最新ゲームが毎日大量にリリースされる昨今。メーカーやストアのゲーム紹介だけでは「どんなゲームかわからない!」とお嘆きのGame*Spark読者も多いのではないでしょうか。そこで“なるべく早く”ゲームの生の内容をお届けするのが本企画「爆速プレイレポ」となります。
今回は2020年5月14日にデベロッパーStray Fawn StudioよりPC向けにリリースされた『Nimbatus - The Space Drone Constructor』について生の内容をお届けしたいと思います。
『Nimbatus - The Space Drone Constructor』とは
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『Nimbatus - The Space Drone Constructor』は銀河に瞬く星々を舞台に、オリジナルのドローンを設計して探索に繰り出すアクションたっぷりシミュレーションゲーム。自動生成される未知の惑星に降り立ってはアイテムを回収したり、時には遭遇した敵と戦闘を行ったりしながら探索を進めていきます。
基本的には、物理法則に基づく独自のドローンを目的に合わせて設計し、ミッションをクリアしていくのがゲームの主な流れになります。ドローンは計75個以上に及ぶ様々なカテゴリのパーツを組み合わせて設計でき、手動操作以外にも、論理パーツを組み込んでの自動制御も可能。マルチプレイでは自動制御を利用したドローンレースなどをプレイすることができます。
本作はもともと2017年にKickstarterから立ち上がったプロジェクトで、何度かのクローズドテストを経ながら2018年10月にSteamで早期アクセスが開始。そこからも手堅い調整が続けられ2020年5月14日、ついに製品版がリリースされるに至りました。
『Nimbatus』の実内容に迫る!
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タイトル画面にもあるとおり本作は「マルチプレイヤー」「シングルプレイヤー」「チュートリアル」といった3つのモードをプレイすることができます。ひとつずつ見ていきましょう。
ここではまずチュートリアルから始めていきたいと思います。筆者は説明書を読まずに遊び始めてはオロオロすることしばしばなので、どうやってドローンを作ってワクワクすれば良いのか学んでおくに越したことはありません。
細かい話ではありますが、ドローンという単語を見るとついついプロペラが4つ取り付けられてるような「お馴染みの形」が頭に浮かびがちです。しかし実際は「無人で操作する or 自動操縦航空機」を総じて指すことがほとんど。本作は舞台が宇宙であることですし、形にとらわれないキテレツ〇百科な……いえ、自由な発想でいっぱいドローンをつくっていきましょう。
チュートリアル
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チュートリアルは、主に手動操縦の訓練を目的にした「基本チュートリアル」と、自動操縦の訓練を目的にした「上級チュートリアル」の2つから構成されています。それぞれの案内に従ってドローンを設計していけば、滞りなく目標をクリアできるデザインであり、すべての項目をクリアする頃にはプレイヤーはドローンの設計と操縦に慣れていることでしょう。
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実際にやってみましょう。こちらは「ドローンを用いて4つのマーカーすべてを同時に触れなさい」というミッションの基本チュートリアル。ただし注意書きにもある通り、設計には細心の注意を払わないと不安定な機体は激しい振動の末に自壊してしまいます。よくよく気をつけねばなりません。
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機体設計のインターフェースは直感的でわかりやすく、パーツの配置も制限はあるもののいじりやすく楽しい……これはブロック遊びで「ぼくのかんがえたさいきょうのろぼっと」を作っていた幼少時代を思い出します。さて……。
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できました。同時に4つ触れてさえすれば良いということは、即ち四方に手が伸びておれば良いということ。開始と同時にミッションクリアを狙う、頭の切れる知恵者作戦であります。
ミッションクリア!無理やりのように見えますが、これは「高度の柔軟性を維持しつつ、臨機応変に対処」した設計と操縦の賜物であります。どうやら知育玩具パズルをゴリラパワーで押し切ったという、昔取った杵柄は今も健在のようです。
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もうひとつ例を見てみましょうか。こちらは自動操縦で先行するマーカーを追従してゴールを目指すという上級チュートリアル。機体に「姿勢変化を検知するセンサー」を搭載し、論理パーツを経由して姿勢制御用のスラスター操作が自動で行われるよう繋ぎます。ゴリラかチンパンジーか……筆者の知能レベルが試されるところです。
とりあえず首皮一枚でゴリラの名誉は保たれたようです。このように自動操縦は、センサーが自機の姿勢または周囲の環境を検知して自動で機体を操縦していることがわかります。慣れていけば複雑なミッションもドローンが自動で片づけてくれることでしょう。
……とはいえ実は2回ほど、姿勢制御パーツの向きを逆に着けていたため機体が明後日の方向へ回転が止まらなかったりしたのですが、それらは別の世界線の記憶なのでノーカウント、ノーカウントです。
