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「中華ゲーム見聞録」第48回目は、ローグライクとカードゲームを融合したダンジョン探索型RPG『Card Monsters: Dungeon(*片地下城)』をお届けします(*は「下」の上に「上」の字)。
本作はCheese Gamesによって7月17日にSteamで配信されました。ローグライク&カードゲームと言えば『Slay the Spire』がありますが、本作も内容的には近いものになり、手持ちのカードを使って敵を倒しながらダンジョンを潜っていきます。本作のストアページには「DBG+Roguelike」と書かれていますが、「DBG」は「デッキビルディングゲーム」のことです。課金して得たカードを最初からデッキに組み込めるといったものではなく、弱い初期デッキからスタートして、ゲーム中に用意されたカード群からカードを購入し、次第に手札を強化していくタイプのものです(ボードゲームだと「ドミニオン」や「ハートオブクラウン」「アセンション」などが有名です)。
「どのようなカードをデッキに加えるのか。どのような手札が来るのか。それをどう利用するのか」というDBGの戦略性・ランダム性とローグライクは相性が良く、「最終的にどのようなデッキを作るか」を考えるのもこの手のゲームの醍醐味と言えます。
本作は1人で冒険するのではなく、5人のキャラクターから3人パーティを作ってダンジョンを攻略します。5人にはそれぞれ特技があるので、その組み合わせを考える必要もあります。またキャラクターごとに専用のカードが用意されています。いったいどんな冒険が待っているのでしょうか。さっそくプレイしていきましょう。
まずはチュートリアルから
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ルール把握のためにチュートリアルからスタート。画像の戦士がプレイヤーのようです。とりあえず「ゲムスパ」と名付けましょう。3人パーティーが売りの本作ですが、ここでは1人ですね。画面にはダンジョンのマップが表示されており、次どこへ行くかを決めることができます。現在地(赤いマーカー)からだと青いマーカーのところにしか進めませんので、とりあえずそこへ向かいましょう。
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到着前にスライムっぽい敵が出現。戦闘に入ります。『Slay the Spire』と違って、古典RPG的な一人称視点ですね。プレイヤーには行動力があり(画像では2)、カード左上の数字が行動力以下でないと出すことができません。手札はすべて「1」なので、「物理ダメージを5ポイント与える」のカードを使ってみましょう。ちなみに現在のデッキはカードが4枚だけです(画像ので全部)。
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スライムっぽい敵に5ポイントのダメージ。使用したカードは捨て札になります。行動力があと1残っていますので、もう一枚カードを出せますね。もう一回同じカードを出してとどめを刺しましょう。
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戦闘に勝利。報酬の金貨2枚以外に、3枚のカードから1枚選んでデッキに加えることができます。筆者的には左のカード(敵1人につき防御点1追加。コスト0)が良さそうなので欲しいのですが、真ん中のカード(自分のライフ3点と引き換えに11点の物理ダメージを与える)を取るように言われました。従っておきましょう。
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目的地のマス目に到着すると、イベントが発生。ゲムスパは湖の中に防御カードを落としてしまいました。すると仙女が現れ、「あなたの落としたカードは『交戦』カードか『皮ソウ肉厚』カードか(ソウは造に米ヘン)」と聞いてきます。初プレイということもありカードの効果が分かりませんが、おそらくどちらも強いカードなのでしょう。「金の斧・銀の斧」の物語よろしく、正直に答えましょう。結果はいかに……。
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仙女は「正直者ですね。すべて与えましょう」とカードを3枚ともくれました。スタート時に4枚しかなかったデッキが、これで一気に強化されましたね。
仲間の登場
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先へ進むと、またもや敵が出現。デッキのカードは7枚ですが、手札で使えるのは最高6枚までです。残り一枚は山札に残っています。敵が5点の攻撃力でこちらを攻撃してくるようで、しかも物理攻撃が効きません。とりあえず5点まで防御できるカード(先ほど湖に落としたもの)を出してしのぎましょう。
