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そこのお前!ココナッツ一個には哲学が詰まっているんだぜ!虚無のシム『Coconut Simulator』で明日を夢見たプレイレポ

ココナッツ。

連載・特集 プレイレポート
そこのお前!ココナッツ一個には哲学が詰まっているんだぜ!虚無のシム『Coconut Simulator』で明日を夢見たプレイレポ
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プレイ後に振り返ってみると、冗談抜きにすべてを説明しきっているストアページ

今回はDynamic Gamesが、2024年11月23日にSteamでWindows PC向けにリリースした虚無のココナッツシム『Coconut Simulator』をご紹介します。

『Coconut Simulator』とは?

ココナッツ──ヤシ科の単子葉植物。「椰子の実」でも知られることでお馴染みの果実ですが、本作において我々プレイヤーは、なんとこのココナッツになれるのです。そんだけ。

いや本当にそれだけなんです。どこぞのビーチで目が覚めたと思ったら私はココナッツで、周囲を見渡せば同じく地に転がるココナッツ同好の士を発見するも、語りかける口はなく、傾ける耳もなく、水平線を遠く望み、ただただ悠久の黄昏に囚われるのです。

プレイしているうちにビーチはビーチでも、もはや『DEATH STRANDING』の世界で佇んでいるような錯覚さえ覚えましたが、さっそくやってまいりましょう。

あと一応ですが、本稿にはネタバレになり得る要素が含まれます。ココナッツに一体何のネタバレがあるんだよ!?というツッコミは重々承知しつつも、出落ち腰砕けゲームは初見でこそ威力がある……という点から一応ご注意まで。

操作・設定・言語について

本作の基本操作はマウスで行います。移動もクソもありません。我々ココナッツの民に許されたのはカメラ操作ただひとつで、設定画面もご覧の通り潔し……まんじりともせず画面に映るココナッツを受け入れ永遠(とこしえ)を過ごしてましょう。地獄かここは。

なお翻訳については若干パンチの効いた中国の香りを感じさせますが、そもプレイヤーが介入できるゲーム内の余地といった可食部(?)が極めて少ないため、特に困ることはありませんでした。

本編開始

改めましてこんにちは、ココナッツです。今日も元気に椰子の実していきます(今考えた動詞)。

とりあえずWASDキーを押しても身動きが取れないのでマウスであたりを見回します。すると、浜辺には他にもココナッツが転がっていることがわかりました。皆さん!ここはどこですか!

しかし声が出ることはありません。だって私はココナッツ。口なんてついてるわけがない。物言わぬ皆さんを前に私の思いは虚空に響くばかりで、穏やかなさざなみはそんな虚しさを優しく包んでしかし冷たく拭い去ります。トップ画面から「アーケード」モードを選択しただけなのに、悠久の砂浜に閉じ込められたのは一体何の咎なのか。

そんなとき画面下部にあるSCOREの数字が、1秒につき1ポイントずつ増加していることに気が付きます。この世界で唯一のゲーム要素をついに発見しました。おそらくこのポイントを競い合って誰が一番のココナッツなのか証を立てるのが本作のコアバリューに違いありません。

いよいよ本作をシミュレーションゲームだと言い張れるこの機能を味方につけたココナッツ(筆者のこと)に向かうところ敵なし、さあどうしてやりましょうか!

8分経過

30分経過

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

4時間経過……どうもこうもありません。ただ1秒につき1ポイント増加していくだけでした。そのうち成長して椰子の木にでもなんのかと目を凝らして表皮の変化を観察していましたがウンともスンとも言いません。昭和のガンプラだってもうちょっと可動域あったぞ(?)。

マレーシアでは、「ばあちゃんちの裏庭にヤシの木があって、そこで落ちてた実を拾っては割って飲んでた」と友人たちが口を揃えて言うくらいお馴染みな存在でもあるココナッツ。

実際目の前でナイフで器用に割って見せてくれましたが、まあ手慣れてること手慣れてること。日本でいうとこの「田舎のばあちゃんがみかんを送ってくれたの」的な立ち位置でしょうか。炬燵に入って皮を剥くあの感じ。

地域によって郷愁の念を抱く対象が異なるのは面白いものですがどうしましょう、もう話題が尽きました。

リアリスティックモードで本作の真髄を見よ

とりあえず一旦タイトルに戻ったココナッツ。そういえばゲームモード選択時に「リアリスティック」なる項目があったのを思い出しました。もう十分コテンパンにされましたが見ないわけにもいかないのでさっそく選択してプレイ開始。

(まっくら)

Baba Is You』で詰んだときみてえな虚無っぷりです。そうよね、ココナッツには目も耳も口もないわよねうんうん……先ほど「しかし声が出ることはありません。だって私はココナッツ。」とか垂れたと思うんですがまさか伏線回収だとは思わないじゃないですか。


圧の強いゲーム終了確認画面

このゲームでプレイヤーはココナッツになれます。なれました。それ以上なにを求めるというのでしょうか(瞳孔が開ききった表情)。

最近めっきり冷え込んで、この間までのうだるような暑さはなんだったのかと。こうも急激な寒暖差ですと、気持ちも落ち込みがち。本作はそんな我々に「それがどうした、こっちはココナッツなんだぞ」と問いかけ、改めて「シミュレーションゲームって何だっけ」と業界にも一石(ココナッツ)を投じる哲学的な側面を持ち合わせているのかもしれません。

なお本作の開発であるDynamic Gamesのタイトルリストを確認すると、12月に入るとほぼ一週間スパンで新作シムが発売されるようですが、一発ネタに味をしめるんじゃないよ!なんですかこの週刊 虚無ゲー特集とでも言いたげなラインナップは!!

  • タイトル:『Coconut Simulator』

  • 対応機種:Window PC(Steam)

  • 記事におけるプレイ機種:Window PC(Steam)

  • 発売日:2024年11月23日

  • 著者プレイ時間:3.5時間

  • サブスク配信有無:なし

  • 価格:120円(2024年12月7日まで84円のセール中)
    ※製品情報は記事執筆時点のもの

スパくんのひとこと

ココナッツ……ぼくの名前はココナッツ……スパよ……


《麦秋》

お空の人。 麦秋

仕事であちこち渡り歩いては飛んでます。自分が提供するものが誰かのお役に立てれば幸い。編集部および他ライターさん達のこくまろなキャラに並べるよう頑張ります。

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