今回の先行プレイレポで取り扱うのはなんとフォーミュラーカー!Codemastersが開発を、Electronic Artsがパブリッシャーを担当して、PS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One向けには2021年7月16日に、PC(Windows)向けには同年7月17日リリース予定のフォーミュラーカーレースゲーム『F1 2021』をご紹介します。
筆者の知識は素人に毛が生えた程度のものですが、フォーミュラーカーは大好き。タイトルを忘れてしまったのが本当に申し訳ないのですが、古くはWindow95(?)頃のF1ゲームを遊んでいました。現実においても、レースのハイライトやニュースを見かけるたびに、マシンから立ち上るドライバーの剥き出しの闘争心を感じて、胸が熱くなります。
今回は先行プレイによるバージョン違い、かつ発売日前ということもあり、キャリアモードやマルチプレイヤーモードは完全にプレイできる状態ではなかったので、それらは脇に置いてシングルモードを中心に紹介します。なお執筆にあたり、Steam版をXbox Oneコントローラーを使用。カジュアルに楽しんでまいりましょう。
シンプルながらリッチなUI
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ゲームを起動するとホームが表示され、画面のシンプルな見やすさに驚くことでしょう。各種項目ならびにアイコンがグループごとによく整理されており、必要十分な説明文も添えてあるため迷うことがありません。個人的にドラマチックな演出のメニュー画面も好みではあるのですが、こういうシンプルな方がより大好き。ゲームの難易度や、操作系の設定を煮詰める際はここからアクセスすると良いでしょう。
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ホーム画面から左右に操作をすることで、他ページの項目を確認することができます。自分のチームを立ち上げ、ドライバーとしてオーナーとしてF1世界を体験する「キャリアモード」。手に汗握る展開を楽しめるストーリーや自分だけのグランプリなどが楽しめる「シングルモード」。「マルチプレイヤー」に「F1・eスポーツモード」、さらにはマルチプレイヤーで使用するマシンと自身のアバターをドレスアップできる「カスタマイズモード」。そして何より素晴らしいのが実在の各チーム車両を隅々まで鑑賞できる「ショールームモード」があります。
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シングルモード
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こちらでのモードでは、自分好みのグランプリから実際のレースシーズンを体験できる「GRAND PRIX」と、各コースでコンマ数秒のタイムをを削りとる「タイムトライアル」、そして、本作の目玉の一つである「ブレーキングポイント」があります。
ブレーキングポイント
今回は特にこのブレーキングポイントについて紹介しましょう。本作におけるストーリーモードの位置づけであるこの一連のイベントでは、プレイヤーは若きドライバー主人公エイデン・ジャクソンとしてライバルたちとしのぎを削ります。
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ついに掴んだ憧れのポジションにまるで夢のようだと喜んでいたらデビュー戦で一転、厳しい現実を突きつけられる……アップダウンの激しい物語の展開が、野性的で荒々しいドライバーと、緊張で心臓が鷲掴みにされるレースの数々と合わさり、一つのトーンとなることで、プレイ中に素晴らしい没入感を与えてくれました。
プレイヤーを飽きさせない作り
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実際にプレイしてこのモードに感じたのは、FIA公認ということもあるのか、カジュアルによりつつも濃厚なF1世界をたっぷりと体験してほしいという計らいでした。それは本作の随所で光る、新規プレイヤーにも遊びやすくしようという心配りにも見ることができます。例えば、物語のプロローグからチャプター2を終えるころまでは、フルでレースを走ることはありません。よほどの経験者でもない限り、新米プレイヤーにいきなりガチンコバトルで50周以上走れというのは厳しいでしょう。
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そのため序盤は細かい設定などはともかく、まずはマシンを走らせよう、順位を上げよう、と段階を踏んで目標を達成することで、ゲームに慣れていくよう作られています。そこへ、静かに燃え上がる炎のような熱いシナリオが加わるおかげで、いつの間にか、前のめりにプレイをしてしまいます。
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このように物語の進行に合わせて、プレイヤーが徐々にゲームシステムに慣れるよう設計されており、一通り遊ぶ頃には「アシストを切って、本格的に走りこむか……」という気持ちになります。世界中のファンを熱狂させるフォーミュラーカーですが、ご新規さんにとってはやや敷居が高い……そんな壁を取り払うかのような親切な導入だと思いました。
参加チームの選択
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さて、ブレーキングポイントでは、登場人物は固定ですが、参加するチームは実在のものから選ぶことができます。そして登場するライバル車両の中には、これまた実在のドライバーが平然と並んでおり、ゲームとはいえ「ハミルトンを倒さなきゃいかんの……?」とやや青ざめます。
