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HTC NIPPONは、Valveと共同開発のVRデバイス「HTC Vive」を国内で公式に発表すると共に、本体の実店舗販売や活用事例などを紹介する記者説明会を都内のベルサール秋葉原で実施しました。
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今回の発表会では、初めにHTC North Asia Presidentのジャック・トン氏が登壇し、Viveを日本で店舗発売出来ることを嬉しく思うことを述べると共にVRデバイスのコンセプトを改めて説明しました。その中でViveの3つのコンセプト「Humanity(人間性)」と「Imagination(想像力)」、「Technology(技術)」を列挙。それら全てが人々に向けたものであると語っています。またHTC Viveの更なる可能性として、医療分野への応用やAudiやBMWなどの自動車メーカー、IKEAの家具メーカー、不動産業者などによる多様な利用例を挙げました。
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続いてVR新技術部門担当のレイモンド・パオ氏が登壇。Viveが2つのVRコントローラーと赤外線センサーで構成され、その場でのVR体験(Seated Experience)では2.25平方メートル(1.5m x 1.5m)、ルームスケールでは20.25平方メートル(4.5m x 4.5m)の面積で楽しめると解説しました。また、VRコンテンツを拡充させるグローバルVRアクセラレーターとして北京や台北、サンフランシスコに存在する支社を紹介し、技術や研究開発などを含めた支援である100億ドルのVRベンチャーキャピタルアライアンス(VRVCA)を行うようです。
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人々がVRデバイスに何を見出すかという関心については、ゲームや全天球の映画/ビデオ/ライブ映像、バーチャル教育、ソーシャル、ショッピングなどを並べて挙げます。また、男女間の興味については(中国での調査)、男性がゲームや360度映像とライブ映像、女性が360度映像、ゲーム、そして教育であると話し、セッションを終えました。
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次にHTC NIPPONの玉野浩氏が登壇し、国内向け販売についての考えを説明。Viveの販売チャンネルはデジカと協力し、HTC Vive公式サイトの他にもドスパラやツクモ、ユニットコムの4ブランドで展開します。販売開始時の店舗展開は36と少ないものの、北は札幌から南は福岡までをサポート。店舗販売では希望小売価格99,800円(税抜)となるようです。また、販売各店舗にはVive体験スペースが設置され、グリーンバックを利用した体験風景を見られるモニターを設置するようです。
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玉野浩氏のセッションの後、デジカのCEOであるジャック・モモセ氏が登壇しました。同社の事業内容の説明後、6月1日よりオンライン販売を開始したViveはゲーマーや開発者だけでなく大学の研究室などでも利用されていると解説。VR元年にデジカが送り出す役割として「VRのユーザー体験の場を広く提供」、「VRコンテンツ普及のための環境作り」、「Viveの普及」、「コンテンツのパブリッシング、サポート」の4つを挙げました。これらの要素に関してVR体験可能な場所を検索出来る“VR予約システム”やイベントなどに積極的に参加、そしてゲームとVRパブリッシング(先日発表されたVR対応『さよなら海腹川背』など)を挙げ、パブリッシングに関しての相談があればサポートを提供出来ると話し、プレゼンテーションを終了しました。
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バンダイナムコのAM事業部エグゼクティブ プロデューサーの小山順一郎氏
続いてViveのパートナーとして、バンダイナムコエンターテインメントやコロプラネクスト、電通、大日本印刷、グリー、スクウェア・エニックスが1セッションを終えるごとに次々と壇上へ上がりVive使用例を紹介しました。
教育分野におけるViveを利用した映像は3分から
この中で一際目立ったのが、「VR ZONE Project i Can in お台場ダイバーシティ」を運営するバンダイナムコで、『装甲騎兵ボトムズ バトリング野郎』や『マックスボルテージ』などエンターテインメント分野における大小様々なコンテンツを解説し注目を集めます。他にも学術的アプローチでは、大日本印刷がフランス国立図書館共催する「地球儀・天球儀展」で天球儀内部をデジタル的に観覧することに活用していると語っていました。
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全てのパートナーケースステディを終えた後に玉野浩氏とジャック・トン氏、レイモンド・パオ氏への質疑応答へと移ります。質問は、「日本はPCゲームの市場が大きくなく、一般家庭ではルームスケールの利点が生かせないため、コンシューマー向けの販売はどの様に計画しているのか?」というもので、トン氏の返答は「日本はゲームのコンテンツ大国であることを認識しているが、数字で現れるほど小さいと考えていない」述べています。日本のVRコンテンツで“ヒーローコンテンツ”と呼べるものが登場すればVR全体でビジネスが盛り上がり、グラフィックカードなどハードウェア分野においても賑わいを見せるだろうとのことです。
また、コンテンツパートナーに関しては、パートナーを増やすためにも、排他的にし数を絞ることはせず、大/中/小それぞれのデベロッパーに向けてサポートしコンテンツの収益化を支援します。さらに、コンテンツパートナーの数を決めておらず出来るだけ多くのパートナーと仕事をしたいと考えているようです。この発表会は質疑応答が締め切られると共に終了しました。
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終了後、会場内でHTC Viveの体験イベントが実施されました。今回体験プレイしたタイトルは、CCP Gamesの『EVE: Gunjack』と『Fruit Ninja VR』の2つです。ViveのVRコントローラーの精度の高いなトラッキングから『Fruit Ninja VR』のような次々と的を斬っていくタイトルと相性が良く、爽快なチャンバラ感を体験出来ます。今回はルームスケールではなくその場でのプレイでしたが、腕を動かすような運動量が多いタイトルは、立ちながら遊ぶと疲れやすいため座りプレイとの相性が良いのかもしれません。他にも会場にはNVIDIAのGTX 1080/1070と、AMDのRX 480や、グリーンバックを利用したVR体験コーナーが展示されていました。