
『イモータル:アンチェインド(Immortal: Unchained)』はスウェーデンのゲームスタジオであるToadman Interactiveによる、難易度がハードでコアなソウルライク+TPSなタイトルです。
主人公が腕力で鎖を引きちぎる!!まさにアンチェイン!!「生きた兵器」として封印されていた者が、満を持して開放されたのだ……と映像だけで理解できる冒頭のカットシーン。我こそが無敵の存在、やってやるぜと気合を入れてコントローラーを握るも、やはり覚悟が甘かった!!それはこれから重ねられる何十という死亡シーンの序章に過ぎなかったのです……。
本作は2018年9月7日にはSteamでリリースされていましたが、日本語には未対応でした。約一年を挟み、オーイズミ・アミュージオのローカライズで2019年8月29日にPS4日本語版がリリースされます。

発売に先立ってそのハードコアさをお伝えするため、何の準備もなしに編集部へ呼ばれた筆者が、6時間ぶっ通しの一本勝負でどこまでやれるのか挑んで参りました!!ゲームオーバーの度にカウントして、正の字が段々ヨレヨレになっていくくらいには苛烈な難易度を誇る本作のプレイレポートをお届けします。
結局、筋力が正義なんですよ

実はソウルライクなゲームが得意だという訳ではないんですが、こういった作品ではいつも筋力を上げて、敵の攻撃は回避行動の無敵時間でなんとかする、そのために敵のモーションを覚えるまで何度も死ぬ……というプレイスタイルを続けています。つまり脳筋です。
『DARK SOULS』などでも筋力を上げて、クラブ片手に半裸で走り回った記憶しかございません。今回、『イモータル:アンチェインド』に関する事前情報は何も用意せず挑みましたが、きっと回避さえできればなんとかなるはずです。大体そうです。あとは少ないチャンスに強烈な一発(物理)を叩き込み、これを繰り返せばいいんです。

選んだのは「彷徨う者」というクラス。筋力と持久力がひときわ高いようです。つまり、回避行動でスタミナを消費しても余裕があり、一発逆転の筋力を備えている理想のステータスですね。これにしましょう。敵を倒すと少し体力が回復するという能力が序盤で手に入るようですし、これでスタートダッシュは安定です。

物々しいオープニングが始まります。なんとなく分かったような、分からないような、やっぱり分からないミステリアスな印象を残して本編スタート。本作は、ステージの様々な場所にアイテムやテキストが散りばめられており、断片的に世界の情報が見えてくるという構成になっています。プレイヤーの解釈の余地を残したスタイルですね。
いきなり遠距離攻撃しかできないぞ!

そして記事冒頭の、鎖を引きちぎって立ち上がる主人公の場面に戻ります。ここから本編がスタートし、早速操作可能となる訳ですが……武器らしいものは何も持っていません。
そのまま道なりに進むと、なにやら亡者のような敵が現れました。射撃モードで狙って攻撃ボタンで撃て!とチュートリアルが表示されます。しかし武器は??と悩んでる間に殴られ、早くも死にかけることに。

スタート地点に戻ってよく探してみると、ちゃんと宝箱が置いてありました。ピストルをゲット!!これでヤツを倒せということだったんですね。
ちなみに、奥に見える「オベリスク」という施設がいわゆる中継地点であり、弾薬や回復回数のリセット、セーブや装備の入れ替えなどが行えます。ここを発見できればひとまずは安心という訳です。やられてしまった時もここからリスタートとなります。

ワンマガジンを使い切って最初の敵をようやく倒しました。マジですか……?本当に主人公は生きた兵器として幽閉されていたのでしょうか?初っ端からハードコア過ぎじゃないですか?もしかしたら遠距離攻撃はあくまでもサブ的なものなのかもしれません。筋力関係ないですしね。そういえば、近接武器を持っていないのでこの時点では殴れないようです。ちょっと不安になってきましたが、まだチュートリアルですからガンガンいきましょう。

進んでいくと大きな盾を持った中ボスのような敵が出現しました。前面からの攻撃は通用しないようです。ここは慌てずに攻撃を見極め、相手の後ろ側へ回り込むように回避行動を取り、背後から撃てばいいんです。楽勝ですね、楽勝……

