東京ゲームショウ2022に出展中の、Passion Republic Gamesはマルチプレイ怪獣大乱闘アクション『GIGABASH』とゴジラがコラボレーションすることを発表し、ティザー映像を公開しました。
怪獣バトルゲーム、ということである意味では順当でありながらも、一体どんな形になるのか気になるゴジラシリーズとのコラボレーションや同作自体について、このTGSの機会を活かし編集部でPassion Republic Gamesに対しインタビューを敢行しました。
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――自己紹介をお願いします。
SERN サーンと申します。Passion Republic Gamesの創設者です。元々は、CGを教える教員でしたが、2002年当時はマレーシアにCGの仕事が少なくて、教え子たちがマレーシアを離れて職を求めるしかない状況だったので、地元で活躍できる場を作りたいと思い2009年に会社を設立しました。とは言え、今では多くの海外の会社もマレーシアに拠点を設けるようになっていますね。
――最初は教職をされていたのですね。『GIGABASH』の構想はいつからあったのでしょう?
SERN 2017年くらいですね。GIGABASHを始める前にも過去数年に渡って計4作のプロトタイプを作りましたが、そちらは途中で開発を取り止めてしまいました。メンバー全員の意見を擦り合わせることはとても難しかったのです。
――最初のゲーム開発となると、みんなのやりたいことがいっぱいありすぎてまとめるのは難しそうですね…そこからどうやって開発を進めたのでしょう?
SERN 4回の失敗を経て、みんなが満足できるゲームは難しいことに気づいて、メンバー同士で他の人のアイデアにアドバイスを出すなど、アイデアを活かす方向に切り替えました。『GIGABASH』が企画として良かった点として、メンバーの子供の頃の思い出を甦らせられたことですね。結果として、メンバーの好きなものを持ち寄ってゲームを作ることができました。マレーシアは世界中のコンテンツを楽しむので、みんないろいろなものから影響を受けています。私で言えば、「ゴジラ」「トランスフォーマー」「ウルトラマン」「トトロ」「ゾイド」などですね。若いメンバーは「パシフィックリム」などの影響を受けています。
――東京ゲームショウには2019年にも出展されていますが、リリースまでは苦労もあったのでは?
SERN コロナによって、リモートワークをしなくてはならなくなりました。この影響が思いの外大きく、メンバー同士で対面での話し合いをすることが難しくなってしまったのが苦しかったです。そして、それに関連してゲームにも大きな変更を迫られることになりました。『GIGABASH』はもともとローカルプレイだけを予定していましたが、終わりの見えないコロナの流行下での生活に対応すべく、オンライン機能を実装することになったのです。結果としてリリースが遅れました。はじめてチャレンジすることも多かったのですが、幸運なことにチームメイトが意欲をもって取り組んでくれて完成することができました。
――発売から1ヶ月が過ぎましたが、ユーザーからの反応はいかがですか?
SERN 家族や友人で楽しんでくれているなど、建設的でポジティブな意見が多いですね。ネガティブな意見としては、ローンチ時点の価格が高いという声もありました。同時期に基本プレイ無料のゲームがリリースされたことも影響していると思います。ほかには、キャラクターの追加やシングルプレイの充実なども要望を受けています。本作は基本プレイ無料ではありませんが、22日深夜まで20パーセントオフになっていますので、楽しんでほしいと思います。
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――キャラクターの追加ということで、読者の皆さんも気になっていると思いますが、ゴジラシリーズとのコラボを発表しましたね。
SERN そうですね。今日、私たちは「ゴジラ」とのコラボについて発表しました。ゴジラのライセンサーの皆様と協議中なので詳細はお話しできませんが、「ゴジラ」シリーズに登場する怪獣たちのうち何体かがプレイアブルキャラとして使えるようになります!
――プレイアブル!これはすごいですね。ちなみに、本作にはすでに、「ゴジラ」などに影響を受けたキャラもいるように思います。
SERN このコラボが実現したのはゴジラのライセンサーの皆様に、我々が子供のころに楽しんだ日本のコンテンツのオマージュとして温かく寛大な気持ちで『GIGABASH』を受け入れてもらえたおかげだと思っています。既存キャラクターの性能との差別化としては、どのような動きが「ゴジラ」シリーズの怪獣らしいかをゲームデザイナーが研究したり、ゴジラのライセンサーの皆様からの意見も取り入れて進めています。
――ゴジラのライセンサーの皆様からの意見も取り入れて作っているのですね。ところで、コラボはどうやって実現したのでしょう?
SERN 我々の中でキャラクターを追加しようという話が先にあり、我々独自のキャラをさらに追加するか、なんらかの作品とのコラボレーションを実施するかを話し合っていました。自分たちの憧れの怪獣たちとのコラボレーションは難しいのは分かっていましたが「失うものはなにもない」と、覚悟を決めてアプローチを行っていきました。もうひとつ挙げるなら、2019年の東京ゲームショウで『GIGABASH』をプレイした方が、インターネット上で次のゴジラゲームはいつ出るんだと投稿していたのもこの壮大なチャレンジへの大きな後押しになりましたね。
――私もプレイしましたが、怪獣や特撮への愛がある作品だと思いました。最後に東京ゲームショウに来られる皆さんにコメントをお願いします。
SERN 実は、2019年の東京ゲームショウに出展した時は結構ドキドキしていました。「怪獣や特撮の本場である東京に、この小さなゲームを出しても大丈夫だろうか」と。でも、多くのゲーマーやメディアの人が『GIGABASH』を応援してくれて、フィードバックや意見をくれました。今年の東京ゲームショウでも本作を皆さんに触れてほしいと思いますし、今後も東京ゲームショウに出展したいと思います。
――ありがとうございました。
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今回のインタビューで感じたことは、4回の失敗から「他のメンバーのアイデアを活かす」方向に切り替えたことでした。自分のアイデアを殺して、他の人のアイデアを活かすというのはなかなかできることではなく、そのチームワークの良さと子供のころの思い出が本作には詰まっているのだと感じました。開発メンバーの皆様ですが、写真撮影をお願いしたらその場で即興でポーズを決めてくれたりとノリの良い方々でした。