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季節はめぐり春、夏、秋、冬。季節の数だけ景色がある。そして景色の数だけ、ギャルゲーもまた存在するのだ。ギャルゲーの主役といえばなんと言っても多種多様なヒロイン達……。この連載はギャルゲーのヒロインを百人攻略するという妄念に取り憑かれた男の飽くなき挑戦の記録である。
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さて、引き続き『Screen』の攻略を薦めていく。前回のプレイでは一周8時間ほど要したが、今回からはスキップが利用できるので抜本的にプレイ時間の短縮が図れる(とはいえ4時間ぐらいはかかってしまった)。
このゲームのシナリオは基本的に(前回攻略した)「高坂舞子」との物語を縦軸として進み、他のヒロインはそこから派生していくという形式なので、未読の方は前回の第五景から読むことをおすすめしたい。
今回攻略するヒロインは今作の攻略可能ヒロインの中でもかなりサブヒロイン然とした彼女、「杉部奈穂」である。「サブヒロイン然とした」という概念をうまく説明するのはすごく難しいのだが、噛み砕いて言うと「本筋とあまり関係なさそうなヒロイン」っつうことだ。っていうかさ、「本筋」というものを定義するのもメチャクチャ厄介なんで、自分からはじめといてなんですけど、この話やめていいっスか……?
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なんだかんだいろいろあって妹と同居し始めた主人公……こと書く彦。そんな書く彦がある日大学構内を歩いていると、人気のない道で女性と出会う。なぜか木に登ろうとしている彼女に好奇心を掻き立てられ、話しかけてみると、傘が木に引っかかってしまい取れなくなって困っているとのこと。そこで『ロックマンX』ばりの三角跳びで華麗に傘を取ってあげて、お知り合いになることに成功する。彼女はおっとりした喋り方で、かなり典型的な「あらあら系」のキャラである。
ご存じない方のためにざっと説明すると、「あらあら系」とはなにかボケをかましては「あらあら」とか言ってニコニコしているタイプの「おっとり/天然ボケ」キャラクターのことを指す言葉で、ラーメンでいえば「家系」「二郎系」ばりにギャルゲー/アニメ界では有名な系統のひとつだ。とはいっても彼女は「あらあら」とは言わないのだが、そこはほら、「あらあら」と言わない「あらあら系」のキャラクターというものも存在しているんですよ。この話ややこしいですね、やめていいッスか……?
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傘を取ってあげたことをきっかけに知り合いになった二人。彼女が書く彦の一学年先輩であること、下の名前が「奈穂」であることを教えてもらえる。この時点ではなぜか苗字を教えてくれないのだが、取説にはビシッと書いてあるし、隠している理由もすぐに明らかになる。
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と、いうのも実は彼女、江戸時代から続く「一丸財閥」の筆頭企業「SONEGA」の社長令嬢であり、その身分を隠すために苗字を言い渋っていたのだ。学校にもリムジンで来ているウルトラスーパー金持ちなので「あらあら系」の他に「お嬢様属性」も兼ね備えているわけだ。ぜひともお近づきになりたいですね。
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彼女はお嬢様らしくピアノが上手で、その演奏に深く感銘を受ける書く彦。すっかりよく知りもしないクラシック音楽にかぶれ、幼馴染にドヤり散らかす。かなりどうかと思うふるまいだ。でも、ここまで極端じゃなくてもこういう人っているし、自分にそういう側面が無いとも思わないので、まあ、謙虚に生きていこうな。オレたちはさ。
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知ったかぶり野郎の書く彦とは対象的に、箱入り娘なため本当になんにも知らない奈穂。料理名などもあまり気にせず生きているというマイペースっぷりだ。それにしたって「キンピラゴボウ」を知らないのはすごいが(一応補足しておくと、料理名を知らないだけで食べたことはあるらしい)、最高にロックしてる人間には「知る必要がないこと」ってのがあるんだ。
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そんな彼女に影響され音楽に興味をもち、メチャクチャ懐かしいことを言い出す書く彦なのであった。どうしてもこの画像を貼りたかったので、文脈上無理があってもぶち込みました。
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あまりに浮世離れしているがあまり「普通」に憧れる奈穂。そんな彼女に書く彦は「もっと長く一緒にいられるかも」という下心もありながら、リムジン通学をやめ、電車で通学することを勧める。その提案をよく分かってないながらも承諾する奈穂。
っていうか「キンピラゴボウとか知らない?」といい「電車って乗ったことあるよね?」といい、書く彦は完全に奈穂のことをナメているようにしか見えないので、本当にどうかと思う。まあ結果的にはキンピラゴボウは知らないし電車に乗ったこともほぼなかったのだが……。
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スルスルと順調に距離を詰めていく二人だったが、その関係に暗雲が立ち込めることになる……。と、こう書くと大げさなのだが、実際起こった出来事と言えば「彼女の誘いを、どうしても外せない用事のために断った」というだけである。それだけなのに「最接近の決定的なチャンスを逃したのかもしれない」と異常に気にする書く彦は完全にどうかしている。
このシナリオでの書く彦は、ヒロインのことをナメてる知ったかぶりで情緒不安定なヤツという、かなり厄介なキャラになっている。本当だったらこんなヤツとは誰も友達になりたがらないと思うが、奈穂はあまり世間のことを知らないので受け入れてくれているっぽい。よかったね。
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おそらく相手してくれる唯一の存在なので、奈穂にどんどんのめり込んでいく書く彦。のめり込みと比例して地の文がどんどん詩的になっていく。恋愛ってほんと魔法だよね!だからなんとなく(誘いに乗れなかった件の)わだかまりもなくなりました!我ながら雑なまとめ方だが他に表現しようがない!
