第一次世界大戦サバイバルホラー『CONSCRIPT』は“モンスターが存在しない”のになぜ恐いのか?陰惨でリアルな雰囲気、危険な塹壕探索、残酷な戦闘…古典的かつ新しさも感じる傑作 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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第一次世界大戦サバイバルホラー『CONSCRIPT』は“モンスターが存在しない”のになぜ恐いのか?陰惨でリアルな雰囲気、危険な塹壕探索、残酷な戦闘…古典的かつ新しさも感じる傑作

一介のフランス兵として、行方不明の兄弟を探し出します。

連載・特集 プレイレポート
第一次世界大戦サバイバルホラー『CONSCRIPT』は“モンスターが存在しない”のになぜ恐いのか?陰惨でリアルな雰囲気、危険な塹壕探索、残酷な戦闘…古典的かつ新しさも感じる傑作
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今回はTeam17がパブリッシングを行い、Jordan MochiおよびCatchweight Studioが手掛ける『CONSCRIPT』PC(Steam)版のプレイレポートをお届けします。

『CONSCRIPT』とは

本作は、見下ろし型の2Dサバイバルホラーアドベンチャー。第一次世界大戦を舞台に、プレイヤーは「ヴェルダンの戦い」に参戦した一介のフランス人兵士となり、行方不明の兄弟を見つけ出して残虐な戦争から生還するのが目的です。執筆時点でのSteamレビュー数は337件で「非常に好評」となっています。

特徴的なのは『バイオハザード』などのクラシックに影響を受け、忠実に再現された“古典的なサバイバルホラー”へのオマージュに満ちたゲームプレイと、敵として異形のモンスターやゾンビが存在せず、死体が転がる陰惨な雰囲気の塹壕や兵士たちの残酷な殺し合いなど、暴力と過酷な現実が渦巻く“リアルな戦争の姿”を通して恐怖を描いている点です。ホラージャンルの前提を覆すような新鮮な解釈であり、それらの要素が見事にゲームに落とし込まれ本作の独自性を生んでいます。

ショベルや棍棒、ピストル、ライフル、ショットガンといった豊富な武器を使った緊張感のある戦闘、シビアな資源アイテム管理、ファイルや資料をヒントに解いていく頭をひねった謎解き、敵が徘徊する複雑なマップ、初心者からコアゲーマーまで対応する難易度設定、リプレイ性のあるチャレンジや複数のエンディングなど、サバイバルホラーゲームとしても非常に完成度が高い作品だと感じました。


操作、言語、難易度設定

操作はキーボード&マウスおよびコントローラーに対応。筆者はXboxコントローラーを使用しましたが、エイムにクセがあるため、スティックよりマウスのほうが合わせやすいかもしれません。設定は振動のオン/オフ、エイム感度、キーボードやパッドのボタン割当など細かく決定できます。

本作は日本語を含む各言語に対応しています。気になる翻訳の精度ですが、キャラクターの会話、テキストなどの表現はまったく問題なく快適で、ゲームに没頭できました。

難易度は「訓練兵」「新兵」「兵士」「古参兵」に分かれていて、それぞれベリーイージー、イージー、ノーマル、ハードに相当します。今回筆者は標準難易度でプレイしました。初心者からベテランプレイヤーまで幅広く遊べるよう配慮してあり好印象です。

セーブ方法も「無限セーブ」か「チェックポイント」か選択できますが、ランク取得が制限されてしまうので、やり込みたいプレイヤーは注意が必要です。

本編開始

舞台は1916年の第一次世界大戦真っ只中のフランス。主人公の青年アンドレと弟ピエールは、ドイツ軍との戦いのためヴェルダンに派遣されます。ピエールは戦闘中に毒ガスで負傷したのち復帰してヴェルダン要塞に、アンドレは劣悪な環境の支援壕にいますが、電話線を破壊され司令部からの連絡が途絶えてしまい、かなり混乱している状況のようです。

本作は上から覗き込むような見下ろし型の視点と、緻密に描かれたピクセルアートが独特の緊迫感を生み出しています。

アンドレが待機する支援壕は薄暗く閉塞感が凄まじいですが、仲間と会話したり、アイテムを拾ったりして気を紛らわせます。フィールドには、ポスターや日記などインタラクトできるオブジェクトがあり、ゲームプレイのヒントになるようなものも多数あり見落とさないように注意深く調べましょう。

