『Child of Light』連載型レビュー企画(1)
初めてなのにどこか懐かしいRPG
Text by 河合律子(Game*Spark編集担当)
初めてなのにどこか懐かしいRPG
Text by 河合律子(Game*Spark編集担当)
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子供の頃にプレイしたゲームには特別な思い出があり、大人になってから再度プレイしても当時の感動が色褪せることはない。懐かしい記憶が一つになってよみがえる。本作はそんな懐古の情があふれる作品である。それは単に、水彩画で描かれたおとぎ話のような世界観や、愛撫するようなピアノ調の音楽が童心を想起させるという意味ではない。今ほど映像技術が発達していなかった時代にRPGの根幹を支え、プレイヤーを長時間釘付けにした独特のゲームシステムに、本作は再び生命の息吹を与えている。
90年代後半に隆盛を極めたRPGに始まるアクティブタイムゲージを採用した戦闘システムは、その後多くの作品に受け継がれている。その中で本作にどこか懐かしい感情を抱かせるのは、先手を取って敵のアクションを妨害する「IP(イニシアチブ・ポイント)ダメージ」や「キャンセル」といった、キャラクターの行動順に影響を与える特徴にある。一昔前にセガサターンやドリームキャストで多くのプレイヤーを胸躍らせた冒険活劇を思い出させてくれるからだ。
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また、キャラクターのスキルアップにも2000年代の国産RPGの精神が存分に継承されている。レベルアップ時に得られるスキルポイントを消費することでスキルボードのマス目を埋めていく成長システム。複数の開始地点や分岐点があり、選択肢によってキャラクターを「直接攻撃型」や「回復支援型」といった様々なバトルスタイルに特化させることができる。パーティーでの役割分担を自由にカスタマイズさせることで、攻略法に多様性を持たせているのが特徴である。
加えて、武器・防具・アクセサリーの3箇所に宝石を装備することで追加効果を得るシステムも同様に、過去タイトルに深い馴染みがある。複数の異なる宝石を合成することで希少な宝石を生成出来ることにも注目。装備するスロットによって宝石の効能は異なり、組み合わせによってプレイスタイルに個性が生まれる。こうした攻略法や成長過程の多様化が今も昔もRPGの醍醐味であり、ストーリー展開に加えてプレイヤーの大きなモチベーションとなっている。夢中になった懐古の記憶を想起する。本作はそんな、初めてなのにどこか懐かしい作品である。