ちなみにDBGと同じように、ターン終了時に手札はすべて捨て札になります。山札がなくなれば捨て札をシャッフルし、また山札にして手札が6枚になるように引きます。「ドミニオン」などをプレイしたことのある方は分かると思いますが、デッキが分厚くなるとなかなか自分の欲しいカードが来ないという事態になります。
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魔法カードがないのでどうすればいいのかと思っていたら、魔法使いの登場。仲間に加わってくれるようです。そして手札にもファイアボールの魔法カード(4点の魔法ダメージ)が3枚追加されました。画面中央に魔法使いの行動力とライフも表示されます。魔法使いは青いカードしか使えないようです。行動力2あるので、ファイアボール2連発で撃退しましょう。キャラクターごとに行動力のあるシステムは良いですね。
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敵撃退後、また3枚のカードから1枚を選択。ここでは自由に選んでよいようなので、機械系の敵に対して3点X3回のダメージを与える「真紅閃電」カードを取りましょう。ちなみに「カードを取らない」という選択もできます。先ほども述べたように、DBGではデッキ枚数をコントロールすることも求められます。カードを自由に廃棄することはできませんので、「とにかく何でももらっておけ」というわけにはいきません。
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次の目的地に到着しました。そしてイベント発生。自動販売機ですね。ガチャガチャ的な何かをやらされると思いましたが、金貨2枚で松明2本を買えるようです。何に使うか分かりませんが、せっかくなので買っておきましょう。
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マップ上で松明を使うと、周辺に何があるかを表示したり、罠を暴いてくれます。これは便利。道が上と右に分岐していますが、上に行っても何もありませんでした。右側は、先ほどの松明の効果で仮面のようなマークが表示されていますね。いったい何でしょうか。進んでみましょう。
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敵がいるという意味だったようです。しかもライフが30もあり、攻撃力6で全体攻撃。先ほど仙女からもらった「交戦」カードは3点の攻撃力に加え、敵の攻撃力を落とす効果があるので、これを使ってみます。敵の攻撃力が2点減って4点になりました。防御カード2枚使って残りの攻撃を防ぎ、魔法使いにはファイアボールを撃たせましょう。
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敵の攻撃は防ぎきりましたが、弱体の効果は解けてしまったようです。しかし次のターンで修道女の登場。戦闘を手伝ってくれるようです。これで仲間が3人になりましたね。修道女は主に戦闘を補助するカードを使います。「自分の行動力を他の仲間に与える」というカードがあるので、これを使ってゲムスパの行動力を4にします。そしてゲムスパの連続攻撃で何とか勝利です。
ボス戦、そして新たな戦いへ
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次はマップ最後の目的地で、ボス戦が始まるようです。その前に体力回復をしましょう。マップ上でキャンプファイアをすると、松明3つを消費するのと引き換えに、体力が30%回復します。
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そしてボスの元へ。ボスなので1体だけだと思ったら、ネズミっぽいのが5匹もいます。それになんかギ〇ュー特戦隊みたいなポーズを取ってますね。「沙鼠戦隊」と名乗っていますが、チームで来るとは予想外でした。
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「5体相手はちょっと厳しいかな」と思っていましたが、全員体力が一桁。攻撃力も低いので何とかなりそうです。
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5匹を倒した後に、本当のボスが現れました。「私の戦闘力は53万です」とか言ってますが、体力が53もあるので苦戦しそうです。戦闘中の回復手段がないので、長期戦になるとつらいですね。
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苦戦の末、かなりぎりぎりで撃破。攻撃力の高い全体攻撃を仕掛けてくるうえ、防御も使ってくるので、考えて戦わないと普通に負けるかと思います。チュートリアルから結構きつい展開ですね。
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ダンジョンを脱したゲムスパ一行は、仲間の飛空艇にたどり着きました。画像の男がパーティをこの世界に召喚したようです。彼の目的は「迷霧の主」を倒すこと。キャラクターのレベルアップをするよう言われます。
