ここから新たな修羅が誕生する——。『鉄拳7』の大会「MASTERCUP TRY ONLINE 2020」決勝が12月27日に開催されました。この大会では、先日の12月12日から13日にかけて行われた予選を勝ち残った、トップ16の選手たちが参戦します。
今大会の優勝者にはJeSU(日本eスポーツ連合)より、正式に『鉄拳7』のプロライセンスが提供されます。間違いなく選手のキャリアを激変させるたったひとつのライセンスを巡り、16人の猛者たちが激突。はたして誰が最後に生き残ったのか?その模様をお届けしましょう。
トップ選手たちが考える優勝候補とは
今回、プロとして世界中の大会でしのぎを削る『鉄拳7』プロ選手たちも、大会の幕間に録画のインタビューにて登場。先日の予選についての感想などを語っていました。
大会で結果を残し、プロになる瞬間にどんな思いが去来するのか。過去に「MASTERCUP TRY」からプロになったじょうたろう。選手が登場した際は「初めてライセンスを手にしたときの実感は、書類を書いていたときに感じた」といった逸話が語られました。
また、トップ選手であっても今大会の厳しさを痛感しています。『鉄拳7』の代表的なプレイヤーのひとり、チクリン選手は今大会の予選をあらためて振り返り、「果たしていま自分が勝てるのか」という不安も口にしていました。
「MASTERCUP TRY」にてプロライセンスを付与される選手が、今年は優勝者ただひとりであることも、今大会の厳しさを想像させるでしょう。過去には準優勝者も対象となっていたのですが、数は絞られています。
トップ選手のインタビューで一番の見所は、「この大会で一体誰が優勝するのか?」の予想です。少なくないトップから上がったのは、Rangchu選手です。
パンダとジュリアを駆使し、プロライセンス保持者のいる大会でも結果を出してきた実績からRangchu選手を挙げる声は少なくありません。彼と戦った経験からか「やばいなんてもんじゃない」という声もあり、最も危険な選手だと評されていました。
続いて多く名前が上がったのはケイスケ選手。「いま、三島一八使いは少ない」と語られる中、彼は「練度の高い三島」を使えると評される実力者です。先日の予選でもその実力はいかんなく発揮されており、決勝でも期待がかけられています。
そしてトリッキーなスタイルで攻めるキャラクター、レイ使いとして注目を集めていたのは古水選手です。『鉄拳7』界では「無冠の帝王」と称される彼もまた、数多くのプロ選手に期待されている一人。チクリン選手が主催した大会「CHIKURIN CUP ONLINE 2020」にて優勝するなど、いま波に乗っている強さが期待されているようです。
トップ選手の中には、先日の「TEKKEN Online Challenge」トーナメントにて全勝するという、圧倒的な実力を見せた若き実力派・弦選手も登場しました。彼もまた「MASTERCUP TRY ONLINE」で結果を出し、プロライセンスを得た一人なのです。
今大会で、弦選手に次ぐ活躍が期待されるプロ選手が新たに誕生します。しかし残った16人を見ると、実力は伯仲しており混戦は必至。誰が勝ち残るのかはわかりません。技術や実績共に充分なトップ選手たちを持ってしても、正直なところ優勝候補の予想が付かないのです。
トップ16の戦い。優勝候補と目された選手も厳しい戦いを強いられる。
今大会における“誰が優勝するかの予想のつかなさ”を象徴していたのは、Rangchu選手でした。Rangchu選手は初戦のMasa選手こそ撃破するものの、トップ選手たちの評に反し、ウィナーズ準決勝にてpinya選手に敗戦。そのままルーザーズへと移動し、先日の予選のように、実績とは裏腹の厳しい展開を強いられます。今回は持ちキャラであるパンダを封印し、ジュリアを使って中間距離からの戦いが多かったのですが、勝ちきれませんでした。
一方、「練度の高い三島一八」を操るケイスケ選手は期待通りのパフォーマンスを発揮。ゼウガル選手によるスティーブの圧力を跳ねのけ2-0でストレート勝利します。続く、はいしゃ選手も同じくストレートで圧倒。順調に先へ進みます。
「無冠の帝王」古水選手も、高い精度によるレイのパフォーマンスにより初戦を突破。ヒットボックスを使い、通常とは違うパフォーマンスを発揮する壊し屋シロー選手の州光と技術戦となりましたが、最終的に古水選手が制しました。
古水選手やケイスケ選手が期待通りの活躍をする中、不気味に存在感を見せた選手がいます。それがG選手です。彼はボブをメインキャラに予選から結果を残していました。トップ選手たちは「三島一八使いは少ない……」と評していましたが、ボブを使う選手もまた希少です。
本大会ではスティーブやジュリア、シーズン4から追加された州光を使う選手が多く見られる中、G選手のボブはその巨体を生かすキャラクターの異色さと同じく、大会に不穏な緊張感を残していきます。
そんな緊張感を残したあとに、ちょうどトップ選手の用心BΩY選手のインタビューが公開。「一瞬の爆発力ならトップ16の中で一番ある」「ここ一番でネタを隠している」など、G選手を要注意人物と評した言葉が飛び出しました。Rangchu選手が苦戦し、他の優勝候補が順調に勝ち進む中、なにか底知れぬ力を隠すG選手。その不気味さは、トップ8の戦いで発揮されることになるのです。