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今回はUbisoftにて、Massive Entertainmentのクリエイティブディレクターであるジュリアン・ギャリティ氏にインタビューを実施。本作の魅力について、RPG要素を中心に、PvPエリアである「Dark Zone」やビジュアル表現へのこだわりなどについて伺いました。
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──まずは本作の目的と進め方について教えてください。
ギャリティ氏:『The Division』の世界では、人によってばらまかれたウイルスによりニューヨークの秩序が失われてしまい、力を我が物にしようと暴れまわっている集団がいます。プレイヤーは一般人ですが訓練を受けて戦いに赴き、元々ニューヨークで生活していた人々のために秩序を取り戻していくのが目的です。ゲームをスタートすると、まずは拠点となる基地を制圧します。そこからミッションを探しに行き、クリアしていくなかで各地で何が起こったのかがを明らかにしつつ、どうすれば秩序を取り戻せるかを考え行動していきます。
──拠点は複数ありますか?
ギャリティ氏:拠点では他のプレイヤーと出会えるソーシャルスペースという立ち位置で、バーやオフィスなど18個程度あります。その中にメジャーベース(Base of Operation)という大きな拠点があり、ここがゲームをスタートしてまず制圧する場所です。
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メジャーベースでは物語のキーとなる人物を助けることができ、それに応じてミッションがアンロックされていきます。特定のスキルをアンロックするなど、メジャーベースでしか行えないこともあります。なお、スキルの付け替えなどはどこの拠点でも可能です。
──ミッションにはどのような種類がありますか?
ギャリティ氏:人を助けてオープンするミッションもありますし、歩いていたら突然発生するものもあります。種類としては人質を助けたり、電気の供給を取り戻したり、警察署の中を調べに行ったり、ニューヨークを助けにきた軍の人たちが敵に囲まれているところを救助したり──と、多数のバリエーションがあります。
──ミッションの数やゲーム全体のボリュームについてはどのぐらいになりますか?
ギャリティ氏:メインミッションは約20、サイドミッションは約50~60、ランダムで発生するミッションは100以上あり、アクティビティを合計すると700以上はあると思います。ボリュームとしては終わりのないゲームを目指しているので、ミッションは再度挑戦することも可能です。また、メインミッションは『アサシン クリード』のように1本の大きなストーリーを順に追っていくものではなく、最初のレベルからどのミッションも受けられる自由な形をとっています。
──エンディングはありますか?
ギャリティ氏:(マルチエンディングではなく)1つのエンディングが存在します。ただし、他のオープンワールド系のゲームと同様にエンディングを見たら終わり、ではありません。サイドミッションをクリアしたり、マルチプレイエリアDark Zoneでアイテムを集めたり、ローンチの後も開発チームはサポートを続けていきますので、すべてが終わった後でも十分プレイができます。
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──レベルキャップはありますか?また、到達にはどれぐらいの時間を想定していますか?
ギャリティ氏:30レベルです。辿り着くまでには50時間ぐらいかかります。
──シングルプレイとマルチプレイ(Co-op)の違いはありますか?
ギャリティ氏:シングルでできることはすべてCo-opでもできます。明確な違いとしては、シングルではCo-opならではのスキルを使った戦略ができないことと、Co-opでは敵の量が増えるなどがあります。
──PvPができるエリアDark Zoneを作った狙いを教えてください。
ギャリティ氏:Dark Zoneは、仲間や敵に対して常に懐疑心を持つという新しいPvPをコンセプトとしています。PvPエリアとなっていますが、必ずしも戦う必要はありません。例えば、AチームとBチームが組んでCチームを倒したり、Cチームは誰とも戦わずに漁夫の利を狙ったり、誰ともチームを組まずに1人でこっそり入って宝を見つけて帰ってもいい。チームを組んでいたとしても、宝を手に入れた仲間を殺して独り占めもできます。
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UBIDAY2015で出展したバージョンでは試遊時間の制限があり、凝縮した内容となりましたが、実際はもっとゆっくり駆け引きを楽しむことを想定していて、常に緊張感を持ったPvPを提供したいと考えています。またDark Zoneには個人レベルがあり、滞在時間や殺されなかった時間などによって上昇し、より良いアイテムを手に入れることができます。
──Dark Zoneで殺されてしまった場合のデメリットはありますか?
