迫る2025年2月28日の『モンスターハンターワイルズ(以下、ワイルズ)』発売に向けて、みなさんは既に予約はお済でしょうか?本作は2024年で20周年を迎えるハンティングアクションシリーズ『モンスターハンター(以下、モンハン)』待望の新作です。

シリーズにはPSP向け『モンスターハンターポータブル 2nd(以下、セカンド)』から参入し、それ以前の作品やそれ以降の作品、その大半を遊んできた筆者ですが、2024年10月末~11月初旬に実施された『ワイルズ』のオープンベータでは新たなハンティングアクションの一端を味わい、今か今かとリリースを楽しみにしています。

そして最近、Game*SparkでPSPタイトルに関する記事を執筆する機会が多かったこともあり、ゲームソフトとセーブデータの整理を行っていたところ、『セカンド』の拡張版『モンスターハンターポータブル 2nd G(以下、セカンドG)』にて、自身のギルドカードに気になる一文を発見しました。

「訓練所残りあと二つできないorz」
もはや死臭が漂ってくるネットスラングと共に、当時クリアできなかったらしい無念の思いが記載されていました。

この「訓練所」というのは初心者向けのチュートリアルに加え、固定された武器と防具を使い、特殊な環境下でモンスターに挑むモードです。シリーズでは途中から「闘技大会」に名前が変わり、チュートリアル部分が排除された完全に腕試し用のモードになっています。

本モードについては賛否両論あり、達成数やタイムが貴重な報酬と紐づいていたり、ビルドを組む楽しさも魅力の『モンハン』なのに自前の装備を使え無かったり、時には見るからに相性の悪いビルドで挑む必要があったりするため、蛇蝎のごとく嫌われることもあります。

筆者個人は執筆時点の最新作『モンスターハンターライズ(以下、ライズ)』とその拡張版『サンブレイク』で本モードの楽しさに目覚め、全武器種・モンスターのSランククリアを目指すほど大ハマり。用意された物資でいかにモンスターを倒せるか逆算する、詰将棋的な側面を楽しんでいました。

ギルドカードを見る限り、どうやら『セカンドG』の時点でも「訓練所」のソロ向け全モンスター討伐達成の手前まで到達する程度には楽しんでいたものの、「G級訓練」の「ナルガクルガ」と「ドドブランゴ亜種」を前に挫折してしまったようです。

当時から時間の経過によるブランクに加えて反射神経の衰えもありますが、全武器種は無理でも“2クエスト分なら、あれから重ねた知識と経験をもってすれば余裕だろう”、“当時の私よ、待っていろ”そんな思いを胸にして、本特集では『ワイルズ』発売前に16年越しの雪辱戦の様子に加え、当時の仕様や挑むモンスターにまつわる話をお届けします。

なお、本記事ではPSP実機で外部出力したプレイをキャプチャーデバイスで録画した際の画像を掲載しています。プレイヤー名はプライバシーの都合で後付けの編集で隠させて頂きますが、ご了承ください。
本当に同じシリーズ!?最新作と違う過去作ならではの厳しさ「ナルガクルガ」編

まずタイトルからキャラクター選択画面を抜け、飛び込んでくるのは本作の拠点である「ポッケ村」。この「ポッケ村」自体は後年に発売された『モンスターハンタークロス』でも訪れることができるため、そこまで久しぶりでもないのですが、ヒーリングミュージックさながらのテーマ曲はいつ聞いても色褪せません。

懐かしさと温かみのある雰囲気に後ろ髪を引かれる思いですが、まずは目標の達成を優先、さっそく訓練所にアクセスしてみると、「闘技訓練」「特別訓練」「G級訓練」と並んでおり、当時の筆者はそれぞれのクエストを最低1武器種のクリアを達成しているものの、ギルドカードの記載通り、「ナルガクルガ」と「ドドブランゴ亜種」の討伐訓練だけは空白の状態です。

一方、より高難度なG級のモンスター「ラージャン」の討伐訓練はクリア済みなので、我ながら“こっちがクリアできるのに何故できない?”と思わなくもありませんが “百聞は一見に如かず”ということで、まずは挑戦していきます。

最初に挑むのは『セカンドG』のパッケージを飾る「ナルガクルガ」、本作から登場したモンスターであり、オープニングにも少しだけ出演するなど、同作を象徴する一体です。
機敏な動きから成るメリハリのある戦闘に加え、討伐後に作れる武器・防具が優秀な傾向にあるのもあってか、シリーズ20周年企画の「モンスター総選挙」では229体の候補のうち、7位に君臨するほどの人気を獲得しています。

