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2022年10月27日、Logitech Internationalの日本法人である株式会社ロジクールより、「G502」シリーズの上位モデルとなる「G502 X」シリーズが発表されました。ラインナップとして取り揃えられているのは「G502 X PLUS」「G502 X LIGHTSPEED」「G502 X ゲーミングマウス(本機種のみ、以下“G502 X”)」の計3モデルで、それぞれブラックとホワイトのカラーバリエーションで展開されます。国内での発売は2022年11月24日を予定しています。
軽くポイントに触れるだけでも、デザインの一新、軽量化、メカニカルとオプティカル双方の特徴を併せ持つ新型スイッチ「LIGHTFORCE」の搭載、「LIGHTSPEED」のアップデート……と数多くの改良点が挙げられますが、ゲーミングマウスのレジェンドたる存在であり、ロジクール曰く“全世界で最も売れたゲーミングマウス”であるG502シリーズを進化させ、“X”の名が冠されたG502 Xシリーズ。車でいうフルモデルチェンジを行ったわけですが、果たしてどのような仕上がりなのでしょうか。今回、ロジクールより各モデルのサンプルを提供いただいたので、こちらをチェックします。
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現在の経済情勢もあるとは言え、ワイヤレスの最上位モデル「G502 X PLUS」の直販(ロジクールオンラインストア)価格は21,780円(以下、特筆なき場合はすべて税込価格)という強気の価格設定。ワイヤードモデル「G502 X」でも10,890円と、G502のヘビーユーザーであり、「G502 Xを日本でも早く発売してくれ!」と毎日のように念じていた筆者でも、一瞬「おぉ……」となるほどには、フラッグシップシリーズたる堂々とした価格であることは間違いありません。2万円となれば、18年モノのシングルモルト・ウイスキーが買えるくらいの価格ですからね。ゲームと同じくらいスコッチ好きの筆者としては非常に悩ましい。
それでも、結論から述べるなら「G502 Xシリーズ(特に「G502 X」)は、“あの時の感動”を再び思い起こさせてくれるマウス」であり、「魂が帰れる場所」でした。基本的なレイアウトはほぼ変わっておらず、多ボタンゲーミングマウスというコンセプトも変化なし。ゲームはもちろん、機能を割り当てれば日常使用にも便利という点も変化なし。人を選ぶ、やや大ぶりのサイズも変化なし……。では一体、G502 XはG502と比較して、何が変わったのでしょうか。
そこにあったのは“変化”ではなく、“進化”です。それもG502の血脈と伝統を受け継ぐ、正統な進化です。そんな“新生G502”たる、G502 Xシリーズを検証していきましょう。先に断っておきますが、本稿はGame*Spark編集部承認の下、G502ヘビーユーザーの筆者が心の底から好き勝手に書いており、時折叫んだり、愛を語りだしたり、非常に長文になっていますので、ご了承ください。
各モデルの製品仕様(実測値含む)
<ロジクール G502 X ゲーミングマウス>
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サイズ(全高×全幅×全長):41mm×79mm×131mm
重量:89g
マウスソール素材:PTFE
ケーブル長(実測値):約1.75m
搭載センサー:HERO 25K
センサー方式:オプティカル
解像度:100-25600DPI
最大加速:40G(ゲーミングマウスパッド上でのテストによる)
最大速度:400インチ/秒(ゲーミングマウスパッド上でのテストによる)
リフトオフディスタンス:不明
USBデータフォーマット:32bit/axis
USBレポートレート:1000Hz(1ms)
プログラム可能なボタン数:13(左右メインスイッチ×2、左右チルト&センタークリック&スクロールホイール上下×5、ホイール下×1、左メインスイッチ横×2、左サイド×3、左右メインスイッチにLIGHTFORCEを搭載)
チルト機能:有
接続インターフェイス:USB-A
オンボードメモリ:搭載(最大登録プロファイル×5)
直販価格(想定価格):10,890円(税込)
<ロジクール G502 X LIGHTSPEED ワイヤレスゲーミングマウス>
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サイズ(全高×全幅×全長):41mm×79mm×131mm
重量:102g(バッテリー含む)
マウスソール素材:PTFE
ケーブル長(実測値):約1.8m(USBレシーバー延長兼充電ケーブル)
搭載センサー:HERO 25K
センサー方式:オプティカル
解像度:100-25600DPI
最大加速:40G(ゲーミングマウスパッド上でのテストによる)
最大速度:400インチ/秒(ゲーミングマウスパッド上でのテストによる)
リフトオフディスタンス:不明
USBデータフォーマット:32bit/axis
