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遂に日本でも発売を迎えたロックスター・ゲームスの超大作『グランド・セフト・オートV』。既にゲームを楽しんでいる方も多いのではないでしょうか。前回の記事では、作品の全体像をまとめたプレイフィールやインプレッションをお届けしましたが、今回はゲームのメイン部分となるミッションパートを細かくレポートしていきたいと思います。
デモのプレイにあたって用意された時間は8時間で、フランクリン、マイケル、トレバーの主人公3人が合流するまでのストーリー序盤をプレイする事が出来ました。3人の細かなキャラクター像はこれまでのプレビューや過去記事に譲るとして、まずは前作に比べて進化したポイントをご紹介。
ミッションはよりド派手に。なんでもありのお馬鹿要素も復活!
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これまでの『GTA』シリーズのメインミッションは、どちらかといえば演出よりも自由度を重視したものが中心でした。一方『GTAV』では、映画の様なダイナミックな様々な演出がミッション全体に散りばめられ、従来作品以上にプレイヤーを飽きさせない工夫が施されています。
例えば、過去作では突入シーンがフィーチャーされがちだった強盗ミッションは計画段階からプレイヤーが介入出来る様に。これまでのシリーズではカットシーン後に強盗→そのまま銃撃戦という流れが中心でしたが、『GTAV』では、どの仲間を連れて行き、どういった方法で強盗を行うかといった計画をプレイヤー自身で練り上げる事が可能に。強盗に連れて行く仲間は、それぞれに得意不得意分野があり(強盗ミッションに連れ出す事で成長させる事も可能)、その道のベテランを参加させればミッションの難易度が下がる分、全員の分け前が減ってしまうというデメリットもあります。
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強盗ミッションは、メインストーリーの1つとしても登場し、仕事を終えた後の脱出パートは序盤の大きな見どころの1つ。過去作では手配された状態でオープンワールドを逃げまわり、警察を巻くという流れが王道だったのが、今回は仲間と共にバイクで市街地を爆走し、超スピードで細い下水道を駆け巡る様なアクロバティックなシーンも登場。最終的には仲間と共に追跡車両を破壊する事も可能で、最近の『GTA』シリーズの特徴だったリアル路線に加え、初期のなんでもありな、お馬鹿路線を見事に融合させた印象です。
グラフィックの進化を体感できるシネマティックビュー
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個人的に一番の進化を体感出来たのはシネマティックビューの強化。シネマティックビューは、その名の通り車両搭乗時のカメラを映画のような位置で表示させるというもので、正直なところ過去作ではあまり使う機会が無かった機能ですが、本作では、グラフィックの進化も相まって、ミッション中のカメラ切り替え1つで、ゲームの臨場感が凄まじい程にアップします。
特に、シネマティックビューの恩地を受けているのが、マイケルの息子ジミーを救出するミッション。高速道路の激しいカーチェイスの末、助手席に乗ったフランクリンが走行中の敵車両に飛び移り、運搬しているヨットのマスト部分にぶら下がったジミーを救うといった内容で、本作のセカンドトレイラーにも登場したシーンです。
この際、敵の車両に近づいた段階でカメラをシネマティックビューに切り替えると、トレイラーの映像をほぼ完璧に再現する事が可能となるのです。勿論、カットシーンでは無いので、そのままリアルタイムでゲームは進行していきます。このシーンに限って言えば一直線の高速道路が舞台なので、コントロールも簡単で、まるでカットシーンを操作しているかの様な大迫力のゲームプレイを楽しむ事が出来ます。
メインミッション中でもほぼノンリニアだった過去作に比べて、本作では、例に上げた2つのミッションなど、道筋がある程度指定されている場面が多く、リニアの良い部分を詰め込んでいます。勿論、自由度の高いミッションも多数用意されていて、特にサブミッションでは、従来シリーズ同様にプレイヤーが好きな様に攻略出来るものが多く見られました。
3人の主人公が交錯する新しいストーリー
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自由度の高いオープンワールドやクライムアクションだけでは無く、何かしらの問題を抱えたキャラクター達による人間模様も『GTA』シリーズの大きな魅力。『GTAV』では主人公が3人に増えた事により、更に深みの増したストーリーが展開していきます。
彼らが出会うまでの序盤パートでは、各々の生活模様が描かれ全員が家族や恋人と何らかのトラブルを抱えています。一見幸せそうな家庭の大黒柱にも見えるマイケルも、ほぼ家庭崩壊に瀕した状態で、思春期の娘は危険な人物との関わりも持つタレント志望。息子は毎日堕落した生活を行う無職の引きこもり。更に妻はテニス教室のコーチと浮気中というあんばい。
マイケルは家族の事を掛かり付けの精神科医に愚痴りながらも、危ない仕事に参加する娘を、テレビ局に直接乗り込んで救いにいったり、引きこもりの息子を外に連れ出したりと、不器用ながら家族とのコミュニケーションを図る姿も見られ、シリーズでは珍しい家族愛も1つの見どころとなっています。
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若き日のトレバーとの過去や、自分の事を父親の様に慕うフランクリンとの友情など、それぞれの主人公がリンクしたストーリーは、これまでの『GTA』には無かった新たな試みとして、注目すべきポイントです。
ネタバレになる為、詳細は伏せさせて頂きますが、『グランド・セフト・オートIV:ザ・ロスト・アンド・ダムド』の主人公ジョニーや、様々なシリーズに登場したDJラズロウも登場。その他、ゲームを進めていけば歴代シリーズの様々な人物がストーリーに絡んでくるそうです。
次世代機もリリース間近。家庭用ハードの世代交代時期となる中、PS3とXbox 360のラストを飾るかのような超大作となった『GTA V』。現行機のパワーを余すこと無く発揮した贅沢なボリュームは、ぜひとも自身の手で体験してみてください。