そんな「ナルガクルガ」の討伐訓練ですが、用意された装備は双剣・太刀・ハンマー・ガンランス・ライトボウガン向けの5セットです。どのセットも武器が極端に弱いこともなければ、有用なスキルが最低一つは付いているため、訓練所にしては良心的な難易度設定。今回は回避の無敵時間が上がるスキル「回避性能」を備え、武器の火力・斬れ味も申し分ない太刀を選択して挑戦します。

さぁやっと狩猟に突入!待っていろナルガクルガ…と言いたいところですが、ここで問題発生、“モンスターがどこにいるのさえわからない”。近年の作品ではモンスターの位置を簡単に特定できますが、この頃は特殊なスキルやアイテムなどを使う場合を除き、“マップを駆け巡りながらモンスターを探し、アイテム「ペイントボール」をぶつけてマーキングする”という工程が必要となっていました。

“クエスト開始後、10分近くモンスターを探し求め、やっと出会えたと思ったら飛び立って何処かへ消えてしまった…”、そんな当時の苦い思い出を噛み締めながら、あてもなくアイテム収集と探索を続ける筆者ですが、案外アッサリとモンスターを発見します。

「ナルガクルガ」は『サンブレイク』でも散々狩ったし余裕…と斬りかかるも、まさかの3分も経たずに撃沈してしまいました。

この醜態は筆者の腕前の低さはもちろん、PSPの外部出力に加え、キャプチャーデバイスを挟んだゆえの操作遅延も要因として考えられますが、何よりモンスターの攻撃やその当たり判定が読めません。

『モンハン』シリーズ、特に初期作品における当たり判定の大雑把さはファンの間でも語り草で、「アタリハンテイ力学」として親しまれているほか、魚竜種に分類されるモンスター「ガノトトス」のもはや異次元な体当たり攻撃は「亜空間タックル」と公式の外伝作品『モンスターハンターストーリーズ2』のスキルに採用されるほどです。

この判定の大雑把さは本作の「ナルガクルガ」も例外ではなく、噛みつきの判定が終わったと思い近づいたら吹き飛ばされることが多く、記憶が正しければ “これでも作品全体の中でもマシな方”なのですが、見た目とズレた攻撃に翻弄され、10回近くの討伐失敗を重ねてしまいました。

当時のハンターの重量感ある動きとこちらを約2発で撃沈させるモンスターの火力の高さが合わさり、苦戦が続きますが、誰が言ったか“『モンハン』はターン制”、自分から仕掛けず、徹底的に相手の行動後、安全を確認してから攻撃していくスタイルを守ることで段々と相手の動きが見えてくるように。

確かに本作の「ナルガクルガ」の当たり判定は大きいものの、モーションと言う観点では近年の作品の低難度(下位)に登場した個体と比べ、体感スピードが遅い上に攻撃手段が単調で軌道の予測がしやすいため、慣れさえすればヒット&アウェイが安定します。

そうして欲張らずに少しずつ攻める戦法で討伐失敗までの時間が5分、10分と伸びていき、最終的に討伐に成功!タイムは12分と我ながら“遅いな”と思うものの勝利は勝利、目的のうち一つを達成しました。

なお、本挑戦後に『サンブレイク』の「ナルガクルガ」と戦ってみましたが、当たり判定こそ改善されている一方、常に倍速がかかっているのかと言うほどのスピードに、『セカンドG』のモーションに上乗せするような多彩な派生攻撃、10年ちょっとでここまで変わっていたのかと驚きを隠せませんでした。『サンブレイク』ではモンスターの暴れっぷりも目立つ一方、プレイヤー側にも無敵時間、カウンター効果、スーパーアーマーが付与された攻撃が多数用意されています。

『セカンドG』の頃が“相手の攻撃(ターン)が終わるまで待ってから自分の攻撃を仕掛けるターン制バトル”であれば、『サンブレイク』は“いかに強力な相手の攻撃(ターン)中に自分の攻撃をねじ込むか、互いの強みを押し付けるターン制パワーバトル”と言えるのかもしれません。
モンスターの印象は薄め、武器の方が目立った「ドドブランゴ亜種」編

無事「ナルガクルガ」の討伐訓練をクリアしたので次は「ドドブランゴ亜種」に挑戦…と行きたいところですが、本モンスターについてもご紹介。まず、本モンスターはその名の通り、牙獣種に分類される「ドドブランゴ」の亜種です。

