この給料未払いはすでにGameStarの初報でも存在していた情報で、給料の支払いに遅延が発生しており、リード格の従業員らがすでに別スタジオへと移籍し始めているというもの。今回はEurogamerとKotakuがそれぞれの情報筋――Kotakuに至っては十人の現従業員や元従業員――より確認を取った、あるいは情報を得たとのニュースを伝えています。
まずCrytekが公式声明を出したEurogamerの昨日の記事では、同メディアがE3よりも前に1人の関係者より情報を提供され、ブルガリアにあるCrytekのSofiaオフィスにて過去2ヶ月分の給与が支払われていないと報道。またCrytek UKでも予定通りに給与がペイされておらず、一部スタッフがこの件で経営体制の透明性の欠如を非難し憤慨したとの情報を聞いたとも伝えています。
またGameStar誌がCrytekを買収する可能性のある会社の1つとして『World of Tanks』のWargamingを挙げた件に対して、Eruogamerはすでに中国のファームが投資する話が存在しており、Crytekが少なくとも短期的には投資を受けられる状態にあるとの認識を示しました。
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海外メディアKotakuでは、従業員への支払い問題が発生しており、また過去数ヶ月にわたり進められてきたプリプロダクション段階のオリジナルプロトタイプや『Ryse』の続編といった複数のゲームがキャンセルされたと報道。現従業員と元従業員らはKotakuを通して、現在のCrytek内部の緊張と不安定な職場環境を伝え、意思疎通の不足とドイツおよびイギリスから有能なスタッフたちがすでに抜けだしていることに頭を悩ませているとも言葉にしています。
また情報提供者らは、Crytekでは広範囲におよぶ話し合いが過去数週間にわたって繰り広げられており、スタッフたちが公然と会社を去って新たな職を探すことについて話し合っている様子を「混乱状態」であるとも描写しています。1人の従業員は、100人ほどの従業員が過去3ヶ月の間でCrytekを去ったとの推測も打ち出しました。
Kotakuが確認を取ったのは、現在Crytekにて働いているかすでに退社している10人の開発者と、数人の従業員たちで、その全員が匿名での報道を条件に一部スタジオでの給料の未払い問題があると認めたとのこと。同メディアでは従業員や元従業員たちに対する取材が細かに綴られており、その中では4人の現従業員がEメールを通して給料未払いに関する話し合いを試みているものの出来ていないと語っています。
Kotakuが取材した限りでCrytekの一連の給料未払いが発生し始めたのは今年3月。情報を提供したCrytekフランクフルトスタジオの4人の従業員は、給料が支払われるのに2週間の遅れがあったともコメント。内2人はCrytekが過去数年で給料の遅延を何度か起こしていると前置きした上で、周囲を取り巻く状況から今回の給料支払の遅延がいつもとは明らかに異なるようだと伝えていたとのことです。この3月のフランクフルトスタジオにおける給与未払いは全ての情報提供者らが認めています。
この一件を皮切りに他のスタジオでも支払いの遅延が発生した模様で、Crytek UKの従業員らは通常の30パーセントから40パーセントの給与しか支払われなかった、または全く払われなかった、いや4月と5月の給与は適切に支払われたと、従業員により支払いに格差があることを伺わせました。
過去数ヶ月にわたり複数のゲームがキャンセルされており、3人の従業員はCrytekがMicrosoftと共に『Ryse 2』に取り組むことはもうないと伝えました。この問題はGameStarの初報でも報じられていたように、フランチャイズの権利をどちらが所有するのかで話し合いが衝突したためであると彼らはコメント。この『Ryse 2』のキャンセルは、今年3月に発生したことだとKotakuでは報じられています。
同メディアはCrytekがEAやMicrosoftといった巨大パブリッシャーとの大きな契約で生き延びてきた面もあると伝え、数百万ドルのプロジェクトがキャンセルされた場合、どのようなスタジオであろうとも経営状態が火の車になる可能性があると指摘。『Ryse 2』のキャンセルが今回の問題の引き金となったことを暗に示唆しました。
従業員の1人はKotakuに対しCrytekがレイオフという選択肢を取らず、給与の未払いで問題を先延ばしにし他の解決方法を探しているとも伝えています。
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数年前より『Far Cry』や『Crysis』といった巨大プロジェクトから、『Warface』や『Arena of Fate』といったFree-to-Playタイトルへの移行を目指すことが首脳陣より語られてきたCrytekですが、3人の従業員はこのF2Pへの移行に関してスタッフ間で不満があったと伝えています。
またフランクフルトスタジオの3人の従業員はCrytekの創設者であるCevat Yerli氏とAvni Yerli氏がここ数ヶ月フェラーリの車を運転していたのを見たと語り、1人の従業員はこれを給料が支払われていない従業員に対する「平手打ち」のようなものだと説明。元従業員の1人は、高価なチェアやラップトップバッグ、また能力のある従業員に対するファーストクラスのフライトチケットなど他スタジオへのサービスなどに、Crytekが多額の資金を投じていたとも話しました。さらに現従業員と元従業員は、Crytekのお役所仕事にも不平をこぼし、今回Kotakuに登場した多くの従業員らがCrytekの経営体制に対し不満を吐露しています。
今月フランクフルトにて開かれたスタッフミーティングでは、Crytekの上層部が現金注入が近々行われることを約束したものの、海外メディアKotakuが情報提供者らに昨日改めて確認を取ったところ、まだ給与の支払いは行われていなかったとのことです。