ギャリティ氏:死んでしまうと宝を落としてしまいます。UBIDAY2015のバージョンではエリアが狭かったのですが、実際はもっと広いので、頑張って宝のもとにたどり着いたにも関わらず、手に入れることができないのが一番のデメリットですね。
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宝を手にすると黄色いバッグが表示され一目で分かってしまうので、持っているプレイヤーを観察して、仲間が後ろから来ているから殺さないでおこうとか、仲間全員が宝を持っていて何も持っていないプレイヤーが来たら仲間に引き入れて新しい宝探しに連れて行こう、といった選択や決断が迫られる場面が発生します。
──そうすると、Dark Zone内に宝は複数あるということですか?
ギャリティ氏:そうですね。たくさんあってレベルに応じて良いものが手に入ります。
──クランはありますか?
ギャリティ氏:発売時にはサポートしていませんが、発売後に作ろうと考えています。
──キャラクターのカスタマイズの幅について教えてください。
ギャリティ氏:性別、人種、年代とキャラクターのベースを選択します。その後、髪型や眉毛、ヒゲ、タトゥー、傷などを変更できます。人種については、日本人、東南アジア、白人、黒人、インディアンなど様々なものから選ぶことができます。熟年好きのために、おじさんやおばさんも作ることができますよ(笑)
──熟年好きなので楽しみです(笑)RPGでは定番のアイテムを収集する要素はありますか?
ギャリティ氏:レベルキャップに到達したプレイヤーにモチベーションを与え続けるために、今ちょうど調整をしているところです。
──本作ならではのグラフィック面のこだわりはありますか?
ギャリティ氏:すべてのディテールにこだわっていますが、それらがダイナミックに動いている点が本作ならではの部分です。これらは「Snowdrop Engine」と、600人を越える優秀なスタッフのおかげだと思っています。
──ゲーム内の移動手段は徒歩ですか?
ギャリティ氏:パンデミックによってインフラがダウンしているので、基本的には徒歩のみとなります。『アサシン クリード』のように特定のロケーションを発見するとファストトラベルができ、そのポイントは多数用意しています。また、ミッションの近くにはファストトラベルポイントがあるため、あまり長距離を歩く必要はありません。
(同氏が開発に携わった)『THE CREW』では4時間ドライブするというミッションがありましたが、そのような移動させるようなミッションもありません。でも、歩くのが楽しくなるようなゲーム作りを目指しています。
──とても作りこまれているので、まるで「アイ・アム・レジェンド」や「ワールド・ウォーZ」など、ハリウッド映画の中を歩いているような感覚になりました。
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ギャリティ氏:ロケーションを作る際には色々な映画も参考にしていて、挙げられた作品もまさにそのうちの1つです。映画といえば、E3ではスティーブン・スピルバーグ監督が訪れ、本作をプレイしたというエピソードがあります。スピルバーグ監督は、「ニューヨークの街がリアルに再現され、さらにパンデミックによって荒廃してしまったという変化の様子が、非常にシネマティックで感慨深い」と話されて、プレイ後には「このゲーム買うよ!」と言っていただけました。
──スピルバーグ監督お墨付きというわけですね!それでは、本作はどのようなユーザーにオススメですか?
ギャリティ氏:しっかりと作れたシューティングゲームなので、シューティングが苦手だったり、あまり慣れていないカジュアルなゲーマーにはストーリーを進めることが難しいと思います。シューティングをベースに武器やアイテムをカスタマイズするRPG要素も作りこまれているので、ハードコアなユーザーには楽んでもらえると思います。
──(以前発表されていた)コンパニオンアプリは配信されますか?
ギャリティ氏:本作開発に注力するため中止になりました。
──来年実施予定のβテストはどのような内容がプレイできますか?
ギャリティ氏:『The Division』がどのようなゲームか理解して頂くために、メインミッション、サイドミッション、ECHO、大きめのDark Zoneなど、すべての要素を少しずつプレイできるようにしています。日本を含めて2016年1月実施を予定しています。
──日本での発売はいつ頃になりますか?
ギャリティ氏:オンラインでの不平等がないように、できるだけ北米・欧州の発売(2016年3月8日)から数日以内には出したい、という希望はあります。
──最後に、本作を楽しみにしているユーザーに向けてメッセージをお願いします。
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ギャリティ氏:日本に来てUBIDAY2015に参加し、ユーザーがどれだけゲームに熱を持っているかが体感できたので、とても幸せな気持ちでスウェーデンに帰ることができますし、開発へのモチベーションにもなりました。来年の春にDark Zoneでお会いしましょう!全部奪ってやるからな!(笑)
──ありがとうございました。