
「中華ゲーム見聞録」第25回目は、ごくありふれた中国一般家庭の子どもを育て、高考(中国の全国大学統一試験)を目指す育成シミュレーションゲーム『中国式家長(Chinese Parents)』の女の子バージョンをお届けします。
本作の男の子バージョンについては、「中華ゲーム見聞録」第3回目で記事にしましたので、そちらを参照してください。本作で体験できるのは、これまでは男の子の育成のみでした。しかし2018年9月29日のSteam配信後、ユーザーから「女の子も育てたい」との要望が多数届いたため、1月29日に無料アップデートで女の子バージョンが導入されました。女の子用にイラストやイベントなども一新。新しい『中国式家長』が展開されるとのことです。
本作では赤ん坊のころから育成が始まり、幼稚園、小学校、中学校、高校と過ごし、最後に高考を受けます。この結果により、子どものその後の人生が決まってエンディングです。実際、高考の競争は本当に熾烈。「子どもには良い人生を歩んでもらいたい。そのためにはいい大学に入ってほしい」という親心もあり、親も子もこの時期は大変です。
ただ本作においてはそのようなつらい話がメインではなく、中国一般家庭の「あるある」ネタ(そして中国の自虐ネタ)を多く盛りこみ、ユーモア溢れる作品に仕上げています。このあたりも以前の記事を参照していただければと思います。さて、今回はどのような内容なのか。さっそくプレイしていきましょう。
スパ子誕生!

目を開くと、そこには両親や祖父母が。このあたりの流れは男の子バージョンと同じですね。そして赤ちゃん時代は、女の子でも黄色い物体になっています。いや、よく見ると頭に可愛らしい花が付いてますね。育成のためのミニゲームやパラメータについては以前の記事で触れているので割愛します。

室内の様子も変わっていて、女の子らしくなっています。あと窓には旧正月を祝う切り絵が。日本では今年の干支はイノシシですが、中国ではブタです。ブタが日本でイノシシになった理由は諸説ありますが、日本ではイノシシがよく獲れ、ブタを家畜にする習慣がなかったからのようです。

赤ちゃんの名前は「スパ子」と命名。まだハイハイやよちよち歩きぐらいしかできません。親が体力や知力の向上を願っているので、ミニゲームとスケジュールによってそのあたりを中心的に上げていきます。親の期待に応えればボーナスが得られます。どういう方向で育てるかは、ゲームの流れで決めていく方針で。
幼児教育の日々

歩行を覚えたので、さっそく練習を始めます。このあたりも女の子用のイラストに変わっていますね。

新スキルを覚えたときには、両親のセリフややりとりが入ります。母曰く「女の子は小さいころからたくさんのことを学ばないといい結婚ができないわよ。あなたのパパに嫁いだ私のようになってはダメよ」とのこと。

スパ子が泣き止まないので、父が睡眠薬を飲ませようと提案。もちろん母に止められました。相変わらずのブラックネタですね。しかしステータスが減っているあたり、飲まされてませんか?
幼稚園に入園!

幼稚園に入りました。これから親戚がやってくるとのこと。母の面子を潰さないよう注意されます。このゲーム名物の「面子バトル」が始まりそうですね。
面子バトル開始!親同士が子ども自慢や家庭自慢をして、相手の面子を削っていきます。4ターン後に多くの面子が残っていたほうの勝ち。子どもが高度なスキルを覚えていれば、攻撃力も高くなります。勝つと面子パラメータが増えます。

バレエのスキルを身に着けたのでさっそく学習します。これも女の子バージョンのスキルですね。娯楽にもママゴトなどがあります。

スマホを没収された隣の子が、家に遊びに来ました。どうしますか?「おもちゃを取り出して一緒に遊ぶ」を選んだら、なんと隣の子はそのおもちゃを家に持って帰ってしまいました。スパ子は心に傷を負って悟性(スキル習得値)が30減少。社会の無情さを感じます。

幼稚園の中で比較的わんぱくな子どもたちがグループを作っています。どこかで見たような方たちですね。ちなみに中国でもドラえもんは人気があります。
小学校生活の始まり

小学校に入りました。親の満足度やスパ子へのストレスなどを考えつつ、スケジュールに娯楽を入れていきましょう。またショップで買い物をすることもできるようになりました。

情緒管理の訓練。どこかで見たことのある顔と、「怒った?」「怒ってないよ」のやりとりが。小ネタにしてはマニアックな部類だと思うのですが、中国でわかる人がどれだけいるのでしょうか。

テストが行われましたが、人文以外はひどいありさまで不合格。父に注意されます。育成が偏りすぎるとテストは上手くいきませんね。

スパ子はあまり体育が好きではないようで、教師に文句を言っています。また騒ぐばかりのクラスの男子たちがお気に召さないよう。女の子用のイベントも新しく加わっていますね。
小学校ももうすぐ卒業

小学校高学年になりました。身長が伸びてどことなく大人っぽくなったような。成績がよければ名門中学も目指せますが、スパ子は勉強が苦手なようです。今の成績だと厳しそうですね。

