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「普通」ってなんでしょう。
僕も「普通は~」「普通なら~」なんて言葉をよく使いますが、所詮、自分の常識内の「普通」でしかないんですよね。
自分では普通の行動のつもりでも、他人から見れば常識はずれなんてこともザラにあるでしょう。
今回プレイするのは、そんな「普通」の概念をぶち壊すゲーム『ごく普通の鹿のゲーム DEEEER Simulator』。本作は、ごく普通の鹿が街のあらゆるものを破壊しながら、イッヌをはじめとした動物と戦っていくスローライフ街破壊ゲームです(僕がプレイしたのはPS4版)。
公式ツイッターでは「奈良の鹿を再現した」と紹介されていますが、本作の主人公の鹿は普通ではありません。どのように普通でないのかは続きをご覧ください!
鹿をかばってトラックにはねられたら鹿に転生した件
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てっきり鹿になって大暴れするゲームだと思っていたが、人間キャラクターのメイキングが始まった。
これが主人公となるキャラなのだろうか……。
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キャラクターメイキングでは、用意されたフェイスパーツの中から選ぶだけじゃなく、目の角度やアゴの幅の微調整なども可能だ。
超大作オープンワールドRPG並に作りこめそうだな!
たっぷり時間をかけ、僕に似せたモヒカンのキャラクターを作る。
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ムービーが始まり、先程作った人間と鹿が邂逅する。人と鹿が手を取り合う心温まるストーリーが始まるのかな。
あれ、奥から来るのは……トラックだ!
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身を挺して鹿を守ったモヒカンのおじさんは、トラックにはねられて意識を手放す。
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今際の際の妄想か……何者かから「転生しますか?」と問われ、身を任せるように「はい」と答える。
そして目を覚ますと……
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僕は、鹿に生まれ変わっていた!
って……あのキャラクターメイキングはなんだったの?
ごく普通の鹿アクション……?
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「異世界転生」のトロフィーを獲得し、いきなり始まった人生ならぬ鹿生。
一体何をするゲームなんだろうか……。どうやらここは街のようだ。
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とりあえず通行人を襲ってみた。前脚をバタバタさせる鹿らしい攻撃方法だ。
「意外と普通のゲームなのでは?」と思ったのもつかの間……。
ダッシュが二足歩行!建物を軽々飛び越える跳躍力!
そして……伸ばした首をワイヤーフックのように高所に引っかけてスイングするアクション!
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僕の中の「ごく普通」の概念が崩れる……!
街を破壊して装備を集めろ!
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建物や乗り物などのオブジェクトを破壊すると武器が手に入った。
二足歩行が出来るんだから人間のように武器を持つのかと思ったら……まさかの頭装備でビビる。
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銃を手に入れると破壊活動の効率が上がっていくぜ!気持ち良い~!
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人間とは挨拶やダンスでコミュニケーションが取れる。
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また、人間の頭に角を生やして鹿人間にも変えられる。
鹿人間はプレイヤーキャラクターのあとについてきて、一緒に街を破壊してくれるぞ!
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どれだけ離れようともピッタリついてくる鹿人間たち。正直怖い……!
可愛い羊や巨大ロボイヌが襲いかかる!
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破壊の限りを尽くしていると、鹿災害レベルが上がって警察が出動する。
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羊の群れ、パトカーを背負ったシロクマ、近未来的な銃を装備したウサギたちが、傍若無人に暴れまわる鹿を捕まえようと襲いかかってくる。
彼らはいわゆるザコ敵なので、距離を取って銃で攻撃しているだけで簡単に倒せるが、中には手強い敵もいる。
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その名も「イッヌ」だ。こいつは、合体ロボのように、両手両足に色んな動物を装着した巨大なイヌなのだ。
って、書いていて自分もよくわからない……。
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ロボの敵には、こちらもロボに乗ってお相手しよう。
「アニマルコンバット」を身にまとえば、超スピードのブースト移動や、ビルの上までひとっ飛び!
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『アーマード・コア』ばりの市街地戦が繰り広げられるぞ!
破壊活動に疲れたらちょっと休憩!
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フィールドには、ミニゲームがプレイ出来るスポットもあるので、破壊活動に疲れた時は遊んでみるのもいいだろう。
動き回る牛を石にしたリバーシならぬ「リバウシ」や、変形させられた動物を元の姿に戻す「どうぶつパズル」など、シンプルだが奇妙なミニゲームが用意されている。
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ほかにもシルエットクイズがある。スイッチに描かれたシルエットの動物を探し出して上に載せればクリアだ。騎乗したり掴んだりして動物をスイッチのもとまで連れていく。
真ん中の腹部から何かが飛び出している牛のようなシルエットを探したが、なかなか見つからず、手当り次第に色んな動物に騎乗してみる。
「シルエット的にはよく似てるんだけど、腹から何も飛び出してないしなあ」と牛に騎乗すると……
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うわ、空を飛び上がった!って、これは……!
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正解は「ミルクを噴射して空を飛ぶ牛」でした!なんだそりゃ!
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ちなみにシルエットクイズはいくつもフィールドにある。その中には、クリアすると未来へのタイムトラベルが可能になるものも……。
未来の世界では、さらなる強敵が待ち受けているぞ!
読者の皆はもはや何を言っているかわからないと思うが、プレイしている僕もよくわからないぞ!
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6時間ほどでクリアしました。クリアを目指すだけなら2~3時間あればいけると思います。ボリュームは少なめでしたが、バグのような挙動の鹿を操作して街を破壊する爽快感は唯一無二です。
作中、唐突に登場した「AKIRA」のパロディシーンには笑ってしまいました。見た目のインパクトだけではなく、しっかり作り込まれたバカゲーでした。
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本作をプレイした後に奈良公園に行く機会があり「聖地巡礼だ!」なんてワクワクしていたのですが、いざ実物の鹿を見るとどいつもこいつも首を伸ばして襲いかかってきそうで、背筋がゾクリとしました……。
Gibier Gamesが手掛け、PLAYISMが発売する『ごく普通の鹿のゲーム DEEEER Simulator』は、PS4/Xbox Series S|X/Xbox One/ニンテンドースイッチ/PCを対象に発売中です。