
インディーゲームが話題になると共に、驚かされるようになるのは開発期間です。かつて、精微なピクセルアートによる幻想的な世界が魅力のアクション『Owlboy』が「開発に9年もの期間をかけていた」という事実を初めて知ったときには驚いたものでしたが、今ではもう開発に5年以上かかるタイトルも珍しくありません。
『OUTRIDER MAKO ~露払いマコの見習帖~』(以下、OUTRIDER MAKO )もまた、そうしたタイトルでしょう。こちらもピクセルアートで描かれたアクションで、少しシニカルさもある和風世界を魅力としたものでした。
Game*Sparkで開発者のあさまど氏にインタビューしたのは2019年のこと。そこからさらに5年が経ちますが、開発は続いています。そんな本作が、いよいよ完成が近づいています。東京ゲームショウ2024のPLAYISMのブースにて、『OUTRIDER MAKO』の現在のバージョンが試遊できました。そこには、初めて本作を知ったときから感じていた期待がそのまま体験できるものでした。

『OUTRIDER MAKO』で試遊を始めた途端に圧倒されるのは、精微に描かれた和の神様の世界。プレイヤーがマコを動かすたびに、まわりに付いてくる神様の兼族から、蠢くさまざまな神々に圧倒されます。シンプルに神社や神様をドットで描いているというものじゃなく、現代のテクノロジーや社会のような感覚が混ざりこんでいるセンスがなんだか面白く感じます。

この世界では神社ではなく“便社”で、主人公のマコは巫女ではなく、神様の以来を受ける“運び屋”として活動していくのです。なので、「和の神様の世界に浸る神秘的な世界」……というものではなく、ある意味で鳥山明氏的なユーモアある雑多な世界観のような印象も与えてきます。

ゲームプレイも単なるトップビューのアクションじゃないですね。マコのアクションはジャンプすると追尾して攻撃したり、そのまま上に乗っかったりできます。
「おいおい、ジャンプでホーミングするのも神様と契約する力なのか」と思わなくもないですが、マコはさらに上から赤蜜をかけ、敵を攻撃したりと多様な行動ができるようになっています。しかし「蜜をまき散らす戦い」というゲームプレイは他に見ないので、プレイしていて妙な質感がありますね。

MMORPGなど今時のゲームでは、サブミッションで「必要な素材を集めろ」系の依頼がよく現われます。しかし、『OUTRIDER MAKO』の場合はそれがちょっと異なります。なんと素材を集めると「一度しっかり梱包してから神様にお届けする」というプロセスを踏むことになるのです。
このあたりが個人的に琴線にかかりまして、なんだか「和の世界で神様の話なのに、現実社会の生活感がある雰囲気」という世界観とゲーム演出が一致してるように感じ、これが『OUTRIDER MAKO』の魅力であると確信しました。オーセンティックなトップビューアクションに見えるところがありながらも、一番の面白さは、このウィットに満ちた世界作りが見た目もゲームも徹底しているところであるように思います。
『OUTRIDER MAKO ~露払いマコの見習帖~』は2025年、Steamでリリース予定。長く作り続けられた和風(なんだけどちょっぴり生活感がある)世界の扉が開かれるのはもうすぐです。










