注意
本記事はプレイレポという性質上、どうしてもネタバレが含まれます。そのため事前情報を仕入れずに遊びたいといった方などにおかれましては、ここでブラウザバックするか画面上部のスパくんをひっぱたくかしてトップページに戻ることをおすすめします。また今回はPC版を発売前にプレイさせて頂いているため、実際のリリースされたときのバージョンとは一部内容が異なるかもしれません。その点についてもご容赦くださいませ。
最新ゲームが毎日大量にリリースされる昨今。メーカーやストアのゲーム紹介だけでは「どんなゲームかわからない!」とお嘆きのGame*Spark読者も多いのではないでしょうか。私もプレイするまで正体が掴み切れず泣いています。そこで“なるべく早く”をモットーに、ゲームの生の内容をお届けするのが本企画「爆速プレイレポ」。
今回はNatsume Atariが開発を、505 Gamesがパブリッシャーを担い、2022年05月11日にWindows PC(Steam/Epic Gamesストア)/PS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One/ニンテンドースイッチ向けにリリースするアクションRPG『百英雄伝 Rising』のPC版について生の内容をお届けしたいと思います。
『百英雄伝 Rising』とは?
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本作は2023年発売予定であるRPG『百英雄伝』の前日譚。ちょっとややこしいかもしれませんが、発売前タイトルの「外伝」的な位置づけにある本作は、ファンタジー世界のとある街「ニューネヴァー」を舞台に、主人公CJとその仲間達が冒険を繰り広げるアクションRPGです。
作り込まれた背景やオブジェクトにドット風味のキャラクターが動き回るという特徴的なグラフィックで、どこかおとぎ話のような雰囲気から想像できる通り、剣や魔法を駆使して魔物たちと戦います。ゲームは、ストーリークエストに沿ってダンジョンを攻略していくことで進行し、それ以外にもサブクエストはボリュームたっぷりに用意されています。クエストを通じて人々と交流を深めることで、街の発展にも寄与するという醍醐味が良いですね。
開発には、『幻想水滸伝』シリーズで知られる村山吉隆さんが指揮をとり、キャラクターデザインにも同じく河野純子さんが参加。さらには『ペルソナ』シリーズ初期に携わっていた里見直さんを迎えたチームが繰り出す本作は、往年の名作から受け継がれた安定感でゲーム全体をどっしりと支え、それでありながら古臭いということは決してなく、遊びやすさを追求した丁寧な心配りが随所に光っていました。
それはこのゲーム世界を歩き回るだけで、例えるなら、お湯をたっぷりと張って肩までどっぷりと浸かってザババババした時のような心地よさがあり、大いに満足感のあるプレイ体験だったとでもいいましょうか……!ともあれ早速紹介してまいりましょう。
操作・言語・設定まわりについて
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本作はキーボードでも遊べますが、今回筆者はXboxコントローラーを無線接続してプレイしています(アクション操作はコントローラーのほうが好み)。設定まわりはシンプルで、ゲームの基本的なグラフィック・サウンド・キーコンフィグの設定が可能です。
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グラフィックについては画面の表示設定から画質設定までもう少し踏み込んだ項目が並んでいます。言語についてはもちろん日本語対応しており、キャラクターは音声はないもののフキダシやアイコンで感情豊かな演出がされるため、個人的には好きな部分ですね。
登場キャラクターの良さ
2023年発売予定の『百英雄伝』では、100人以上のプレイアブルキャラクターを仲間にする云々とありますが、『百英雄伝 Rising』においては、主に3人に絞って操作していきます。
本作で登場するキャラクターは、サブクエストのモブ(?)含めて誰もが良い味を出しており、その中でも主人公含むメインメンバーの3名は、グッと物語に引き込む魅力を持ち合わせています。
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さらに踏み込んでベストキャラは?と、問うならば、それはやはり主人公CJだと感じます。
スカベンジャー(NOT ゴミ漁り)を生業とする一族の出身であるCJは、目的達成のために一貫した行動をとるため好感が持てます。また彼女の腕っぷしと、お宝に関する知識は大したもので、面倒見がよく人好きのする性格も相まって、非常に魅力的なキャラクターだと感じます。
ストーリーが主体となって進む本作において、そんな彼女の存在はまさに物語の牽引役。仲間や街の住人たちと愉快な掛け合いをしながら進行するクエストの明るい雰囲気は、彼女がいるからこそだと断言しても過言ではないはず。
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もちろん他のメインメンバーであるガルーとイーシャも魅力的なキャラクターです。
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最初は少し影のあるいぶし銀という雰囲気だったガルーは、割と早い段階でCJの尻に敷かれつつも、とっさの時はベテランの風格で動くのが格好良い。
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またイーシャはCJと同い年ではありますが、人手が足りない街の経営に鬼ガメツ……じゃなかった、毅然とした態度で大人たちと渡り合う立派な女性ですが、時折見せる年相応な少女の顔が素晴らしい。それに何故か魔法が使えたりと、どこかミステリアスな雰囲気なのも良いですね。
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クエストの設計が素晴らしい
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序盤はチュートリアルも多いため、クリア演出が重なることも相まってややテンポがゆっくりに感じるかもしれません。しかし要素がある程度出揃えば行動の自由が増えるため、そこまで問題には感じませんでした。
ストーリー主体の進行なので、当然クエストはサブよりもメインをこなしていく運びになります。クエストは街などにいるNPCに話を聞いて受注するタイプで、その達成には、各地のダンジョンを探索・攻略したり、アイテムを集めたりすることが求められます。