シングルプレイヤー
操作にも一通り慣れてきて、勘所も掴み始めました。そろそろ惑星へ冒険に繰り出してまいりましょう。
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開幕早々穏やかじゃありませんね。悪徳企業「コープス」の戦艦に攻撃を受けて未開の惑星へ流されてしまいました。見た感じタイ〇パトロール的な真っ白い戦艦が来たので「味方かな?」と思ったらこれですよ。ともあれここから簡単なシステム周りのチュートリアルも兼ねつつストーリーが進行していきます。
流れとしては、コープスの脅威に警戒しつつ、未開の惑星を探索し装備を整えて、次の場所へ、とワープを繰り返しては銀河を進んでいくというのがメインです。星系にはいくつかの惑星があり、それぞれの惑星にはミッションが割り当てられています。それらを達成していく事で最終的にワープホールへ到達し、次の銀河を目指す……という感じでしょうか。
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探索用のドローンを設計して早速出発です。一番最初のミッションなので、まだ手持ちのパーツ類の在庫は充分ではなく、簡単な装備しかありません。そのため機体の構成もいたってシンプル。
ドローンは、発進のたびに母艦の保有資材をいくらか消費し、構造が複雑になればなるほどその消費量も増えていきます。また性能によっては脅威度が跳ね上がり、コープスにかえって目をつけられて攻め込まれてしまう……なんていうこともあります。そのため今はまださしたる問題ではありませんが、将来的にはコストパフォーマンスと脅威度も考慮に入れたドローン設計が求められることでしょう。
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ドローンのすぐ上に浮かんでいるオレンジ色が我らが母艦ですね。オレンジ号とでも名付けましょうか。画面上端部に見える黄色アイコンと赤色アイコンは資源や通貨となる鉱石の保有数を示しています。先ほども少し触れましたが、これらを消費してドローンを製造したり、パーツの購入やアップデートを行ったりします。鉱石はミッションの報酬、または惑星探索中に回収ができます。そのためミッションの目的に採取が含まれていない場合でも、積極的に回収して蓄えを増やしていけると良いでしょう。
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惑星は小さな球体に近い形をしており、穴となっている部分から中心に入り込むことも可能です。マップは右上に表示されており、探索開始直後は塗りつぶされてますが、探索を進めることで詳細が表示されていく形式です。またアイコンとしては小さいですが、マップのさらに左上に小さいマークが並んでおり、それぞれ風量と重力の強さを表しています。
これらの要素はドローンの設計と操縦に大きな影響を及ぼすため、しっかり頭に入れておくことをオススメします。精神と時の間みたいな重力環境下にうっかり降りてしまい、推力が足りずにドンガメのように這いまわるのは避けたいところですね。ミッションの目標は左上に表示されており、これを達成すべくドローンを操作していきましょう。今回はマップを隅々まで探索すれば達成です。
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ミッションを完了すると報酬として、前述の鉱石やパーツを入手することができます。今回手に入ったのはバッテリーと武器ブラスターです。このようにしてアイテムを入手し、機体や装備の拡充を繰り返すことで、今後様々な惑星での探索がどんどん楽になっていく事でしょう。
別のミッションになりますが、以下にワンミッション全ての映像を載せます。
マルチプレイヤー
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次は、マルチプレイヤーの紹介です。マルチプレイヤーはご覧の通りタイムアタック、スモウ、格闘戦、レース、キャッチの5つから成るモード。すべてのモードにおいて自動操縦ドローンの設計が求められますが、タイムアタックについてだけは手動操作で挑戦することも可能になっています。
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実際にやってみましょう。見たところ簡単なつくりのコースでのタイムアタックのようですね。トップ5のランキングに15~17秒でゴールとかよくわからない数字が散見されますが、きっと宇宙が生み出した時空の歪みなので、心が折れる前にスルーして放っておきましょう。まずは行動あるのみです。
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さて挑戦するにあたって用意したのが、こちらのドローンです。軽量化のため余計な装備を徹底的に取り除き、推進エンジンにアフターバーナー、方向修正用に小型のスラスターのみを取り付けた男気一発のチキチキマシンです。そのくせ後退できて小回りも利く……仮にこれがチャンピオンシップであればポールポジションも狙える優秀な機体であるとオレンジ号開発部は言い張って憚りません。さっそくタイムアタック開始です。
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方向舵が効かなければミニ四駆走法とはよく言ったもので、この難関コースを無事に走り抜けてこのタイムは及第点ではないでしょうか。記録13秒とかどうやってんの……?
