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Sycomが販売するBTOのゲーミングPCシリーズ、G-Master。本稿ではパーツ選定からこだわり尽くした「G-Master Hydro Z690/D4」という、ゲーミングPCながら水冷で効率的に冷却を行いつつ、静音化を両立させたモデルをご紹介します。
インハウスでグラフィックボードを水冷化
まずSycomの製品の特徴としては、なんといってもグラフィックボードを自社でカスタマイズしていること。グラフィックボード本体とASETEK社の水冷ユニットを仕入れ、自社でヒートシンクの切断などをはじめとした加工、そして製品に合わせて水冷仕様のグラフィックボードとして仕上げているのは、世界でも唯一となります。
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さらにPCに採用しているパーツはどれも自作をかじったことのあるユーザーならピンと来るメーカーばかり。品質や安定性を最重要視したパーツが各所に採用されています。ケースもFractal Design社製を採用し、利便性やメンテナンス性だけでなく、オシャレさも両立。ケース内部にはLEDストリップが貼ってあり、発光部からは落ち着いた光が放たれます。
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また、本製品はメンテナンスフリーをうたっています。水冷なのに何故……?と思うかもしれませんが、担当者によると、自社でビデオカードの水冷化を実施しており、水冷ユニット一式を密封してあるので、冷却液の追加も必要なく、水漏れの心配もないからとのこと。
実際、購入者からメンテナンスに関しての問い合わせを受けることがあるものの、そもそも完全に密封されているので、メンテナンスができなくなっているのだそうです。日常のメンテナンスとしては、ホコリを取り除くぐらいとしています。出荷前にはもちろん動作確認をきっちりと行っているため、そもそも出荷後に問題が起きないのだそう。
高品質パーツとオリジナルパーツでよりよい製品に
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基本構成は、CPUに第12世代のIntel Core-i7、マザーボードにASUS TUF GAMING Z690-PLUS WIFI D4、グラフィックボードにNVIDIA GeForce RTX 3070の独自水冷を採用。さらにSSDはIntelのM.2 SSDの670p 512GB、電源はSilverStoneのフルモジュラー式SST-ST85F-GS V2、850Wの80GOLD+認証の製品と最上級品ばかりで、こだわりのパーツ選定がなされています。
冷却面は、CPUクーラーにASETEKの650LS RGBにEnermaxのUCTB12Pを、グラフィックボードの水冷ユニットとしてASETEKのHybrid GFX 240mm LCSを採用し、静音性が高いファンとして評価が高いNoctua NF-A12x25 ULNを搭載。また、オプションとしてCPU冷却用のラジエターをSycomオリジナルの240mmのモデルに変更も可能とのこと。これをFragtal DesignのDefine 7に組み込んでいます。
製品ページによると、『ファイナルファンタジー XV』のベンチマークを実行した30分後のグラフィックボード(GeForce RTX 3090)の温度は、標準の空冷の場合は80.3度あったものが、水冷化した本製品のモデルでは65.2度と、約15度低下し、ブーストクロックも6%ほど上昇しているのだそう。またグラフィックボードにはSycomオリジナルの脱落防止ステイが取り付けられています。
今回ご紹介する製品のスペックは以下のとおり。
製品名:G-Master Hydro Z690/D4
CPU:Intel Core i9-12900K
ビデオカード:サイコムオリジナル水冷静音仕様 GeForce RTX3080 10GB+Asetek HybridGFX 240mm水冷ユニット+Noctua NF-A12x25 ULN*2
マザーボード:ASUS TUF GAMING Z690-PLUS WIFI D4
CPUクーラー:サイコムオリジナルAsetek 670LS + Enermax UCTB12P x2 [240mm水冷ユニット]
メモリ:32GB[8GB*4枚] G.SKILL Trident Z RGB DDR4-3200 RGB内蔵ヒートスプレッダー搭載 Dual Channel
電源:850W 80PLUS GOLD