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ここで個人的に素晴らしいと感じるのは、あまり深く考えずとも、とりあえずダンジョンを何度か駆け抜ければ、メイン・サブのいくつかを達成できたり、進捗が見られたりするという点。
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とあるクエストで木材が必要になり、うおおおお根絶やしにしてやると森へ押し入り、伐採しては石を砕き、返す刃で敵をボコボコにし、資源袋がパンパンになるまでドロップ品を詰め込んでいるうちに、他のクエスト達成の条件を満たしていたりするのです。
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もちろん中には釣りや罠の設置など、腰を据えて行うものもありますが、それでもさくさくと進むテンポの良さがありました。
さらにそんなクエストをくれるNPCたちも、導線をよく考えてマップに配置されており、体感としては、クエストを受注したその足で左右へ進めば順にタスクが埋まっていくという、プレイの「流れ」、「遊びやすさ」に気を配った親切な設計が多い印象でした。
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なお物語の都合上、一部の展開で、クエストを1つこなして街の住人からスタンプを1つ貰う「スタンプ集め」イベントが発生します。
最初に渡されるカードには、スタンプ30個分の空欄が並んでおりなかなか気が遠くなりますが、実際は全て埋めなくとも5個くらい集まった段階で物語が進むのがちょうど良い塩梅。
それでありながら、イベント以降もクエスト達成毎にスタンプがぽんぽん集まってくるので、いつの間にか「どうせなら全部埋めたい…!」と収集魂に火をつけてくれるナイス導線でした。
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街の発展
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街にはCJの活動拠点となる自宅があり、そこではセーブを行ったり、1日を終えて体力回復したりすることが可能です。また他にも利用可能な商業施設があり、武器屋、防具屋といった基本的なものから道具、魔法、宿屋、食事処と多岐にわたります。
クエストの中にはそれらのオーナーから頼まれごとを引き受けるものもあり、依頼を達成することで施設がレベルアップしてきます。レベルアップによって、例えば武器であればよりグレードの高いものが並ぶなど、冒険の助けになる選択肢が増えるので、彼らからのクエストは積極的に受けると良いでしょう。
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また店の外見も、最初はあばら家だったものがどんどんしっかりとした作りになっていくので必見です。ここらへん、主人公たちの助力によって「街が発展していく」という手応えを感じられるのが醍醐味ですね。
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ところで、ここで個人的に感動を覚えたのは、住人達が生活しているという「息遣い」が見れるところでした。例えばとあるクエストで登場したNPCが、食事処でくつろいでいたりといったように、背景でさりげなく日々の暮らしが描写されているのです。これが良かった。
マップ移動が便利
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本作のマップは3Dで描かれており、基本的にそこでの移動は横スクロール形式。街もダンジョンも、小さなエリアマップが集まり、ひとつのステージマップを構成するデザインです。
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それぞれのエリアマップは横スクロール式のデザインですが、「上下方向の移動」による分岐が設けられていたりします。これは例えば、同じエリアマップ内で左右直線的に移動すればエリアマップAへ、縦穴を通じて下層へ移動すればエリアマップBに繋がる……といった具合ですね。
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そんな本作におけるワールドマップは、街を中心に各ダンジョンへとつながる構造をしており、ファストトラベルもばんばん解放されるため移動がやりやすいよう設計されています。
ファストトラベルは、ダンジョンでは途中のチェックポイント間のみ移動可能ですが、街では一度訪れた場所はいつでもメニューから選んでひとっ飛びできます。物語が進んで発展すると行き先も増えるので、ここらへんのアクセスに手間の少ない機能は大変便利。
とはいえ、強いて難点を挙げるとするならば、行き先の表示が名称だけで位置関係がわかりづらいということ。行き先はリストとして縦に並ぶのですが、マップ構造は上下左右にも入り組んでいるため、地名だけで判別するのは少々不便です。「あれ?ここじゃない……」というのもしばしばでした。
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そのためもし可能であれば、スタートメニューのミニマップを隣に並べて表示できたら、ひと目見て行き先がわかるようになるのではないかなと考えます。
戦闘の楽しさ
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ダンジョンには一部を除いて「魔物」などの敵が跋扈しており、主人公CJ一行はそんな魑魅魍魎を相手に武器を振るいます。倒した敵は、一度ダンジョンの外に出ればまた復活するので遠慮なくしばき倒しましょう。
ダンジョン攻略において操作可能なキャラクターは主人公であるCJを基本とし、物語の進行に合わせてガルー、イーシャが仲間になる形で追加されていきます。
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各キャラクターは攻撃、特殊スキルのスタイル、さらには移動速度などがそれぞれ異なります。CJとガルーは物理による近接攻撃、イーシャは魔法による遠距離攻撃を主に行うキャラクターで、各ステータスはバランス型のCJ以外はガルーが物理系、イーシャが魔法系を中心に基礎パラメータが振られています。
さらにそれぞれ攻撃速度や移動力、ジャンプ力にも差が設けられているので、自分の好みでメインに使うキャラクターを決めたら、あとは道中の敵や障害物などに合わせて使い分けると良いでしょう。ちなみにガルーはどうみてもカンガルーなんだから頭一つ跳躍するのかと思ったら特にそんなことはなかったぜ!