USBレポートレート:1000Hz(1ms)
内蔵バッテリー最大連続駆動時間:約140時間(使用環境によって異なる)
プログラム可能なボタン数:13(左右メインスイッチ×2、左右チルト&センタークリック&スクロールホイール上下×5、ホイール下×1、左メインスイッチ横×2、左サイド×3、左右メインスイッチにLIGHTFORCEを搭載)
チルト機能:有
接続インターフェイス:LIGHTSPEEDワイヤレスUSB
オンボードメモリ:搭載(最大登録プロファイル×5)
直販価格(想定価格):19,360円(税込)
<ロジクール G502 X PLUS LIGHTSPEED ワイヤレス RGB ゲーミングマウス>
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サイズ(全高×全幅×全長):41mm×79mm×131mm
重量:106g(バッテリー含む)
マウスソール素材:PTFE
ケーブル長(実測値):約1.8m(USBレシーバー延長兼充電ケーブル)
搭載センサー:HERO 25K
センサー方式:オプティカル
解像度:100-25600DPI
最大加速:40G(ゲーミングマウスパッド上でのテストによる)
最大速度:400インチ/秒(ゲーミングマウスパッド上でのテストによる)
リフトオフディスタンス:不明
USBデータフォーマット:32bit/axis
USBレポートレート:1000Hz(1ms)
内蔵バッテリー最大連続駆動時間:約120時間(連続したRGBオンの状況下では約37時間。使用環境によって異なる)
プログラム可能なボタン数:13(左右メインスイッチ×2、左右チルト&センタークリック&スクロールホイール上下×5、ホイール下×1、左メインスイッチ横×2、左サイド×3、左右メインスイッチにLIGHTFORCEを搭載)
チルト機能:有
接続インターフェイス:LIGHTSPEEDワイヤレスUSB
オンボードメモリ:搭載(最大登録プロファイル×5)
直販価格(想定価格):21,780円(税込)
2014年に「G502 Proteus Core Tunable Gaming Mouse」として登場したG502シリーズは、以降、2016年に「G502 Proteus Spectrum RGB Gaming Mouse」、2018年に搭載センサーを一新した「G502 HERO Gaming Mouse」と時代に沿った改良が施されてリリースされ続けてきました。
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2019年には待望のワイヤレスモデルとなった「G502 LIGHTSPEED Wireless Gaming Mouse」が登場し、大きな話題を呼んだことは記憶に新しいところです。ロジクールの主力製品として、ほぼ形状の変更なく販売され続けている歴史は、その市場での人気の高さを物語ります。「世界で最も売れたゲーミングマウス」という文句は決して誇張ではなく、その経過した年月が証明していると言ってよいでしょう。
しかし、形を変えていないということは、同時に2014年から(開発期間を含めればそれ以前)大きな構造は変わっていないということも意味します。もちろん、生産途中で細やかな変更などがあったことは想像に難くないですが、根本的な部分はほぼ変わっていません。最も大きく変わったのはワイヤードからワイヤレスになった「G502 LIGHTSPEED」ですが、それでも約7gの軽量化と底面センサー周囲のソール形状の変更程度でした。
ここで、今から8年前のことを思い出してみましょう。街の景色は。走っている車は。周囲のデバイスは。PCのCPUは。GPUは……。そのどれもが、今あるものとは異なっているはずです。
そして、トップシェアを争う各社の技術競争が激しいゲーミングデバイスにおいて、この年月はあまりにも過酷です。ゲーミングマウスと言うと、新たなセンサー、新たなスイッチといった部分に注目は集まりがちですが、基礎設計という部分も着実に進化しているはず。その根本的な設計が、8年もの間“変更されていない”。この事実はG502の基礎設計が相当に優秀であったことを物語りますが、同時に最新の基準からみれば相当なブラッシュアップができることも意味します。
公称重量80gのワイヤレスという、2018年当時の基準で考えれば衝撃的なスペックで登場した「PRO Wireless Gaming Mouse」でさえ、2020年には「PRO X SUPERLIGHT Wireless Gaming Mouse」として、約17gの軽量化を果たした公称重量63g未満という進化を遂げているわけです(完全な右手専用マウスになったりと100%の上位互換とは言えませんが)。
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各モデルの実機をチェック
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ここからは実機をチェックしていきましょう。まずは各モデルの付属品から。ワイヤードモデルは比較的シンプルなものとなっていますが、ワイヤレスモデルはLIGHTSPEEDに対応するための機器などが入っていることが相違点です。