Case:【黒】Fractal Design Define 7 White TG [ガラスパネル]
Caseオプション:LEDストリップ×2本
OS:Windows 11 Home
快適かつ高い静音性を実感
それでは実際にゲームをプレイして、快適さを確認してみましょう。検証に使用するのは『バトルフィールド2042』『Forza Horizon 5』『Microsoft Flight Simulator』の3タイトル。どれも快適な動作にはそれなりのスペックを要するタイトルです。今回は解像度1920x1080の最高設定で全てのタイトルを試していきます。
『バトルフィールド2042』
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最高設定のソロ・協力モード、マップはディスカードでプレイ。FPSは110~150を行き来するような感じですが、ぐっと落ち込むことはありません。また、敵が多いシーンでも150FPS以上をキープしている場面もあり、かなり快適にプレイできています。グラフィック設定は全て最高で、エフェクト類もオンですが、引っ掛かりを感じるようなシーンはなし。PC本体のファンも通常時とほぼ変わらない程度の回り方で、ゲーム中でもファンが全開で回るといったような状態にはなりませんでした。
『Forza Horizon 5』
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街中から田舎の方まで、一通りドライブを楽しんでみました。大体どの場所でも120~130FPSをキープしており、ドーナツターンをしてスモークを出して負荷をかけてみてもFPSは落ちず。『バトルフィールド2042』と同様、FPSの上下は大きくありません。オブジェクトが少なくなる田舎の方ではFPSが150程度まで上がる場所もあり、平均して120FPSは安定して出ていました。美麗なグラフィックの割には描画負荷は軽かったのか……?という印象を受けます。
この時点で確認のためPCの背面に手をやると、リアファンからはかなり少ない風量が出ており、温度もぬるく感じる程度で気になる程度ではありません。一方、ラジエター等の排熱がある上面はかなり熱い空気が出ており、きっちりと廃熱されていることがわかります。PCの上に物は置いておけないな……と思うほどの熱さではありますが、ファンの騒音は全く気になりません。
『Microsoft Flight Simulator』
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起動直後の設定がほぼUltraだったためそのままプレイを行いましたが、やはり他のタイトルと比べると描画負荷が圧倒的に高く、FPSは60~65程度とかなり低め。とはいえプレイに支障が出るわけでもなく、描画も気になることはないため、美麗な景色を楽しみながらフライトも楽しむことができると思います。着陸直前あたりでは45FPSまで瞬間的に落ち込むことがありましたが、地上でも55FPS程度はキープしていました。機体にカメラを近づけるとわかるのですが、かなりリアルに映り込みが表現されているため、重いのも致し方なしといったところでしょうか。
静音性は随一、唯一主張をするのはLEDの美しさのみ
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ゲームをプレイして感じたのが、PCの動作音が本当に小さいこと。性能はもちろんのことですが、静音性を両立するのはこのスペックではなかなか難しいはず。そういった意味でも驚きを隠せません。LEDストリップに関しては、ケース内に貼り付けられており、前述の通り発光部はぼやける形になっていますが、実際に眩しいぐらい光っています。PC内部やパーツを間接光で照らしたい場合は、貼り直したり別途好みのものを取り付けたりといった工程は必要になりそうです。
拡張性としては抜群で、ケース内部はかなりすっきりとしています。各種ベイも豊富に用意されているので、例えばHDDやSSDを追加するのもラクラク。フロントパネルはマグネット式で開閉可能になっており、開けるとスリットになっているため、冷却面についても安心です。
本PCはこだわり抜かれた構成であるため、誰でも簡単に買えるというものではありません。しかし、この最上級のゲーミングPCを手にしたものだけが味わうことができる最上級のゲーム体験は、本当に特別なものになるはず。
「Sycom G-Master Hydro Z690/D4」は、基本価格361,520円(税込)。2022年1月10日まで、冬のキャンペーンを実施中です。
「Sycom G-Master Hydro Z690/D4」製品サイト