危険で複雑な塹壕を探索

司令部からの命令で前線を防衛するため塹壕を移動します。外に広がる戦場は、そこかしこに死体が転がっていたり、負傷兵に応急手当をしていたり、PTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症している兵士がいたりと、さながら地獄のような過酷な風景が広がっています。

砲撃を受け吹き飛ぶ通路、容赦なく降り注ぐ銃弾、兵士たちの悲鳴などリアルな戦時下の環境は、圧迫感のあるサウンドと相まって恐怖心と不安感を煽ります。

本作には第一次大戦で使用された多様な武器が登場します。ショベルや棍棒などの近接武器は比較的入手しやすいですが、耐久値があり修理しないと壊れます。一方ピストルやライフルなどの銃器は威力が高い分、動作の隙が大きく敵に攻撃されやすいので、戦況に合わせて切り替えていく必要があります。

戦闘は往年の「タンクコントロール」方式でエイムにクセがあるのと、入手できる弾薬も限りがあり適切に運用しないとすぐに枯渇してしまうサバイバルホラー特有の緊張感がありました。また、機関銃や爆発樽など環境を利用して複数の敵を一気に撃退できたり、白兵戦だけでなく戦略的に立ち回る方法も用意されています。

UIは古典的な作品に影響されたオーソドックスな印象。アイテムは装備のほか調べたり組み合わせたり、ショートカットに割り当てることもできます。プレイヤーの状態もひと目でわかるようになっていて、全体的にゴチャゴチャせず整然として秀逸でした。

マップは手描き風で見やすく、目標地点を自由にマークできなかったのが残念でしたが、複雑な塹壕内を把握するのに非常に役立ちます。

塹壕内は複雑かつ周囲は薄暗く陰鬱で、敵がウジャウジャと徘徊しているのでエリアを行き来する時はほどよい緊張感がありました。加えて、資料などをヒントにパズルを解いて鍵を入手したり、キーアイテムを探したりと、探索は恐ろしくも非常にやりごたえがあると思います。

交錯する異なる世界

塹壕を探索していると、待ち構えていた戦闘員に殴打され気を失ってしまったアンドレ。すると見知らぬ森で目を覚まします。夢か現実かもわからぬまま進んでいくと屋敷にたどり着きました。

どうやらここはアンドレ住んでいる実家のようです。家には祖父のワイン樽や家族の集合写真、ピエールの日記など、知られざる彼らの記憶を知ることができます。

陰惨な現実である塹壕内と、戦争が始まる前のアンドレの記憶を辿り、異なる領域を行き来して物語の背景を体験できるのも魅力です。



本作の良かった点は、印象的なピクセルアートで描かれた雰囲気のある陰鬱な塹壕、制限され管理が必要な弾薬やアイテム、複雑な構造を持ったマップとやりがいのある探索、一筋縄ではいかないパズルや仕掛けなど、古典的なサバイバルホラー要素がふんだんに詰まっていること。また、モンスターを倒すのではなく人間同士の残虐な戦闘は、戦争の悲惨さや残酷な現実を浮き彫りにし、通常のホラーゲームとは異なる恐怖や不安を感じました。過度な暴力描写やグロさもあるので万人にオススメはできませんが、最近の作品の中でも頭一つ抜けた傑作だと思います。

往年のホラーゲームには必ずあった文言


古典的サバイバルホラー体験と新しい解釈が融合した傑作だスパ!




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《DOOMKID》

心霊系雑食ゲーマー DOOMKID

1986年1月、広島県生まれ。「怖いもの」の原体験は小学生の時に見ていた「あなたの知らない世界」や当時盛んに放映されていた心霊系番組。小学生時に「バイオハザード」「Dの食卓」、中学生時に「サイレントヒル」でホラーゲームの洗礼を受け、以後このジャンルの虜となる。京都の某大学に入学後、坂口安吾や中島らもにどっぷり影響を受け、無頼派作家を志し退廃的生活(ゲーム三昧)を送る。その後紆余曲折を経て地元にて就職し、積みゲーを崩したり映像制作、ビートメイクなど様々な活動を展開中。HIPHOPとローポリをこよなく愛する。

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