原種となる「ドドブランゴ」は主に雪山を縄張りとする、白い猿のような牙獣「ブランゴ」の群れのリーダーであり、その素材や関連するクエストでは「雪獅子」といった表記もされています。後発作品としては『モンスターハンタークロス』とその拡張版『ダブルクロス』にも登場していますが、『モンスターハンターワールド(以下、ワールド)』からシリーズに参入したプレイヤーには馴染みのないモンスターかもしれません。

一方、「ドドブランゴ亜種」は主な縄張りが砂漠と、雪山から大きく生息地が変わったほか、見た目も白から茶色を基礎としたものに変わっており、以降の作品にも登場する “原種と全く異なる要素を持つ亜種モンスター”の一体です。

しかし、原種は外伝作品でも出番があったうえ、初登場作品『モンスターハンター2』のオープニングやTGS向け映像にも登場、『セカンドG』ではゲーム起動前の画面にチラッと映るため比較的印象に残りやすい方なのですが、亜種の方はシリーズ全体で見ると影が薄めです。

というのもこの「ドドブランゴ亜種」、『セカンドG』で初登場し、後の作品でもこれと言った出番のないモンスターでもあります。実は全く同じ立ち位置のモンスターには甲殻種「ショウグンギザミ亜種」がおり、歴史の長い『モンハン』にはこうした“外伝作品ですら再登場しなかった亜種”がチラホラ存在します。

こうした扱いでも“強いモンスター”や“人気モンスター”の亜種であれば話題にも上がりやすいものの、「ドドブランゴ」に関しては前述の「モンスター総選挙」で229体の候補中、原種が190位、亜種が216位と“下から数えた方が早いがワーストと言うほどの低さでもない”と中途半端な順位です。

原種の「ドドブランゴ」の時点で、似たポジションの人気ライバルを多く抱えているのも現状に繋がっている可能性もある本モンスターですが、久しぶりの再会も兼ねて討伐訓練での打倒を目指します。

「ドドブランゴ亜種」の討伐訓練で使用できる装備は双剣・大剣・ハンマー・ガンランス・弓向けの5セットとなっており、筆者の目を最も引いたのは大剣です。用意された装備には『セカンドG』初登場のスキル「抜刀術」が備えられており、これが大剣の戦闘スタイル“抜刀大剣”に大きく影響してきます。

まず“抜刀大剣”とは、字面通り大剣を抜刀しながら攻撃する戦闘スタイルであり、攻撃時以外は納刀して行動。大剣は一撃の火力が大きく手数が少ない都合上、抜刀しながらの攻撃だけでもダメージ効率を維持しやすいうえ、抜刀中は移動速度が遅いものの、納刀中の移動速度は他の武器種と一緒なので、武器の特性とゲームの仕様を活かした洗練された戦い方となっています。

また、この戦闘スタイルはヒット&アウェイに特化しているため、“「ナルガクルガ」編”で述べたようにターン制のアクションである『モンハン』と噛み合っているほか、攻撃の手数が少ない分、操作が比較的単純で初心者から上級者まで使いやすい点も魅力です。そして、スキル「抜刀術」は“抜刀した瞬間の攻撃が必ず会心の一撃になる”という効果になっており、これを活かすことで会心率が低かったり、それどころかマイナスだったりする武器の攻撃ですら会心の一撃に転ずるため、単純に強いうえにデメリットの踏み倒しまでできてしまいます。

当時、他の武器種は手数が必要だったり、抜刀後に手順を踏まないといけなかったりするので、本スキルは実質的に大剣専用で“抜刀大剣”と共に名をとどろかせていました。しかし、『ワールド』で大剣のアクションに大幅なテコ入れがされて“抜刀大剣”以外の攻撃方法が台頭し、「抜刀術」の効果がシリーズを追うごとに弱体化したのもあり、『サンブレイク』の頃には“戦法のうちの一つ”程度に落ち着いています。

今回の討伐訓練で用意された装備は、そんな“抜刀大剣”のベストとまではいかずとも片鱗を味わえる構成となっているため、こちらで挑戦、いざクエストに出発!「ドドブランゴ」については、亜種はおろか原種のモーションを覚えていないので、きっと苦戦必至、何回目のトライで突破できるのだろう…と思いましたが一発でクリアできてしまいました。

モンスターとの追いかけっこや寄り道もあってタイムは15分19秒と遅めなのですが、回復アイテムを使い切らずに余裕ある狩猟ができたほか、何より抜刀大剣が強い。モーションもほぼシリーズ常連のモンスター「ラージャン」と被っていため正直なところ驚く場面も無く拍子抜け、後の作品で原種と共に他のライバルに取って代わられてしまった理由の一端を覗いてしまった気がします。
なお、「ドドブランゴ」とデビュー作が同じ、ピンクの毛色が特徴的なゴリラのような牙獣種「ババコンガ」は『ワイルズ』での復活が決定しているので、本種にもスポットライトが当たる可能性があるかもしれません。
オマケ―ついでに禁忌のアイツにも会いに行こう

