事の発端は2018年、Steamでビジュアルノベルを中心としたいくつかの性的コンテンツを含むタイトル審査が遅延させられていたとみられる事象。2018年5月には、性的コンテンツを含むタイトル群に対し、不明瞭な基準による「Steamからの削除もしくは内容修正」が勧告され、議論が巻き起こります。結果としてValve側は、「明白なトロール(いたずら)」以外のタイトルについて適切なツールの整備後に一切の制限を廃する、と告知することとなりました。
Valveは、上記の出来事に際し、先日から行われていた「開発者&パブリッシャーホームページの追加」「近日登場ゲームリストの機能更新」の改良、追加されたばかりの「開発者、パブリッシャー、キュレーターのスルー機能」が一連の流れに関連したものであると公表。アカウント個人設定のゲームタグフィルターも3つから10つまで設定可能にし、“おすすめ”だけでなく“最も人気のあるタグ”でもスルーされるように変更したとのことです。
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また、検索時に該当のゲームが“成人向けコンテンツ”や“その他のユーザー設定”で除外されていた場合に、理由を含め安全な方法で知らせる機能を追加。一般的な内容に関する“成人向けコンテンツ”と、明白に性的な内容に関する“成人向け”のフィルターもそれぞれ追加されています。
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さらに、暴力的または性的なコンテンツを含むゲームの開発者には、コンテンツが表示される際の文脈をユーザーが知ることができるよう、その内容の説明を義務付けたとしました。
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Steamにおけるビジュアルノベルや美少女ゲームに関しては、2018年5月以降、「適切なツールの整備後」という形でいくつかのタイトルが一時差止めされてしまっています。Love in Spaceのノベル『Shining Song Starnova』は、GOG.comで一般タイトルとしてリリースされたものの、その後もSteamの審査を行えず、「GOG.comよりも更に自主規制を強めたバージョン」を作成しました(未だリリースされず)。中には本来のリリース予定より半年以上も差し止められているタイトルがあり、一部のデベロッパーには8月中旬の段階で今後数カ月は一時差止めが続く事が告知されています。
一方、昨今Steamでは、「Hentai」「Oppai」「Opai」などの名称を持つ、いわゆる“アセットフリップ”に近い作りの廉価なミニゲームが多数リリース。中には、前述の一時差止めされたタイトルよりも過激な描写のCGが含まれていたり、ワークショップなどを介し完全に成人向けのコンテンツの提供がなされていたり、その後全く別のゲームが“アップデート”として混入されたりなど、他のゲームとの対象性を著しく欠く内容のタイトルもリリースされました。(当該タイトルはその後ストア削除)なお、それらのミニゲームでは使用されている画像の無断利用疑惑も生じています。
Valveは、「ストアから有害因子を取り除く努力」として、今回のブログエントリ内でも、実際にゲームを制作して販売するための誠実な努力にはまるで興味がない「ゲームの形をしたオブジェクト」をリリースするだけの開発者を、「過去に何を行ったのか、Steamにおける開発者としてや顧客としての振る舞い、銀行情報、提携している開発者など」に渡る徹底的な評価により「明白なトロール」として排除しているとしました。
しかしながら、前述のような現象も起こってしまっている状況で、新基準の開始を果たせるのでしょうか。今後の展開にも注目が集まります。なお、Valveは今回のブログエントリ上にて、具体的な新Steam作品表現ルールの開始時期については触れていません。