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8月13日と8月14日の2日間に、記念すべき開催100回を迎えた大型同人イベント「コミックマーケット」(以下、C100、コミケ100)。今回は、東京ビッグサイトの会場で見つけた気になる同人ゲーム/ゲーム評論系同人誌をピックアップしてお届けします。
なお同人ゲームジャンルは1日目に、ゲーム関連の本は2日目のゲームその他に配置されていたために同日にまとめられていません。そのため、本記事では1ページ目を同人ゲームに、2ページ目をゲーム系同人誌と分けました。
西ホール: 「同人ゲーム」ジャンル
『PREDATOR AND WRECK 捕食者と崩壊』/Snym
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Snymは、対抗手段がない一人称ステルスSFホラー『PREDATOR AND WRECK 捕食者と崩壊』の開発資料特典付きPC版を会場限定価格で頒布していました。本作は元々2022年5月にSteamで販売したタイトルで、PCの他にニンテンドースイッチ向けにも展開。加えて、英語版の開発もスタートしています。また、ブースの担当者に話しを聞いたところ、本作の開発で大変だったところは一度ゲームを作り直したことだったことでした。
『VARIAVLE ARMS FRONTIER 暁の皇女と忘れさられた惑星』/UNLIMITED GAMES
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UNLIMITED GAMESは、オープンワールドとフライトシューティング、そしてロボ要素を組み込んだ『VARIAVLE ARMS FRONTIER 暁の皇女と忘れさられた惑星』と『Unlimited Sky』、そして『Unlimited Blade』の体験版を頒布していました。サークル主に話を聞いたところ、本作は近年ロボゲーがなかったことが開発のきっかけで、進捗はまだ10%ほど。これから長い時間をかけて本格的な開発に入っていくとのことでした。加えて、ゲーム内に登場するロボを3Dプリンタで出力した立体物を展示していました。
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『夢幻桜桜閣』/電猫遊戯
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電猫遊戯は『夢幻桜楼閣』の告知と、過去作『ユニティユニオンズ』のDLカード/パッケージ版の頒布 をしていました。サークル代表となるほーせんか氏に話を聞いたところ、新作『夢幻桜桜閣』はローグライト3Dアクションゲームで、開発進捗は20%から30%ほどでこれから本格開発の予定をしているとのこと。さらにコミケ100の出展に合わせて体験版も配布しています。体験版をプレイしてみたところ、まだ開発初期段階とはいえキャラクターモデルや攻撃アニメーションも含めて良くできているのが驚異的。完成が待ち遠しいタイトルです。
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『25things』/CoroCom
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CoroComは、サバイバルホラーTPSの『25things』のプレイアブル出展と、設定情報などを盛り込んだ新刊「IMPERSONATION」とグッズとしてTシャツを頒布していました。『25things』は本編『Impersonation(仮)』のプロトタイプ版で、25体のゾンビを倒す本編と関係のないミニゲームです。
CoroCom氏に話を聞いたところ、本作は『バイオハザードRE2』への影響を色濃く受けた作品で、欠損などを筆頭としたゴア表現が強めです。現在の開発進捗はまちまちですが、本業の合間を縫って開発を続けていることもあり、気分によっては突然完成になることもありえるとのこと。プレイアブル出展されていた本作を3分ほどプレイしてみましたが、後ろへ移動する時に真後ろをプレイキャラが向いてしまうことが気になってしまうものの、敵のゾンビを含め基本的な動きがほぼ出ているように思えました。トレイラーで示された本編の内容を含め、完成を待ち望みたい作品です。今後はデジゲー博に出展する予定です。
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『Call from abyss(仮)』/day-to-day management
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オリジナルゲーム制作サークルday-to-day managementは、新作2Dプラットフォーマー『Call from the Abyss(仮)』をプレイアブル出展すると共に前作『Necrotopia』を頒布していました。グラフィックデザインと企画を担当したshu氏によると新作の開発進捗はまだ数%ほどで、今回のプレイアブル出展/頒布したバージョンはとりあえず組み込んだだけであるとのこと。また前作『Necrotopia』が完成まで5年かかったので、本作はできれば3年で完成させたいとも語っていました。
プレイアブル出展された本作を数分プレイしてみたところ、確かにアセットを組み込んだだけの状態ではありますが、深海の生物たちやNPCのグラフィックを含めておどろおどろしく魅力的で、どんな物語が展開されるのかが楽しみになるビジュアルです。