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続いてはスモウです。こちらは自動操縦のドローンを使用し、カウントダウンに合わせて目の前にいる相手へ突撃して土俵外に押し出した方が勝ちというシンプルなルール。要は質量に力を掛け合わせたものをぶつければ勝てる。ゴリラパワーの本領発揮であります。
どうして……。
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開始の瞬間押し出される自機。え?え?え?どしてどして?という疑問の声を上げる間すら与えてもらえず蹂躙される筆者ですが、その時気が付きました。論理パーツを組んでないから自動操縦がそもそも出来てない……。
ここで残りのモードも確認したのですが、やっぱり論理パーツを上手いことどうにかしてドローンに組み込んで設計しないと勝負にすらならないようです。というかそもそも参戦できない……。じゃあなんでさっきスモウ出来たの!?(本当に最初の一回は論理パーツ無しで参加出来て、それ以降は参加できなくなりました。出禁?)
パーツの組み合わせと構成でいくらでも遊べちゃう!
いろいろパーツがバラエティに富んできた頃にふとタイトル画面のドローン構成に気が付きます。
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なんですかこれ、ビーム束ねてますよね?ドリルまで着けちゃって「絶対に貴様をミスタード〇ラーしてやる」という強い意志を感じます。あとSteamストアページに出てくるスクショ……これまたプレイ後に理解して衝撃を受ける画像なんですよ。筆者が「貴方達のおかげで楽しいゲームにしてくれてありがとう」という気持ちをレビューにでもしたためようかね……と、ストアにアクセスして目に入ったのがまずコレです。
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なんですかこれ……パーツを湯水のように流し込み、ボタン操作を果てしなく割り当て、出撃コストを湯水のように支払って初めて成立する狂気の産物ですよね?というか母艦より大きい……。探索の中で闘争本能を刺激されつつあった筆者は「あんなものを浮かべて喜ぶか、変〇どもが!」と裏声を低くしてしまいました。
制作という点で似たようなスタイルを持つ『Besiege』でも、持て余したプレイヤー達によって大型攻城兵器がいくつも作られ、中には20世代以上開発が続けられたガンタ〇ク、陸空を制するパン〇ャンドラムが一世を風靡しました。たぶん本作でもそういう極まったプレイヤー達のドローン作品が次々と現れることでしょう(というかもうあります)。
またこれはきわめて個人的な感触ではありますが、攻撃系パーツを組んでる時は、どこか『Noita』において被弾爆散系のスペルを杖にいくつも積んでほくそ笑んでる時のソレと似たような「楽しさ」を感じました。地形をめためたに破壊して突き進むのたのしい、こわす、アイテムでる、おれ、うれしい。
ともあれそんな『Nimbatus - The Space Drone Constructor』、自分だけのドローンを作って遊ぶのがとても楽しい一作です。宇宙の未知への興味に加え、採集要素が収集欲を刺激してくれます。時間が許す限りずっとずっと遊んでしまいそうです。
Nimbatus - The Space Drone Constructor
対応機種:PC(Windows/Mac OS X/SteamOS+Linux)
記事におけるプレイ機種:PC(Windows)
発売日:2020年5月14日
記事執筆時の著者プレイ時間:2時間
価格:2,050円(20年5月22日までは25%オフの1,537円で配信中)