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Hyper Light Drifter
Microsoftの新プログラム、ID@Xboxの登場で開拓への兆しが見られる同社のインディーゲーム開発。これまで中小デベロッパーに対していかに後ろ向きな姿勢であったかを、『Hyper Light Drifter』のクリエイター、Alex Preston氏がEdgeのインタビューで語りました。
同氏はMicrosoftのデベロッパーへの対応について、「以前のMicrosoftはホントにクソったれだった」と鋭い言葉で自らの体験を振り返りました。「今はずいぶんフレンドリーになった。それもこれもID@Xboxプログラムの責任者、Chris Charlaたちのおかげさ。たいした人だよ。俺たちみたいな中小デベロッパーのよき理解者なんだ」
「Sonyには当初からお世話になったし、今後うちの作品のXbox版をSonyのプラットフォームに先立って押し出していくことはないと思う」 Preston氏によると、既に自社製品をSonyからローンチすることを優先しているとのことで、インディーゲーム業界でのSonyのリードは明らかなようです。
また同氏は、Microsoftのローンチパリティ(全プラットフォームで発売日が同じであること)という契約条項にも触れています。その中で、「パリティどうこうが問題なんだ。Microsoft自身にとって良いポリシーとは思えないし、とてもじゃないが中小デベロッパーのメリットにはならない」と語り、知名度の低い小規模デベロッパーにとって同社からのリリースが極めて不利である現状を強調しました。
先日、Gaijin EntertainmentのCEO、Anton Yudintsev氏が語ったMicrosoftへの想いをお伝えしましたが、同社の現状にこうした不満を募らせるインディーゲームの開発者は決して少なくはありません。
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Guacamelee
Drinkbox Studioの『Guacamelee』は既にPlayStationプラットフォームからのデビューを果たしています。同社共同設立者であるRyan MacLean氏は、Xbox OneとWii U向けスペシャルエディションのリリースイベントにて、同業者たちの想いを総括しました。「デベロッパーの視点から見て、理想的なのはリリースするプラットフォームを自分たちで選べる自由なんだ。各プラットフォーム所有者の好みは何となく分かるからね」
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Super Meat Boy
また、『Super Meat Boy』の開発者、Edmund McMillen氏とTommy Refenes氏はドキュメンタリー映画『Indie Game: The Movie』の中で、Microsoftとの苦労に馳せた忌憚ない想いをぶつけています。
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1001 Spikes
一方で、ローンチパリティには肯定的な意見もあります。マルチプラットフォームで同時にリリースした『1001 Spikes』の開発元、NicalisのTyrone Rodriguez氏は「我々にとってはむしろ好都合だ」と、そのメリットを語りました。同氏によると、全機種同時にローンチすることでプロモーションとマーケティングが容易になり、後発プラットフォームユーザーによる興味の喪失も防げるとのことです。
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Divekick
同様の意見は他にもあり、『Divekick』を手掛けるIron GalaxyのCEO、Dave Lang氏は、70人の社員を抱える同スタジオだからこそ、利益を最大にするためにもローンチパリティが必要であると語りました。しかし、4人体制のような小規模スタジオにとっては同時リリースが負荷となり、逆にデメリットになるであろうことを付け加えています。
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Phil Harrison氏
このように、Microsoftのローンチパリティに関して賛否両論あるようですが、インディーゲームデベロッパーとの関係構築において、競合他社との間に大きな開きがあることは否めません。同社のPhil Harrison氏は、ID@Xboxプログラムをより洗練されたものにするため日夜努力を続けるChris Charla氏とそのチームを高く評価しているとのことで、同社の今後益々の変化が待たれるところです。