このままでは不完全燃焼なので、「G級訓練」の全討伐訓練を最低1武器種でクリアすると解禁される隠しクエスト「伝説の黒龍 」にもついでに挑みます。「伝説の黒龍」とは、“禁忌モンスター”としてしばらく発売元のカプコン公式でも存在が伏せられていた黒龍「ミラボレアス」の討伐クエストです。
後発の作品にも「アルバトリオン」「グラン・ミラオス」と別種の禁忌モンスターが登場しており、その強さや設定、扱いもあって筆者個人としては“作品をやり込んだ末に締めとして挑戦するならやっぱりこいつら!”という印象があります。

残念ながら『サンブレイク』では新規・既存どちらの禁忌モンスターも実装されませんでしたが、『ワイルズ』、もしくは今後発売されるであろう『ワイルズ』拡張版で会えることを祈っていざ出陣。今回はあり合わせの双剣装備でクエストに出発します。


クエストの舞台となるのは「シュレイド城」、はるか昔に滅んだ大国シュレイドに存在した城です。『モンスターハンター4』や『ワールド』の拡張版『アイスボーン』では「ミラボレアス」再登場と共にマップの構成が豪華になったのですが、本作の「シュレイド城」はその中でも初期のものなので、外観もギミックもかなり寂しく、簡素な作りとなっています。

この点は主役であるモンスターの「ミラボレアス」にも当てはまり、シリーズ当初から存在していたこともあってかモーションが全体的にシンプル。火力・耐久力ともに“伝説”に恥じない高さではあるのですが、王道なドラゴンの外観と派手さに欠ける動きが合わさって地味な絵面が続いてしまいます。

今回使った双剣では、「ミラボレアス」のモーションがモンスターの正面と後ろに攻撃するものばかりなことを利用し、側面の脚をひたすら斬りつけていましたが、前述のマップの簡素さとモンスターの動きの地味さが合わさり、視覚的、ゲーム的な楽しさは控えめで単純作業感が強めです。

脚を斬り続けること25分、尻尾がハンターにかすったり、いきなり這いつくばられたりして一気に体力を持っていかれる事故がありつつも、“「ミラボレアス」の撃退”に成功。このまま撃退を繰り返せば討伐に持っていけるはずですが、現時点でもクエストとしては一応クリアした扱いであり、同じことの繰り返しになる都合上、本記事ではこれで完了とさせていただきます。
おわりに

不完全燃焼に不完全燃焼を重ねてしまったような形でしたが、本記事は以上となります。筆者にとって『セカンドG』は友人と最もプレイしたゲームの一つであり、思い出深い作品です。

筆者個人は継続して『モンハン』シリーズをプレイしているものの、当時と比べ、ゲームから引退してしまった友人が多く、今では専らソロを中心にプレイ。以前は新作をプレイしながら“あの頃はよかった”と当時を思い返す機会が度々あったのですが、改めて遊ぶことで逆にシリーズの“あの頃から良くなった”部分も再認識できました。

本記事を読んで『セカンドG』に興味を持った新参プレイヤーや、懐かしくなった古参プレイヤーに“この良くも悪くも大味だった時代”を体験してほしいところですが、残念ながら本作をプレイできるハードはPSPとPS Vita(またはVita TV)だけです。
実は本作をiPhone向けに移植し、Wi-Fi協力プレイ対応で画質とシステムに手が加わった『モンスターハンターポータブル 2nd G for iOS』も配信されていたのですが、OSのアップデートに伴ったサポート停止のためか販売が終了。筆者も当時は購入しており、『モンハン』本編がスマホで遊べる点や、後発作品のシステム「ターゲットカメラ」の導入に感動していたので、同作のiPhoneでの再販…は無理でもいつかPCまたは現行ハードへの移植がされ、手に取りやすくなれば嬉しいです。

まだまだ筆者としては、『セカンドG』とコラボした『METAL GEAR SOLID PEACE WALKER』限定モンスター「ギアレックス」が、今後発売予定の同シリーズ作品『METAL GEAR SOLID Δ: SNAKE EATER』あたりと『ワイルズ』がコラボして『モンハン』に登場しないかな…などの話をしたいところですが、本記事はこれにて終わりとさせて頂きます。
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