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知ってました? あの家具の大手企業・ニトリが近年、ゲーミング市場に力を入れ始めているってことに。私は東京ゲームショウ2024(以下、TGS)でブースを出していることで初めて知りました。
ゲーミンググッズはプロゲーマーやゲーム実況といった、新しい職業の登場に伴う新しいライフスタイルとして台頭し、いまやさまざまな分野の人々までゲーミング関連に参入しています。
もう最近は人気芸能人とかアイドルまで高価なデスクトップパソコンを買ったり、それだけではなく自作していたりするケースもあるくらいですから、ゲームはライフスタイルの選択肢として定着しつつある、ということですね。
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そんな時代でも「ニトリとゲーミング」というイメージの遠さはわりと大きいですよ。
やはり安価でシンプルなデザインとモノトーンな家具を提供する印象のニトリは、原色のネオンライトをぎらつかせ、情報量を高めるデザインの傾向があるゲーミングアイテムとは、正直なところ真逆。敬虔な仏僧がEDMで泡パーティ中のクラブに来てるような感じすらあります。
実際、ニトリのブースの展示はブランドイメージ通りシンプル。色調もモノトーンで決められており、ブース担当者によれば「カップルでゲームを遊んで暮らせる部屋をイメージしました!」とのこと。
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聞きましたか? 今から30年前、PCゲーミングとは自作PCでゲームを遊んで『DOOM』などのModを導入したりするユーザーのハードコアな趣味というイメージが強かったもんですが、長い時が経ち、“ゲーミング”はここまで変化しました。
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従来の印象を感じさせるゲーミング部屋のレイアウトも。『モンスターハンター』シリーズを熱心に遊んでいる人の部屋、という感じです。ゲーミングらしい原色ライトも見える形ですが、それでもどこか落ち着いた控えめな部屋な印象を感じるのは、ニトリブランドが為せる技ということでしょうか。
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ブースで面白かったのは「カップルでのライフスタイルに合わせたゲーミングのレイアウト」と「趣味に邁進する独身向けレイアウト」が壁一枚を隔てて提案されていたことです。上記の写真みたいな位置から見ると、まるでなにかの寓話みたいな風景が見えてしみじみしましたよ。
ニトリは2022年からTGSに出展しており、ゲーミング市場への関わりも積極的に行っていくのだそう。特にeスポーツ市場の活況なども大きなきっかけになったそうです。ブースの担当者によれば、ニトリは「トータルコーディネートを推進する企業として、ゲーミング市場ではまだそういう環境が整ってないのではないか」という思いから、参入を決めたと言います。
ニトリではゲーミング用の家具一式を、安価で揃えられることを押し出していきたいとのことです。あとで公式サイトを「ゲーミング」で検索してみると、相当なゲーミング家具が実はとっくに揃っており、あらためて近年のゲーミング市場が拡大した影響を感じさせられました。
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そんなニトリのブースのすぐ隣には、家具業界の競合たるIKEAもゲーミング家具を押し出すブースを展開していました。しかし、IKEAの場合はバリバリのゲーミング的な原色ライトが溢れかえる展示。
「ニトリがライト層向けなら、こっちは “『Apex Legends』でチャンピオンに以外になることがあればすなわち死”くらいのハードコアゲーマーに向けたお部屋を提案するぜ」と言わんばかりなレイアウトの数々を、落ち着いたブースのニトリの隣で堂々とやっている。
これはもう直感しましたよね。ゲーミング市場で家具業界の2台巨頭が戦っていると。往年の任天堂vsソニー、スクウェアvsエニックス、カプコンvsSNKみたいな戦いがゲーミンググッズでも始まっているというということに……。
ん? そもそもこんな往年の2大企業の対立の話をしているような人間に対しては両企業も無視しているのか? これは私の被害妄想か? 被害ってなんで私が感じているのか? まさか「PCゲームはコアなマニアで楽しんでいくのが一番であろう」と思っていた私が、ゲーミングが想像以上に世間に開かれた状態になっているのに戸惑っているのか? 私は誰だ? あなたは誰だ?
ともかく巨大な家具大手企業もゲーミングを取り扱う時代。いろいろ書きましたがこれから安価にゲーム・ライフを充実させる家具を、ニトリやIKEAで買いそろえるのもいいかもしれません。いや、本当に時代は変わりました……。
UPDATE(2024/09/29 12:21): 企業名の誤りを一部訂正しました。コメントでのご指摘、ありがとうございました。