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世間知らずの箱入り娘っぽいキャラとは裏腹に、奈穂は意外と積極的に書く彦との距離を詰めてくる。まだ付き合っているわけでもないのに腕を組んで街中をデートしたりする二人。そこは年上の貫禄ということだろうか。
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そんなこんなですっかりイチャイチャしている二人。書く彦たっての希望で、ピアノをたっぷり演奏してもらう機会を得る。お前がピアノの演奏に本当に感動したというのはわかったが、それにしたってあんまりな物言いじゃないのか。人が人だったら「褒められてる」とは思わんぞ。
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この「一人に向けたピアノ演奏会」のくだりはこのシナリオのハイライトなのだが、当然実際のピアノ演奏が収録されているわけではないので、主に書く彦によるモノローグポエムで進行していく。引いて見ると「こいつ何言ってんだ」という感じだが、恋愛って魔法だからしょうがないよね。
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ピアノ演奏の余韻に浸る間もなく、なぜか急に倒れてしまう奈穂。実は高熱を隠して演奏していたのだ。奈穂は「家に帰りたくない」と強弁し、なし崩し的に書く彦宅で一夜を共にすることになる。おそらく原作のアダルト版だと、このあたりでそういうシーンがあったんじゃないだろうか。っていうか話に起伏を作るためにしたって無茶な展開すぎやしないか。あと妹はいったいどこへ行ったんだろう。
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一晩中看病した結果奈穂の熱は下がり、その後なし崩し的に告白したりもして、トントン拍子に結ばれる二人なのであった。個人的な気持ちを言えば、熱を出してぶっ倒れることによって愛を確かめるのは金輪際やめていただきたい。
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その後、「奈穂が父親に交際を反対されたと勘違いする」→「実は奈穂が先走って“結婚”すると言ってしまっていた」→「父親はそれは流石に早いのでは?とたしなめただけ」というスットコドッコイなエピローグがつく。「抱きしめられたら即結婚」って「小川直也に負けたら即引退スペシャル」みたいだよね。
めでたしめでたし……と、実はこれはノーマルエンド。前回のヒロインもそうだったが、このゲームではほとんどのヒロインにノーマルエンドとトゥルーエンドという二種類かそれ以上のエンディングが用意されている。
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奈穂の場合、トゥルーエンドルートとノーマルエンドルートは割と早いうちに分岐するので、やり直すのが結構たいへんだった。トゥルールートでは、書く彦は奈穂のホームパーティーに招かれることになる。普通のパーティーだと思ったらコスプレパーティーだった。……ん?
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シャアじゃん。なにかとガンダム縁があるギャルゲー百人百景なのであった。
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その後はしばらくずーっとノーマルルートと共通の展開だが、ノーマルルートにあった「一人に向けたピアノ演奏会」の代わりとして「二人で海に行くくだり」が挿入され、分岐することになる。海でドライブデートを楽しんだ二人は、そこで結ばれることになる。ここまではかなりあっさりめの展開なので、むしろノーマルルートよりこっちのほうがノーマルっぽい。
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もちろんそこはトゥルールート。そんなに簡単に話が進むわけではない。実は彼女は大事なコンクールを翌日に控えた身だったのだ。そんな大事なことをないがしろにして自分とのデートに来てくれた奈穂になぜか軽くキレる書く彦。
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その様子を妹に目撃されるというちょっとした修羅場もついてくる。最愛の兄が女を家に連れ込んでいるショックからか、露骨に体調を崩す舞子。舞子はノーマルルートでは完全に存在を漂白されていたので、ここで登場したときは「お前、生きてたのか」と妙に感動した。奈穂は書く彦に軽ギレされたショックで家に帰ってしまい、書く彦は書く彦で病弱な妹を放ってはおけないので、追いかけることもできない。すれ違う二人……だったのだが。
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なんとかコンクールには間に合い、優勝した奈穂を祝福することができた書く彦でした。ざっと書いているが、本当はもっといろいろなことがあったので興味があるひとはプレイしてみるといいと思う。毎回そんなこと言ってるような気がするな……。
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エンドロールが終わり、エピローグ。舞子が親友キャラと結婚するという驚愕の展開があり……
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主人公も奈穂と結婚していました、というオチ。コンクールのあと何があってこうなったのかまったくわからないので、とてつもない衝撃を受けた。っていうかサブヒロインのルートとはいえメインヒロインが親友とくっつくというのは、ちょっと最近のゲームでは考えられないような気がする。
『恋愛講座 Real Age』がすごすぎたので、あんまり過度な期待をせずにはじめた本作だったが、全然負けてない、すごい。やっぱりギャルゲーは最高に面白いなと思った書く彦なのでした。と、いうことで、まだまだ『Screen』は続く!