……楽勝とは?もう弾が半分しかありません。この時点で3回くらい死んでしまいました。オベリスクからやり直す際、途中のザコ敵を無視しようとしたのですが本当にどこまでも追いかけてくるので、キチっと倒す方が結果としては楽になるようです。
(射撃キャラでやり直した方がいいのでは?)と思わなくもなかったのですが、チュートリアルだから!これはまだチュートリアルだから!!あとからいけるようになるから!!と思い、そのまま続行。これがハードコアへの入口だと知らずに突き進みます。
バランスよく遊びましょう

道中でアサルトライフルを発見。弾の問題は少しずつクリアされていきます。しかしながら、敵の攻撃は更に苛烈なものとなり、同様にアサルトライフルを装備した相手が複数出現するなど、序盤とは思えない難易度に……。

2番目のオベリスクを発見して一息。既に10回はやり直しています。その近くにあった宝箱からようやく近接武器を入手しました。これで本来の能力を発揮できるに違いありません。

レベルアップは、敵やアイテムから入手した「ビット」を消費して行う形式。1ポイント上げるごとに必要量が上がっていくシステムのようです。やられてしまうと死亡地点に全てのビットを落としてしまうので、またやられずに回収しなければなりません。
やはり最初は筋力を上げましょう。やられるまえにやれ。全て解決です。

近接攻撃は銃の5倍程度の威力があるのでなかなか強力です。とはいえリーチはかなり短く、連打はできず、そしてスキが大きいので回避行動もスムーズには挟めないようです。しっかりタイミングを見極めないと近接攻撃は当てられない、そんな設計になっています。
つまり、イザとなれば回避行動でなんとかしようと考えていた当初の目論見は半分くらい的を外していたことになりますね。

そうこうしているうちに、とうとう最初のボスが登場しました!!
動きは遅いですが、非常に頑丈です。しっかり相手の攻撃を回避し、弱点を狙って反撃します。本作はほとんどの敵が背面に弱点を持っているので、後ろを取るのは重要なのです。
ですが……背面を取っても近接攻撃をなかなか弱点に当てられない!!銃とは違って、近接攻撃は正確にエイミングした攻撃ではないので、うまく当たってくれません。結局のところ、背面を取った後は入手したアサルトライフルをゼロ距離で叩き込むという戦法になりました。
どんどん筋力殺法とはプレイスタイルが離れている気がしましたが、実はこの6時間、ここで使った初期アサルトライフルがメイン武器としてずっと活躍することになるのです……。
ハブに到達!基本はステージクリア方式

ボスを倒して先に進むと、謎のおじさんが佇む空間に辿り着きました。ここが本作の様々なステージ間を繋ぐハブとなる場所です。オープンワールドではなく、ステージクリア型の構成のようですね。

次のステージに進むと、武器とは別の装備品である特殊能力が手に入りました。選んだクラスの特性であった「敵を倒すと少し体力回復」がここでアンロックされるようです。

より強いトゲ付き近接武器を入手し、これを強化。装備品にはステータスによる条件が設定されており、この武器は「筋力14」が必要だと表示されています。初期武器にはこれらの記載がなかったために気にしていませんでしたが、ひょっとすると遠距離武器は別のステータスが必要なのでしょうか?

新たなステージで早速、遠距離武器を発見しました……が、どうやら装備するには「器用さ10」「素早さ10」の両方が必要だそうです。全然足りません。何しろ筋力ばかり上げてますから。

結果的に縛りプレイのようになってしまいましたが、本作の難しさはステージ構成にあるのではないか、と感じました。正面の高台に見えている敵はシールドで守られていますが、このまま先に進むと左側の崖上に待ち伏せしている敵から狙撃されてしまいます。
敵単体だけを見れば、しっかり攻撃モーションを覚えることで段々と対応が楽になっていきます。とはいえ、本作はそんな状況を許してくれる場面が少なく、一体だけを釣りあげて削っていく作戦がなかなか通用しないのです。

