
『ドラゴンスピリット』『リッジレーサー』など数々のゲームサウンドを生み出したコンポーサー細江慎治氏が代表を務めるスーパースィープより、昨年10月と今年1月にリリースされた「細江慎治 WORKS VOL.4 ~F/A~」「細江慎治 WORKS VOL.4α ~F/A REMIX~」を記念したクラブイベント「F/A -Music Assault-“DEATH TECHNO” is COMING BACK!!!!」が3月1日に東京・新大久保unique LABORATORARYにて行われました。
1992年にナムコ(現:バンダイナムコゲームス)よりリリースされアーケードで稼働したシューティングゲーム『F/A』のBGMリミックスと、そのルーツと言えるデステクノが響き渡る会場で、途中スーパープレイヤーによるゲームプレイ実演やトークショーもはさみつつ、6時間の長丁場に及んだイベントは、最後まで熱気と爆音がフロアを包み込みました。

開場後、スーパースィープの宣伝大将軍氏がMCでイベントの説明を開始。『F/A』BGMの特徴的なサンプリングボイスである「Let's go!」の掛け声をオーディエンスと練習したところで、オープニングDJはアツシオハラ氏、『マッピー』『ラリーX』『スカイキッド』『ドラゴンバスター』などオハラ氏曰く「俺のナムコ」プレイで開場を盛り上げました。

次に現れたのは細江慎治氏。本イベントのサブタイトルにある“デステクノ”を知ってもらうデステクノ初心者講座セットでプレイを開始すると宣言。『F/A』を制作した時期に影響を受けた曲、Altern8の「Activ-8 」などをプレイ。終盤は更にテンポは上がりロッテルダムテクノの曲がフロアをロックして最初の細江タイムを終了しました。

ここで一旦、DJプレイは中断、ステージ上にセッティングされたアーケードゲーム筐体で行う『F/A』の実演プレイが開始されます。プレイヤーは92年から現代までのプレイを続ける現役『F/A』プレイヤーのShin-ichi Sasaki氏、アーケードゲーム専門誌「ゲーメスト」スコア集計最終全国1位の称号を持つ、ああるじいぶう氏の2名が登場。ゲームの設定が上手く行かず、特定の条件下で処理落ちが生じる設定でのプレイであることを前置きし、プレイは開始されました。まずはShin-ichi Sasaki氏が登場、機体は対地ショットが誘導ミサイルのX-29。「誘導ミサイル機体を供養する!」とSasaki氏は語りプレイを開始。結果は見事ノーミスクリアで観客を沸かしました。実演プレイ後のインタビューでは、「人生3度目のノーミスクリアで、しかも2回目は本日午前中に秋葉原で練習した時に達成したところだった」と、祝杯のビールを手に語ってくれました。

そして再びDJタイム、DJは『リッジレーサー』シリーズ『ストリートファイターEX』シリーズ他、Sampling masters AYA名義でおなじみのコンポーサー佐宗綾子氏が登場。先程登場した細江氏同様のThe Prodigy「Everybody In The Place」などデステクノ中心のセットに自身が曲を手がけたナムコのアーケードエレメカ『余命検索サービスX-DAY』の曲もプレイするなど、ファンサービスも満点で終始アゲアゲなプレイを披露しました。

次のコーナーは細江慎治氏、相原隆行氏、佐宗綾子氏の3名によるサウンドクリエイタートーク。今回のイベントは、23年前にリリースされた『F/A』をテーマとして行っていたイベントということで、まずはオーディエンスに向かって年齢を問う細江氏。開場には40代が一番多く、リアルタイムで『F/A』を体験した人たちが集うイベントとなっていることを確認していました。相原氏の「『リッジ』と『鉄拳』とかで(イベントを)やったけど『F/A』でやるとは思わなかった」という発言を皮切りに、ディープな当時の開発状況、サウンドトラックCD制作秘話など、会場限定のレアトークが飛び出しました。

トークが終了し、相原隆行氏のDJタイムへ移行。プレイ前にどんなプレイをするのかとMCに振られると「持ち時間50分なんだけど、『F/A』(で担当した曲数が)3曲しか無いんだよね」とフロアを爆笑させてからのスタート。『F/A』BGMのリミックスはもちろん、チップチューン版のリミックスもプレイと緩急使い分けたプレイでフロアを魅了しました。

相原氏のプレイが終了し、本日2度目となる『F/A』実演プレイを開始。プレイヤーは、ああるじいぶう氏。機体はJA-37をチョイスし、ハイスコアを目指しプレイを開始しました。イベント会場という普段と違う環境のせいか、2面ボスで稼ぎを粘りすぎてボスを逃してしまうミスを犯し、再プレイ。その後もう一度ミスが出て、背水の陣で望んだ3回目のプレイでワンコインクリアを達成。プレイ中会場はゲームセンターでのスーパープレイを見守るギャラリーという雰囲気になっていたのも印象的でした。

そしてイベントのトリに登場するのは、細江慎治氏。MCに即されオーディエンスの「Let's go!」の掛け声でスタート。「DESERT STORM」のリミックスから始まった『F/A』セットのDJタイムに5時間経過しているとは思えない、フロアの盛り上がりでイベントは最高潮に。プレイ終了後に細江氏は「23年も前の曲でノッてくれてありがとうございます、おじさんがんばるよ!」とコメント。最後に参加者とオーディエンス全員で「Let's go!」の掛け声1本締めでイベントはフィナーレとなりました。


23年前のアーケードでしか稼働しなかったシューティングゲーム『F/A』。ゲームBGMにデステクノを使用するという斬新さ、硬派なゲーム内容、ノリの良い楽曲に魅せられた根強いファンが集結した本イベントは、楽曲を大切にしてきたスーパースィープのコンポーサー陣、『F/A』というゲームに魅せられたファンの思いが爆発したイベントでした。