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ダンジョンで獲得した紫色の水晶を消費することで、レベルアップができます。レベルアップに必要な水晶は3つですが、今ちょうど3つしかありません。ゲムスパだけレベルアップさせましょう。
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レベルアップするとライフが増えるだけでなく、スキルを3つの中からひとつ選ぶことができます。「狂暴化」というスキルは「ダメージを受けるたびに山札から1枚ドローできる」というものなので、これを取りましょう。カードゲームでドローを増やす効果は強いですからね。
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飛空艇のショップではカードを購入数することができます。また金貨3枚でデッキのカードを捨てることができます。自由にカードが捨てられないのもDBGの醍醐味。ここでいらないカードを廃棄してデッキ圧縮をしましょう。
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金貨を支払ってカードのレベルを上げることもできます。行動力コスト据え置きでカードの攻撃力を上げたりなど、今後の戦いを有利に進めるためにも、よく使うカードはレベルアップしておきたいですね。
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チュートリアルは偽の「迷霧の主」を倒すと終了します。今度は本編をプレイしてみましょう。選択できる5人のうち2人はロックされていますね。先ほどの3人で行きましょう。
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本編は飛空艇からスタート。時間の概念があり、50日経つとボス敵が降臨するようです。それまでにパーティやデッキを鍛え上げておかなければなりません。
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任務を選ぶと、3つのクエストからひとつを選ぶことができます。それぞれ消費される日数や得られる報酬などが表示されますので、自分に適したものを選択しましょう。真ん中の「真紅の義賊」に挑戦してみます。
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マップはチュートリアルステージぐらいの広さですね。まだ最初のステージなのでこんなものでしょう。先ほどと同じようにステージを進んでいくゲムスパ。果たしてダンジョンを攻略できるのか。そして50日後に現れるボスとは……。この先は自身の目で確かめてみてください。
遊びやすいながらも本格的なDBG
本作は遊びやすく作られている一方、カード効果が実際のDBGのように本格的です。敵と戦うときも、どういう順番でカードを出すかで頭を悩ませることでしょう。また敵を倒してカードを得たときも、「デッキが厚くなるので取るのはやめた方がいいか」「デッキ構成を良くするにはどのカードが必要か」などといったDBGで頭を悩ませる要素がしっかり組み込まれているのがいいですね。
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それと3人パーティというのが、戦闘を面白く彩っています。「敵が修道女を攻撃するから戦士で防御して、魔法使いはファイアボールを撃って、修道女は全体にバフをかけて……」などといったRPG的な判断や、仲間が死ぬと専用カードが使えなくなるため(画像のように灰色になる)無駄な手札が増えるといったDBG的なデメリットなど、DBGとRPGが上手く噛み合っています。ローグライク好きの人だけでなく、「ドミニオン」などDBG好きな人にもオススメの作品です。現在は中国語(簡体字)のみなので、日本語や英語がサポートされることを期待しています。
製品情報
『Card Monsters: Dungeon』
開発・販売:Cheese Games
対象OS:Windows、MacOS
通常価格:930円
サポート言語:中国語(簡体字)
Steamストアページ:https://store.steampowered.com/app/1077440/Card_Monsters_Dungeon/
※本記事で用いているゲームタイトルや固有名詞の一部は、技術的な制限により、簡体字を日本の漢字・カタカナに置き換えています。
■筆者紹介:渡辺仙州 主に中国の歴史ものを書いている作家。母は台湾人。人生の大半を中国と台湾で過ごす。中国の国立大学で9年間講師を勤め、現在台湾在住。シミュレーションゲーム・ボードゲーム好きで、ブログ「マイナーな戦略ゲーム研究所」を運営中。著書に「三国志」「封神演義」「封魔鬼譚」(偕成社)、「文学少年と運命の書」(ポプラ社)、「三国志博奕伝」(文春文庫)など。Twitterはこちら。