作文コンクールに臨むスパ子。頭に付けているのは猫耳でしょうか。シャツの絵柄など、やはりまだまだ子どものようですね。「作文の奥義」となぜか日本語が出てきています。
クラス委員長の選挙演説で他の立候補者を制して勝利したスパ子。旧正月に親戚が来たときには、前回でもおなじみの紅包(お年玉)の受け取りミニゲームがあります。遠慮しつつも最終的にはもらうという微妙な駆け引きをしなければなりません。今回は失敗しました。
恋に友情の中学生活

普通の中学に入ったスパ子。残念ながら名門中学はあと一歩のところで逃してしまいました。中学では友達や彼氏など、人間関係も重要になってきます。

図書館に行くとクールな眼鏡男子、江寒波(こうかんは)が登場。自分が借りようとした本をスパ子にゆずってやったりなど、冷たそうに見えて結構いいやつです。

そしてオタク趣味丸出しの朱イク明(しゅいくめい)。アニメキャラのシャツを着て学校に来られるのはある意味勇者です。さわやかイケメンだから許されているのでしょうか。こいつも眼鏡ですね。スパ子に漫画を貸してくれました。

今回の新システム、放課後一緒に行動する生徒を選ぶことができます。チュートリアルでは幼馴染の女の子、萌萌を選ぶよう言われますので従いましょう。

なんでも忍者の秘密集会があるとかで、萌萌に誘われて見に行きました。海外に渡った服部の一族だそうで、萌萌は忍者テレパシーを感じ取ることができるようです。ちょっと何言ってるかわかりませんが、萌萌とは仲良くなれました。
勉強を頑張ろう!

男の子バージョンでは彼女候補だった劉偏偏が登場。知っているキャラが出てくると嬉しいですね。学校ではスパ子、萌萌の3人でよくつるんで行動しているようです。

中学ではそこそこ成績の良いスパ子。ただこれでも名門高校を目指すためには全然足りません。さらなる勉強が必要です。ただ勉強を重視すると行動力を交友に割けないため、結構悩みどころです。「人間関係を取るか、勉強を取るか」といった選択ですね。

萌萌との交流イベント。もうすぐテストなので、スパ子、萌萌、劉偏偏の3人で勉強会です。スパ子は仲のいい友人とばかりつるんでいて、彼氏候補の野郎どもはそっちのけになってますね。
高考までラストスパート!

高校に入学したスパ子。だいぶ大きくなりましたね。残念ながら名門高校入学は失敗しました。ちなみに中国で高校は「高中(高級中学)」と言います。高校は中国では「高等学校」のことで、大学などを指す言葉になります。

スパ子の部屋。鏡のそばに猫がいますね。高校に入ってからのテストの成績はあまり芳しくなく、母に叱られてしまいます。理系方面に能力が偏ってきたのが問題かと。総合成績をよくする必要がありそうです。

高考直前のテストでもあまりよい結果を出せていません。父からは「高考の結果が良かったらおいしいものを食べに行こう」と言われますが、これは厳しいかもしれません。

勉強で忙しいタイミングに新キャラ、凌小時(りょうしょうじ)が登場。雑用の手伝いを頼みに来ました。しかしもう高考で忙しい時期なので、仲良くなっている暇もなさそうです。
運命の高考!

高考が始まりました。画像は以前の記事でも説明しましたが、生徒たちの「もう勉強したくない」という気持ちとともに教科書やノートを投げ捨てる恒例行事です。最近では「有名大学に受かったらノートが高く売れる」という理由で取っておくしたたかな生徒もいるとか。

高考の結果は「浙江工商大学」への入学。ちなみにこのゲームに出てくる大学は実在しています。前回より点数は高いですし、きちんとした大学ですし、悪くはないんじゃないでしょうか。就職先はコンピュータ関連の仕事でした。

それから運命の結婚。3人の候補者から一人を選び、その人とお付き合いをします。前回は何とか成功しましたが、今回はどうなるのか?

……が、駄目!付き合ってみて互いの性格が合わなかったのか、別れてしまいました。結婚失敗です。中高時代に女友達とばかりつるんでいたので、恋愛関係まで育った異性がいませんでしたね。今回は残念な結果となりました。次のスパ子はもっと上手くやるでしょう。
無料アップデートとは思えない充実した内容
前述したとおり、今回の女の子バージョンは無料アップデートです。しかしイベントやグラフィックが女の子用に一新されていて、もう一つの別作品を開発したかのような手間がかかっています。ユーザーの意見をしっかり汲み取ってくれるデベロッパーの姿勢は素晴らしいものがありますね。


今回のプレイでは彼氏候補の男子生徒が3名しか出てきませんでしたが、全員で7名いるとのことです。また彼らには数々のイベントや、親になった彼らがイラスト入りで登場するとのこと(男の子バージョンも同様)。男女ともども、幅広い層に受け入れられる作品と言えるでしょう。日本語はまだありませんが、アップデートは現在も続いているので、今後のさらなる展開に期待したいと思います。
製品情報
『中国式家長(Chinese Parents)』
開発・販売:墨魚玩遊戯、Coconut Island Games
対象OS:Windows、MacOS
通常価格:1,010円
サポート言語:中国語(簡体字)のみ
Steamストアページ:https://store.steampowered.com/app/736190/__Chinese_Parents/
※本記事で用いているゲームタイトルや固有名詞の一部は、技術的な制限により、簡体字を日本の漢字に置き換えています。
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