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写真はBloorview Research Instituteから掲載
プレイヤーの身体動作を認識させてゲームを楽しむことができるXbox OneのKinectですが、脳性小児まひと闘う子供たちのリハビリとモチベーションの向上に役立っていると、カナダの研究者が海外メディアPolygonに対して現場の希望を語りました。
「リハビリテーションは毎日が同じことの繰り返しで、子供たちはすぐに飽きてしまいます。しかし、ご褒美やポイントが与えられるゲーム環境を通してなら大きなモチベーションを持ってくれます」そう語るのは、カナダのBloorview Research InstituteでKinectを使ったリハビリ用ゲームの開発を行っている研究者、Elaine Biddiss氏。脳性小児まひを患った子供たちが運動機能を取り戻す手助けを行っています。
同氏によると、脳性小児まひ患者は手首やひじ、肩などの肢部を伸ばすことが困難ですが、Kinectを日々のセラピーに用いることで必要なエクササイズを行う刺激になっているとのことです。「ゲームは子供たちがセラピーに従事するための有効な手段であると認識しています。というのも、ビデオゲームには神経可塑性に欠かせない要素が多く組み込まれているのです」
リサーチセンターで開発されているゲームはすべてセラピーを目的とした観点で設計されており、飛んでくるシルエットに合わせて身体をフィットさせるゲーム『Hole In The Wall』のようなタイトルを原型にしているようです。商品化されている既存のタイトルをそのままセラピーに応用せず独自のツールを開発している背景には、動作認証の細かな設定に改良が必要なためであるとのこと。
また従来のKinectでは車椅子を認識しない不具合をはじめ、いくつかの課題が残されているため、まもなくリリース予定である新型Kinectへの対応を計画しているとのことです。なお、これらリハビリ用ゲームは今のところ商品化されておらず、Holland Bloorview Kids Rehabilitation Hospitalでのみ利用されています。
以前、ゲームを通してハンディキャップと闘う人々の生活向上を目指すAbleGamers財団に関するニュースをお伝えしましたが、ゲームというアートが社会に与える恩恵と可能性にこれからも期待したいところです。