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梱包も大きく異なっており、ワイヤレスモデルの方が全体的にコストが掛かっている印象を受け、フラッグシップ機種らしい格調の高さがパッケージからも伺えます。とは言いつつ、ワイヤードモデルも必要十分な梱包であり、ロジクール(Logitech)の環境への配慮活動を考えれば問題ないレベルです。
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G502 Xシリーズは名が示す通り、G502の上位版(改良型)に位置するモデルです。ワイヤードモデル、ワイヤレスモデルの双方で大きな形状の違いはなく(ケーブルやポートの有無、底面ソールの形状が異なる程度)、ロジクールより「基本性能は3機種とも同一」とのコメントをもらっています。
ボタン配置などのレイアウトもG502と同様であり、全体的なデザインが変更されているのが外観上の大きな相違点。クワガタムシなどとも形容されたG502と比較すると、全体的にエッジが落とされて“今っぽい”デザインとなりました。
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サイズと重量の確認をしましょう。サイズ(※)は3モデルとも41mm×79mm×131mm(全高×全幅×全長)となっており、G502シリーズの最新モデル「G502 HERO」「G502 LIGHTSPEED」の40mm×75mm×132mmと比較すると、“誤差程度に高くなり、4mm幅が狭くなり、誤差程度に短くなった”もの。実機の写真で見ると、中央付近になるにつれて盛り上がっていたG502に対し、G502 Xは全体的にのっぺりした印象を受けます。手が非常に大きく、かぶせ持ちに近いスタイルで使用する筆者としてはG502 Xの方が持ちやすいのですが、ここは個人差が生まれるところ。
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公称重量(※)は「G502 X PLUS」が106g、「G502 X LIGHTSPEED」が102g、「G502 X」が89g。これは個体差やカラーリングによる差を含めたものであり、株式会社ロジクール クラスターカテゴリーマネージャー 伊達 matt 玄四郎氏(以下、伊達氏)曰く「この数値を超えることはない最大重量」であるとのこと。あくまで参考値になりますが、各モデルの重量を実測したところ、「G502 X PLUS」(ホワイト)は105g、「G502 X LIGHTSPEED」(ホワイト)は102g、「G502 X」(ブラック)は85gでした。性質上、ワイヤードモデルは完全にケーブルを抜いた状態で計測ができないため、その点を踏まえる必要がありますが、手元の「G502 X」が公称値よりも4g軽量なのは驚きです。
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「軽い“当たりの個体”を引いた+ブラックカラー」(一般的にホワイトカラーのほうが重量が若干増えると言われている)ということでしょうが、筆者が使用している「G502 Proteus Spectrum RGB」(「G502 HERO」の前世代モデル)は実測で129g(ケーブル抜きの公称値は121g)あったため、これらの比較では44gも軽量化されていることになります。
※筆者注
上記は株式会社ロジクールより送付された資料の数値であり、米国のLogitech公式サイトに記載されている数値は以下のとおり。
「G502 X」
Weight: 3.14 oz (89 g)
Height: 5.17 in (131.4 mm)
Width: 1.62 in (41.1 mm)
Depth: 3.12 in (79.2 mm)「G502 X LIGHTSPEED」
Weight: 3.52 oz (99.7 g) (Black), 101.5 g (White)
Height: 5.17 in (131.4 mm)
Width: 1.62 in (41.1 mm)
Depth: 3.12 in (79.2 mm)「G502 X PLUS」
Weight: 3.74 oz (106 g)
Height: 5.17 in (131.4 mm)
Width: 1.62 in (41.1 mm)
Depth: 3.12 in (79.2 mm)
なお、「G502 X LIGHTSPEED」のカラーごとの重量を除き、寸法や重量は日本市場向けの製品パッケージにも0.1mm単位で記載されています。これらについてロジクールに確認を取りました。
――米国サイトと日本サイトで記載されているスペックの数値(米国は0.1mm単位、日本では1mm単位)が異なるのは、なぜなのでしょうか。
ロジクール担当者 :こちらにつきましては、基本的に米国と日本で同様のスペックとなっております。
