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レトロゲームの復刻とゲーム機関連アクセサリの製造・販売を専門とする企業、Retro-Bit Publishingに、販売されたタイトルの一部でファンによる英語翻訳テキストの“盗用”疑惑が浮上。2月24日に同社は海外メディアVGCに対し、4作品で一部テキストの盗用を認めました。
Retro-Bitは、Nintendo Entertainment System(NES)/Super Nintendo Entertainment System(SNES)/メガドライブ(GENESIS)などで発売された、8bit/16bitレトロゲームの物理パッケージ再販を主軸とし、特に日本語版しか存在しないタイトルの完全英訳版リリースで知られる企業です。しかしKrokodylさんが2月19日に投稿した個人ブログ上で、同社が発売した少なくとも4タイトル『改造町人シュビビンマン零』(1997年)、『重装機兵ヴァルケン』(1992年)、『gleylancer』(1992年)、『魔獣王』(1995年)で有志による翻訳やMODの英文テキストとほぼ同一、または大部分を無断で盗用しながらも、公式HPでは「有能な担当者による翻訳」「既存のスクリプトなどは一切利用していない」と公表していることを告発しました。
消し忘れた痕跡…独自フォントや誤訳まで一致
アマチュア翻訳者およびプロの開発者として、過去数年間に約12本のゲームを日本語から英語に翻訳してきたKrokodylさんは「一部は根拠が薄いものと承知の上」で、盗用したと考える理由を列挙しています。その内容を抜粋すると
ファンが英訳MODを作る際にオリジナルで制作したフォントと同一フォントがRetro-Bit版に使用されている
ファンによる日本語からの誤訳や、逆にゲームの背景や日本語らしい表現をくみ取った個人によるかなり意訳した英文が、偶然とは思えない頻度でそのまま使われている。
オリジナル版のエンドロールにある開発スタッフの名前を一部削除し、Retro-Bit側の翻訳担当者の名前を差し込んでいる
スクリプトを比較すると有志による翻訳と、後年に公式が発売した英語復刻版のテキストをミックスしたようなおかしな会話、ネイティブ以外には分かりづらい日本語名の表記ゆれ
おそらく削除し忘れたファン翻訳サイトの名前をエンディングに確認
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実際にゲームをプレイし分析に多大な時間を費やし、上記のような証拠を集めたというKrokodylさん。「これら4つのゲームの翻訳者として同一人物がクレジットされている」ことを述べ、公式HPにあるような「才能ある担当者がゼロから翻訳に取り組んでいる」のは明らかな嘘で、ファンによる過去の英訳テキストを盗用していると判断。これらタイトルを60~90ユーロ(約9,500円~約14,000円)と高額で何千本も販売しているのは問題だと指摘しています。
2月24日にこの疑惑を取り上げたVGCは同日の続報で、Retro-Bitのプログラマーが有志翻訳をクレジット無しで使用したと認めたと発表しました。Retro-Bit側は今回の英訳テキストの無断使用について「弊社にいつも協力してくれていた翻訳者/プログラマーとタイトなスケジュールの都合で完全な協力体制が敷けていなかった。今回の担当者はこれまでテキスト量の多いゲームの翻訳実績があり、問題のタイトルはテキストの少ないゲームであったため、我々の依頼に応じられると信じていました」「提出された翻訳をきちんと検証しなかったのは弊社のミスである。既存の翻訳者の方々に連絡をこれから取り解決策を提案していく」と述べています。
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また、今回の事案を受け今後のリリース予定であった復刻タイトルを一旦保留・延期とし、同じ問題が起きぬよう翻訳とプログラミングの作業工程を改善する予定だとしています。