その異変とは、同作の勢力争いの主体である外宇宙エリアにおける、NPC勢力によるユーザー施設への大規模侵攻です。同作では以前から敵対NPC自体はもちろん存在していましたが、あくまで一般的なMMOのモンスター同様の決まった“やられ役”であり、そのようなプレイヤーコミュニティ施設自体への破壊行動が見られることはありませんでした。
PC Gamerによれば、この事態が最初に発生したのは2019年6月26日頃。ゲーム中の大勢力の1つであるTEST Allianceのメンバーに突如として「スターベースが攻撃された」というメッセージが送られたことから始まりました。
攻撃にはユーザー製の自動報告プログラムが働いており、本来ならば敵対者を示すはずが“何故か”一部が文字化けで表示されない事態ながら、メンバーが該当のスターベースへと向かった時、そこには100近い非常に強力な敵対NPCの姿が。先の文字化けはプログラムに規定されていないNPCからの攻撃だったため発生した事態だったのです。
これが他勢力による何らかの未知の手法による破壊工作ではないかと一時は疑われたものの、スパイは発見できず、更には被害がそのスターベースのみにとどまらず、勢力を問わず他の多数のスターベースが時を同じくして同様の被害にあったほか、この攻勢を開始したNPC勢力「Drifter」のAIが変化していることも明らかに。
小規模な「Drifter」集団により、現金では150ドル相当になるほどのゲーム内マネーを要するスーパーキャリアーの撃沈などの多数の被害も発生したとのことです。
いずれにしても、この侵攻により多くのユーザー組織が一時停戦し、この新たな「侵略者」へと備える必要が生じたことで、長年築き上げられた『EVE Online』の世界に大きな変化が発生したともいえます。
この事態に対し、大勢力The ImperiumのThe Mittani氏は、プレイヤー対プレイヤーが基本であった同作において『World of Warcraft』のレイドのようなPvEコンテンツに時間を割かなくてないけなくなったことに不満を表明。実際の人間が介在しない襲撃に対し難色を示しているようです。
Coalition Influence Map Timelapse [Today - Next Week] -- we can only hope?
運営CCP Gamesはユーザーからの問い合わせに関して沈黙を守る一方で、公式ニュース映像でこの侵攻を伝えるほか、画像を提示し今後更にこの襲撃が激化する可能性を示唆しました。なお、『EVE Online』の大きな変化の中でも事前告知が一切ないケースは異例。先日導入された同作の最新拡張のタイトルは「Invasion」でしたが、本来の意図はこのイベントにあったのかも知れません。
運営の意図の有無はともかく、突如NPCがプレイヤーの打ち立てたコミュニティを破壊せんと次々侵攻する様は、MMORPG舞台のフィクション作品でも度々描かれてきた光景。いかにも「燃える」シチュエーションではありますが、実際のイベントとしては「炎上」はしないように難しい舵取りも要求されそうです。イベントの行末に注目が集まります。