
“誰でも一生のうち一回は地上最強の戦車乗りってのを夢見る”。夢見るよね? 見ない? そうですか……ともあれそんな夢を満たしてくれるだろう、戦車を題材にしたタイトルが『多砲塔神教』です。
この漢字タイトルはなんだか良くないですか? 英題が「MULTI TURRET ACADEMY」というシンプルさと比べると胡散臭いパワーがいい方に転がっているというか。戦車のゲームなのに「神教」とか、ふつうはタイトルに付けないじゃないですか。
インディーゲームイベント「TOKYO INDIE GAMES SUMMIT2025」の中国WePlayブースにて展示された本作は、「神教」と名付けられる程度には確かにカオスな戦車道を驀進しているゲームなのでした。
私だけが掴んだ、私だけの戦車道。必ず撃破してみせます。 この一撃は、みんなの思いを込めた一撃!

まず試遊をスタートすると様々な種類の戦車が「俺を取り上げろ!」といわんばかりに並んでいるではありませんか。まるで世界の戦車の全選手入場とすら感じられるほどです。「旧ソ連の試作多砲塔重戦車!SMK!」、「大日本帝国陸軍の決戦兵器!オイ車!」、「フランスの超重戦車!FCM F1の登場だーッ!」などなど世界各国の戦車がラインナップされております。今回の試遊ではすべて選べないんですが、そうそうたる戦車が揃っているのは確かでしょう。

そうしてプレイヤーは連合国・枢軸国・中立いずれかを所属し、実戦へと進みます。操作体系は俯瞰視点によるラジコン操作で、要所で砲台から射撃しながら闘うかたちです。けっこうシンプルに見えるんですが、これがそうでもありません。「全車輌もくもく作戦です~」とかなんとかやれないかなとか思っていたら即死。悲惨なことになってしまいました。

「まだやるかい?」と言わんばかりにゲームオーバー後は容赦なきメニュー画面まで引き戻し。「戦車道は戦争じゃありません、勝ち負けより大事なものがあるはずです」というのは実際には勝っているから言えること。負けてる段階では「イヤミか貴様ッ」としか言えませんよ。
こんな名言を知っていますか? 「究極の希望は、究極の苦難から生まれる」。イギリスのある哲学者の言葉です。いま紅茶を淹れながら名言を言ってみました。そう、わりとローグライト系らしくそこそこ難易度があって手ごたえがキツめといえばキツめなんですよね。ゲームオーバーという苦難から、勝利という希望を見出してこそゲームではあります。諦めたら、道はなくなります!

ということで恋愛と戦争では手段は選ばないぞという気持ちで頑張って1ステージをクリアすると、チームに他の仲間が搭乗員として参戦してくれます。本作はローグライト系ゲームらしく、実質的にスキルカードをもらうかたちですね。
ゲーム進行はローグライト地上最強のタイトル『Slay the Spire』系の進行で、マップ上をバトルシーンやアイテム獲得シーンといった道の分岐を選んで進めていくかたちです。まあ、そうしたジャンルゆえに厳しい戦いになるのもそりゃそうだろというところではあります。
たいしたものですね。これが作り手の考えですか。

というわけで、ちょっとWePlayブースの担当者に本作について軽くお話も伺ってみました。
――日本では「ガールズ&パンツァー」といった戦車と女の子のアニメが人気ということもありまして、本作はかなり要素が重なっています。日本で広めるための施策も考えていますか。
担当者おっしゃる通り、日本のアニメの影響もあります。本作のプロデューサーもそうしたアニメをきっかけとして、「ぜひこういうゲームを作りたい」と企画しました。
ただ、ゲームのコアな部分はあくまで戦車です。プロデューサーはアニメファンなので二次元キャラが好きなんですが、ゲーム自体は戦車の戦いが主です。
――今回はさまざまな戦車が登場しますよね。開発側のこだわりなどはわかりますか。
担当者開発者はみんな戦車オタクなので、実際の戦車をゲームで表現するのにどうするが正しいのかを考えて作っています。実際にプレイヤーがゲームをプレイして「やっぱこのサイズだな」と伝わるようにこだわっています。ただ、戦車のセレクトについては開発者の好みなんですよ(笑)。「こういう戦車が好きなので、こういう風にゲームに使いたい」という漢字です。
――開発の進捗はどんな感じでしょう。
担当者いまはまだバランスを調整している最中です。こだわりがあるので、ゲームシステムなどについてもちゃんとしたいという思いがあって、早期アクセス版をSteamで展開しています。そこでデータを集め、バランス調整を進め、今年の6月~8月にリリースを予定しています。
いかがだったでしょうか。『多砲塔神教』は現在、Steamにて早期アクセス版が公開中。先述のインタビューを踏まえれば、年内にリリースが行われるとのこと。戦車での戦いに萌えキャラはいらない。そんなふうに考えていた時期が、私にもありました。