『デモンズソウル』をきっかけに高難度の3Dアクションゲームの裾野が広がり、“死にゲー”と呼ばれるほどの手ごわい作品に挑むプレイヤーも増えました。
『デモンズソウル』のような作りを持つ作品は「ソウルライク」とも呼ばれるようになり、その影響は今も根強く、ジャンル自体の活気も衰え知らず。3月27日にリリースされる『AI LIMIT無限機兵』も、TPS視点のソウルライクな高難度アクションゲームです。

ただし、ソウルライクといっても全てがまったく同じではなく、共通する要素から本作独自のシステムまであり、『AI LIMIT 無限機兵』も作品として訴えかけてくる個性を併せ持っています。
そんな『AI LIMIT 無限機兵』をリリース前に触れる機会に恵まれたため、本作の魅力や独自性に迫る先行プレイレポをお届けします。
なお、今回触れたのはパブリッシャーCE-Asiaから提供されたSteam版で、12時間ほどプレイした範囲でのレポートとなります。
■荒廃世界を画面から感じられるビジュアル

『AI LIMIT 無限機兵』は、文明が滅亡に瀕した遠い未来が舞台で、かろうじて生き残った人々は救いを求めて最後の都市「ヘヴンズウェル」へと向かっています。
プレイヤーは幾たびも再生する機兵「アリサ」となり、滅びゆく世界に生きる人々を目の当たりにしながら、この終末世界の真実に近づくことに。もちろん、その道中は危険が満ちており、様々な敵性体や各勢力に属する者たちとの戦いが待っています。

設定や物語について詳しく語るとネタバレになりかねないため、今回は最小限に努めますが、「ヘヴンズウェル」に入ると勢力同士の争いに直面することもあります。ネクロや他勢力たちがリアルタイムに戦っている場面では、そこに混じって乱戦するもよし、静観して決着がつくのも待つのもよしです。
また、交流可能な人間も少なからずおり、幾度も接点のある者や、刃を交える相手などから、この世界の事情を断片的に知ることができます。

荒廃した世界観は、言葉だけでなく描かれた背景からも如実に伝わってきます。朽ちかけた地下水路、バラックのような建物、さびれたビル、打ち捨てられた瓦礫などが、無機質なライトや陽光に照らされ、物悲しくもどこか美しさも感じられました。
AAAレベルの微細な部分まで鮮やかに描き込まれた作品ほどではありませんが、本作の価格帯(4,730円)を考慮すれば、グラフィック面の完成度は期待以上。没入感を促す雰囲気作りは、おおむね成功していると言っていいでしょう。

昨年配信された体験版と比べても、アリサ自身の描き込みを中心にブラッシュアップが感じられ、ビジュアル面の仕上がりは必要十分です。
■ソウルライクの基本を押さえた『AI LIMIT 無限機兵』のゲーム性

『AI LIMIT 無限機兵』は、いわゆるソウルライクと呼ばれる要素を多く受け継いでおり、このジャンルを好んでいる人なら、操作感も含めてすんなりとゲームに馴染むことができると思います。
行き来が可能な各ステージが繋がっており、ステージ内は本筋とは別に探索可能な脇道も数多くあります。また道中には、「晶枝」と呼ばれる休憩が可能な中間拠点がいくつも用意されており、休むことでLP(本作におけるHP)などが回復するとか、レベルアップや武器の強化、晶枝間のテレポートなどが可能です。

また、LPを回復できるアイテム「命の雫」は、休憩すると使用回数がリセットされ、上限まで戻ります。そのため、晶枝を見つけたら飛びつきたいところですが、休憩すると倒した敵がリポップされるのでご注意を。探索がまだ途中なら、リポップさせずに探索し尽くしてから休憩するのもひとつの手です。
気づかれていない敵の背後に回って繰り出す「ファタルストライク」や、ロックオンの有無で変化するローリングと回避、LPが尽きると最後に立ち寄った晶枝で復活、敵を倒せば経験値と貨幣の両方の性質を持つ「クリスタル」を獲得できるなど、ソウルライク作品に共通する要素が本作でも数多く採用されています。

しかし一方で、『AI LIMIT 無限機兵』独自の要素もあり、それが本作のプレイ感に大きな影響を与えています。その中でも特に大きな要素が“スタミナがないこと”と、“シンクロ率の存在”です。
■スタミナの概念がなく、意識を集中させやすい『AI LIMIT 無限機兵』のバトル

ソウルライク作品には、しばしば「スタミナ」が導入されています。攻撃や回避などのアクションに応じて一定量のスタミナが減り、スタミナが尽きると該当の行動が不能になったり、効果が非常に低くなるといったものです。
連続で攻撃をし過ぎてスタミナが尽き、回避する余裕がなくなって敵の反撃を食らったり、回避を連打し過ぎたところに手痛い一撃を浴びたりと、無闇に動くとプレイヤーはたちまち窮地に陥ちます。そのためスタミナの管理は、ソウルライク作品においてかなり重要な要素と言えます。

このスタミナに類する要素が『AI LIMIT 無限機兵』には存在せず、攻撃はもちろん回避も出し放題。もちろん、アクションに応じて隙や硬直があるため、闇雲に回避ばかり連打しても敵の攻撃はしっかり食らいます。
とはいえ、スタミナ管理なしで攻撃/回避が可能なので、その分だけ意識を敵の動きに集中させやすく、「いつ攻撃するか」「どのタイミングで回避するか」が判断しやすいように感じました。

また、スタミナがない(=スタミナ回復の時間をバトルに組み込む必要がない)からか、一部の敵の攻撃は手数が多いように感じました。連続攻撃が終わったかな……と思ったらまた斬撃、といったケースもあり、攻撃の隙を狙う重要性が増しています。
スタミナ回復の待ち時間がない分、戦闘がスピーディになったとも言えるので、好みによって分かれる部分かと思います。ですが、スタミナがないことで生まれるプレイ感はどこか新鮮で、また緊張感が持続しやすいバトルは刺激的でした。
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