとっても参考になるのではないでしょうか。
「キャリアクエスト ~冒険者から専門職へ~」公式HP