ともあれ今回は、スクーデリア・アルファタウリ・ホンダを選択。現実では角田裕毅ドライバーが所属するチームですね。個人的に今シーズン応援している若手ドライバーなので、彼のチームメイトになれたらそれは素敵な話です。
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しかし残念ながらブレーキングポイントにおいては、シナリオによるメタ的な都合なのか、ムービーで彼の姿は見当たらず……。とはいえ、他のモードでのレースでは、彼の名前とグラフィックが用意されており、しっかりバトルできたので満足です。
設定のあれこれ
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ブレーキングポイント自体の難易度ノーマル、チャレンジ、ハード以外に、操作系にも難易度が設けられており、それぞれカジュアル、スタンダード、エキスパートの三種類があります。筆者のようにマリオカート世界の方向からやってきたビギナードライバーはカジュアルを選ぶと良いでしょう。初回選択以降も変更が可能なので安心。
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カジュアルモードはアシスト機能が一番強く設定されており、レース中はライン取りのガイドや、シフトチェンジも自動で行ってくれます。そのうえで、ある程度の無茶な操作入力を受け付けてくれる“幅”があるので、実際のドライビングもストレスがなく、オーバーテイクなど丁度良い塩梅で実に気持ちよく運転することができます。
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本作は流石に歴史あるレースゲームだけあって、各操作系の調整はキーコンフィグからキャリブレーションまで非常に細かく設定可能。ハンコンがあれば……とこれほど強く願うゲームもありません。ともあれ慣れていくにつれて、段階的にアシストを切って、リアルよりの挙動に近づけていくと自身の技量の成長も感じる……という楽しみ方もできますね。
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ちなみにAIの強さや、シミュレーションの再現度についても調節が可能。ただし記事執筆時点では、その設定項目が何故かホーム画面からだとアクセスできず、レース中でも表示はされるものの調整できず……といった状況。おそらく今後のアップデートで調整される部分のはずです。
レースのあれこれ
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レース中はタイヤ、エンジンをはじめとする車体各部の状態に、天気と気温といった要素が複雑に絡み合い、さらにはERSやDRSといった機能の使いどころも考えなければなりません。
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とはいえ今回はアシスト補正強めのカジュアルモード……その大部分はコンピューター側がサポートしてくれたので、筆者は単純に走りを楽しみました。それでもアクセルとブレーキの力加減を間違うと簡単にコースアウトしてしまうので、コツを掴むまでは、ガンガンコーナーを攻めるなどして練習すると良いかもしれません。このモードでは破損がオフ設定なので、慣れるまでミニ四駆走法で行っても良いくらいです。やめろ。
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ご覧のように、ライバル車両に突っ込んでも大破することがありません。コーナーで減速する車両に狙いをつけたら突っ込んで、土俵際から押し出してやりましょう。本当にやめろ。
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当たり前のことですが、ルール違反が認められると警告やペナルティ、最悪の場合は失格となってレースが中断されてしまいます。しかしカジュアルモードでは、オフ設定を利用して治外法権(?)的なゴリ押しドライブで勝利することも可能だったり……。
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またそれとは別に、時間自体を巻き戻して、何か操作ミスをする前の状況からやり直すことも可能。ぶつかってしまったり、コーナーで速度を落としきれなかったり……といった時に使うと良いでしょう。まさに至れり尽くせりです。
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なおエキスパートモードでは、シミュレーションの再現度がほぼ現実に即しているため、そもそもルール違反がどうこうというより、ちょっとでも接触するとパーツが飛び、タイヤはもげ、簡単に走行不能になるので、否が応でも精密な安全運転を心がけます。ピットでも血が流れるであろう乱心プレイはゲームだけに止めておきましょう。
レース後も気が抜けないインタビュー
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これは前作でもそうでしたが、ドライバーたるものメディアへの対応にも細心の注意を払う必要があります。挑戦的な態度を見せてお茶の間を沸かすか、誠実な様子を見せてチームの団結を強めるか……ここでの対応がチームの開発力にも影響を与えるので、よくよく考えて言葉を選びましょう。
おわりに
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レースゲームとして、カジュアルな遊びやすさと、シミュレーションとしての再現度をしっかり両立している本作。そのため、自分の走りを突き詰めだすとどこまでも終わりなく、遊び続けることができるでしょう。また今作にはアイルトン・セナをはじめとする歴史的なスーパードライバーも数多く参戦しているので、彼らの走りにもぜひ挑戦していきたいですね。