しかし意外とルートの選択肢は多く、そこに気が付ければ画像のように側面を取って奇襲できるような余地が残されています。そうは言っても、常に弱点を狙えるわけでもなく(ステータス的に初期武器しか使えなかったということもありますが……)戦闘時間はどうしても長めになり、不用意に進めばすぐに囲まれてしまうので油断はできません。
何度もやられながら、そのステージに登場する敵の動きを理解し、配置や構成を覚え、爆発物や近接攻撃を活用して弾数をうまく節約し、着実に攻略を進めていくのが本作の王道パターンとなるでしょう。
これから本作に挑戦しようとしている方は筋力だけで解決しようとしないで、いろんな要素を利用し、知恵を使って攻略しましょう!クラスによって様々なビルドが可能ですが、入手できる武器は遠距離武器が比較的多くなっているので、使わなければもったいないかなと思います。

トライ&エラーが好きな人へ

2体目のボスと対峙して、まず動きを観察しようと思ったら、スゴイビームを撃たれて即死したときの図です(本当に1発でした)。この時点で40回くらいやられていたと思います。察しの良い方は、左下の武器欄が一切変わってないのにもお気づきかと思います。
本作は「ソウルライクである」の一言で、そのシステムは説明できてしまいます。敵の攻撃力は極めて高く、こちらの動作には大きな制限があり、デスペナルティも無視できなければ、回復手段も限られている……。有り体に言えば、それらと比較して奇をてらった新要素がある訳ではなく、純粋に難しさの中から活路を見出す面白さが備えられていると言って良いでしょう。
そんな中でさえ、遠距離武器の比重が大きいというのは、意外と見かけない要素ではないかと感じます。バランスの問題のためか、その射程距離はかなり短めであるという印象はあるものの、ひたすら同じ戦法で押し通せてしまいがちなところへ上手にスパイスを入れられているのではないでしょうか。

さて、こちらは更に新たなステージです。今度はジャングル風の世界のようですね。強そうな武器も発見しました(装備できませんが)。このステージは全体的に狭苦しく、しかも素早く近接攻撃を仕掛けてくる小柄な敵が複数同時に湧いて出るというキツイ場所でした。

道中にはこんな場所もあります。右側に本線ルートがあるのですが、明らかに良いアイテムの入っている宝箱が見えていては挑まない訳にはいきませんよね。
開発者が込めたステージの思惑は、ソウル系の経験者であれば「これは期待通り」と言えるほどに分かりやすいと思います。配置されている罠も、笑っちゃうほどに罠って感じです。全力で引っかかりにいきましょう。

このステージの最後に佇む強敵です。今回のプレイのラスト1時間は、コイツに挑んでは負けての繰り返しでした。なにせ1発でこちらが沈んでしまいますので(本当に)。ここで気が付きましたが、本作の回避行動って無敵時間がメチャメチャ短いんでしょうか?本当に甘く見ていました、大変申し訳ございません。
編集部であーでもないこーでもないと対策を考えながら挑み続けるも、結局倒しきれずに時間切れとなってしまいました……。全体を通して6時間で60回ほどゲームオーバーになったと思います。だいたい6分に1回は死んでいる計算になりますね。
ここまで紹介してきたように、本作は度重なるトライ&エラー必須のハードコアなタイトルです。そんな中でも、「こうしてみたらいけるのでは?」というひらめきが思いのほか大きな効果を上げることもあり、決して常に理不尽を押し付けてくる作品ではないと感じます。
このボスでは無理に回避しようとするよりも、しっかり攻撃範囲を見極めて一定の距離感を維持するように動くことを意識したら、一気に「攻略できそう!?」と光明が見えてきました。心折れそうになりながらも、試行錯誤することに楽しみを見出せるプレイヤーならば、どんな難易度の鉄鎖も打ち砕く事ができるでしょう。
『イモータル:アンチェインド(Immortal: Unchained)』は2019年8月29日にPS4版が、パッケージ版6,400円(+税)、ダウンロード版が6,400円(税込)で発売予定です。なお、初回出荷分には特典としてビギナーズガイドブックが付属します。ご予約の際には予めご確認ください。
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