
2025年3月12日、上院法案第20号「人工知能(AI)による児童ポルノ防止」がテキサス州上院議員により全会一致で可決されたことを受け、州副知事Dan Patrick氏が声明を発表しました。
Patrick副知事による声明は「AIが生成するポルノの拡散に伴いテキサス州の法律が、あらゆる種類の児童ポルノを根絶し、市民、特に子どもたちを有害なコンピューター生成コンテンツやそこから生じる犯罪から守るための措置を講じる必要がある」とし、この上院法案第20号は、「18歳未満の子供を描写しているように見える猥褻な映像資料」の所持または宣伝した場合、それが実在する児童だけでなく漫画やアニメ、あるいはAIやその他ソフトウェアを使用して生成された画像であるか否かに“関係なく”、重罪とするとしています。
解釈次第でアノ名作たちも所有だけで重罪か
ゲームやeスポーツなどのエンタメ専門メディア「Dexerto」は3月17日にこの新法案を取り上げ、おもに生成AIの使用に焦点を当てた内容ではあるが、「漫画やアニメ」も指定されていること、世界的に人気のあるアニメ・漫画・ゲームの多くが高校生ぐらいのティーンエイジャーを中心にストーリーが展開されているとし、例としてゲームの未成年キャラクターが恋愛関係となる展開がストーリーの核心の一部を担う『ペルソナ』シリーズ、ビキニ衣装の14歳少女が走り回る大人気アニメ「天元突破グレンラガン」、千年以上生きる吸血鬼だが見た目は幼子のキャラクターが、露骨な行為に及ぶ描写が含まれるライトノベル「物語シリーズ」を挙げ、「州の解釈次第で」猥褻とみなされればこれら作品を所有するだけで重罪に問われる可能性もあると述べています。
その他の海外メディアでも上記の理由で「ゴブリンスレイヤー」や「フルーツバスケット」も対象となり、安全な漫画・アニメは「ポケモン」と「セーラームーン」だけになるのでは?と報じました。
Dexertoはテキサス州による「猥褻の定義」を「“全体として重大な文学的、芸術的、政治的、科学的価値を欠く素材やパフォーマンス”の1行で終わる」と報じていますが、実際のテキサス州法には「性器の卑猥な露出、興奮状態にある男性/女性の性器描写」など現代の社会基準を適用して良識基準に反するほど不快かつ、上記の芸術的・文学的価値を欠く資料・パフォーマンスと詳細が記載されています。
法案が各州上院議員によって全会一致で可決されたからといって、すぐに法制化されるわけではありませんが、欧米におけるゲーム・アニメ・漫画への風当たりが強い点はGame*Sparkでも過去に何度も取り上げてきました。正式に法制化されれば行き過ぎた拡大解釈が進み、多くの世界的ヒット作がテキサスでは違法扱いとなる未来が本当に来るかもしれません。