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ところでキャラクターステータス画面の一部に、なんだか気の狂った武器名がつけられていたことと思います。これは武器をアップグレードした際に挟まる命名イベントで、リストから3つのワードを組み合わせて行うことができます。CJだけでなくガルーや、イーシャもノリノリで名付けるのがちょっと可愛い。
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さて戦闘においては攻撃ボタンが3種類に分けられており、それぞれにこの3名が対応する形になります。Xboxコントローラーでプレイする筆者の場合、XでCJ、Yでガルー、Bでイーシャといった具合ですね。このおかげで戦闘中、「切り替えボタンを押してキャラクターを選択・決定」という手順が省略され、スムーズに切り替えながら攻撃を繋いでいくことができます。
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攻撃を繋ぐといえば、敵に当たるタイミングで上手くキャラクターを切り替えると「リンクアタック」と呼ばれるコンボが発生します。敵をCJで斬りつけてから、ガルーで張り倒して美味しくいただく……キャラクターの順番は問わず、大ダメージを与えることができるのでぜひ狙いたいところ。
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ちなみに敵の種類や攻撃は、ある程度共通したパターンが根底にはあるものの、ダンジョン毎にバリエーションが用意されています。基本的にはこちらに寄ってきますが、なかには遠くから攻撃を当ててくるやつもいるので、まずは遠距離タイプを積極的に倒すことを心がけると良いでしょう。
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ただしボスはトリッキーな動きで強力な攻撃を放ってくるので、"高度の柔軟性を維持しつつ臨機応変に”対応が求められたり。
また敵にも、主人公CJたちと同じく、体力ならびにステータスが割り振られており、相性の良し悪しなんてのもあります。とはいえキャラクターのレベルを上げたり、装備を鍛えたりすればかなり楽に戦えるので、ここらへんシビアになりすぎない、ちょうどよいバランスだと感じます。
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敵を倒すと経験値が入り、一定値に届くとレベルアップし基本ステータスが上昇します。レベルによって攻略の難度……より直接的な部分では敵との戦闘にかかる時間が変わります。新しいダンジョンステージやエリアに初挑戦の時は敵も手強いかもしれません。
しかしレベル上げを延々と作業的にこなす必要は決してなく、たいていは数回、敵を殲滅しながらダンジョンを踏破するだけで、十分にキャラクターが強くなっていく体感です。
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そのため、ダンジョンで集めたアイテムのお陰で同時にクエストも達成できるわ、おかげでさらにレベルアップできるわ、温まった懐で装備をアップグレードできるわという「好循環」に乗ることができるため、だいぶサクサクと進めるレベルデザインになっていると思います。
おわりに
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繰り返しになりますが、本作は全体的に手堅くまとまりながらも、遊びやすさを追求した丁寧な心配りが随所に光るデザインが好印象です。
キャラクターの愉快な掛け合い、続きが気になるストーリー、作り込まれた背景含むオブジェクトが、ゲーム世界にさらに奥行きを与えて魅力的なものに仕上がっていますね。
あともうこれはほんとスーパー個人的な叫びなのですが、BGMがどれも耳に心地良く、特に採掘場のテーマはどストライク過ぎて「頼むからサントラを発売してくださいまし!」と語尾がブレるほどでした。ずっと聞いていられる……!
対応機種:PC(Windows)/PS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One/ニンテンドースイッチ
記事におけるプレイ機種:PC(Windows)
発売日:2022年05月11日
記事執筆時の著者プレイ時間:5時間
価格:1,650円