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『ハルイロのセツナ』/GALEX SOFT
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サークルGALEX SOFTは、三角関係ADV『ハルイロのセツナ-Complete Edition-』を頒布すると共に、新作となる『ハルイロとセツナ2』を発表しました。ブースの担当者に話を聞いたところ今回頒布した『ハルイロとセツナ』は、前回の冬コミ版では半分しかできていなかったため、残り半分を組み込んだ完全版となります。本作は、全編フルボイスで構成された運命に翻弄される2人の少女との切なく甘酸っぱい三角恋愛物語。本作はBoothだけでなくDLsiteなどでも展開していますが、Steam版は要検討であるようです。
『Story of SHOW!ME!機嫌 ep2』/ささちゃえん
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同人ノベルゲーム制作サークルささちゃえんは、C100において新章となる『Story of SHOW!ME!機嫌 ep2』と過去作を頒布していました。サークルの公式サイトの説明によれば、「SHOW!ME!機嫌」は自由な物作りや表現をするプロジェクトで、ストーリードラマコンテンツ開発やライブパフォーマンスも展開しています。『Story of』は金丸祐基氏のイラストを基に物語を展開していますが、過去作『AIMAI★アイドる!?』では実写取り込みフルボイスビジュアルノベルとして開発するなど表現の幅広さに驚かされます。
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『ヒロイックシンドローム』/A9機関
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サークルA9機関は、ローグライトマルチプレイアクション『ヒロイックシンドローム』の最新体験版と、過去作である『宝石皇女』を頒布していました。ブースの担当者に話を聞いたところ『ヒロイックシンドローム』の進捗はこれから本格的に取り組んでいく状況であるとのこと。また、マルチプレイローグライクですがシングルでも遊べるようにすることや、体験版の難易度バランスは4人ぐらいで丁度良く保っていると語りました。他にも、ブースで公開されていた映像によるとルート変化などが盛り込まれているようです。
また、A9機関の公式サイトで過去のティーザーを見てみると、『ヒロイックシンドローム』は当初タクティカルドミネートカードバトルとジャンル付けされていたことから、途中でジャンルが変更されたことが確認できます(加えて、2017年に初めて映像を公開していることから少なくとも開発に5年以上取り組んでいることになる)。ブースで公開されていた映像を見る限り、あるタイミングで大きくブラッシュアップされたことを感じるため、なんとか完成にまでこぎ着いて欲しいと思える作品です。
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『Breakpoint2(仮)』/まじかるふぉれすと
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まじかるふぉれすとは、新作となる縦スクロールSTG『Breakpoint2(仮)』の体験版や、過去作の『Breakpoint』などを頒布していました。サークル主に話を聞いたところ、本作は前作よりドット絵のクオリティを大幅にアップさせた作品であるとのこと。また、開発進捗は、2022年の初めから開始してゲームの基礎が大体出来たところであるそう。前作は開発に2年かかったので、本作も同じかそれ以上かかるかも知れないとも加えます。
他にも、タイトル名は仮のものなため、開発状況によっては名前が変わるかもしれないとも述べました。頒布された本作の体験版をプレイしてみたところ、ドット絵の繊細さからケイブのSTGのような味わいがある一方、ゲームスピードが遅く左右の行動範囲がかなり広いことから、従来の弾幕STGは一味違ったプレイ感覚を覚えました。基礎的な部分が面白く感じたので完成を楽しみに待ちたい作品です。
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『A-Line』/質量欠損
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質量欠損は、初恋を終わらせるADV『A-Line』のパッケージ版と副読本などを頒布していました。本作は、PCとスマホ(ブラウザ)でプレイ可能な作品で、プレイヤーは「僕」となり片想いの「ミナちゃん」の部屋にある様々なオブジェクトに触れ物語を進めるという内容です。サークルの祀木氏と松岡氏から話を聞いたところ、『A-Line』は約3ヶ月で開発したタイトルであるそうです。
実際にプレイしてみると、キャラクターのイラストやテキストを含めてプレイヤーの意識を集中させる儚い雰囲気をよく表現しており、約3ヶ月で作られたとは思えないほど開発経験の蓄積を感じる作品です。本作は無料で公開されているのでこちらからプレイしてみてはいかがでしょうか?
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また、C100開催に合わせてえーでるわいすのなる氏より各サークルからトレイラーを集めた動画が公開されているのでこちらも合わせてご覧ください。