――米国サイトでは「G502 X LIGHTSPEED」のみカラーごとの公称重量が別途で掲載されていますが、その理由についてご教示ください(ブラックの方が約2gほど軽い)。他の2モデルも「G502 X LIGHTSPEED」と同様に、ブラックの方が軽いという認識でいいのでしょうか。
ロジクール担当者:色による違いは0.5gですが、日本市場では、大きな差がない場合は分けずに発表しております。USサイトのみ分かれているようですが、他のモデルは公称重量の差はございません。
このように販売地域ごとの製品の差はなく、各モデルとも、カラーによる実測の重量変化は僅かながらある(ブラックの方が軽い)との認識でよさそうです。
ワイヤレスモデルに目を移すと、同じLEDを搭載しているという条件で考えれば「G502 LIGHTSPEED」が114g(公称重量。実機は手元にないため計測不能)であったため、公称重量と実測値の比較という点に注意が必要なものの、約9g前後(G502 X PLUS)の軽量化に成功しています。G502 XシリーズからはLEDを搭載していないモデル(G502 X LIGHTSPEED)もラインナップに入っているため、単純なワイヤレスという条件で比較するなら約12gの軽量化です。
正直、この結果からは“フラッグシップのフラッグシップ”である「G502 X PLUS」ではなく、100gの壁を越え、80g代にまで突入している「G502 X」が一番インパクトがあると言わざるを得ません。もちろん10g前後の軽量化でさえバカにはできないですが(ゲーミングマウスにおける1gは決して誤差ではないでしょう)、約40gという軽量化がマウスにとってどのような動きをもたらすか、それは推して知るべきです。
そしてG502Xでは、G502の特徴でもあった重量調節機能(重りを入れて更に本体を重くできる機能)はオミットされています。昨今の軽量化へのトレンドに沿ったものだとのことですが、「他ボタン機能を使うためにG502を使っていたユーザー」(機能はそのままで軽い方がいい)ではなく、「重たいからG502を使っていたユーザー」には悲しい仕様変更となりそうです。これは冒頭近くでも記述しましたが、G502 Xは“G502の上位モデル”という立ち位置の存在。G502の販売も継続されるとのことなので、重たいマウスを使いたいという方に対しては、従来の選択肢が残されていることも明記しておきます。
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左右メインボタンもセパレートタイプで変わらずであり、左メインボタンが微妙に凹んだ、指にフィットする形状もG502から引き継いでいます。プラスチック部分の表面自体はかなりツルツルとしており、かなり滑りますが、実際に保持する部分にはラバーグリップが配置されているので、“使用している最中に滑ってしまう”といったことはほぼありません。G502と比較するとグリップパターンが変更されており、グリップ性が向上した印象を受けます(G502のパターンは“飾り”的な印象が強く、正直あまりグリップ性能を感じることはありませんでした)。
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この左右メインボタンに装備されているのが新型スイッチとなる「LIGHTFORCE」。正式名称は「LIGHTFORCE HYBRID OPTICAL-MECHANICAL SWITCHES」となる本スイッチは、オプティカルとメカニカル双方のメリットを併せ持ったスイッチです。オプティカルスイッチは「耐久性が高い」「反応速度に優れる」といったゲーミングマウスに向くメリットがありますが、構造上、独特のフィールがあり、好き嫌いが分かれるものでした。
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このLIGHTFORCEでは基本動作はオプティカルとしつつも、明確なクリック感を生み出すメカニカルのような感触を再現する部品を内蔵しており、双方の利点を併せ持ったスイッチになっています。残念ながら他のボタンにはLIGHTFORCEは搭載されておらず、こちらは通常のメカニカルスイッチのようです(メーカーは不明。G502と同様であれば、オムロン スイッチアンドデバイス製の可能性があります)。
LIGHTFORCEを実際に使用しての感触ですが、クリック感は非常に明確であり、青軸系のメカニカルキーを連想させる、カチッとしたフィールが指に伝わります。連打に近い連続でのクリックや、シューターゲームにおけるタップ撃ちなどのシチュエーションでも誤動作は見られません。反面、しっかりとした跳ね返りがあり、軽く力を入れるだけでも動作するといったものでもないため、クリック感が軽いスイッチを好む方は要注意。G502 Xは左右でメインボタンの形状が異なるため、押した際のフィールも左右で若干異なります。筆者の体感ですが、左メインボタンの方が若干リニアで、右メインボタンは少し“ゆとり”がある印象を受けます。先に青軸系のフィールを連想させると記しましたが、体感としては動作音も同じくかなり大きめ。
各種ボタンの形状も変更されており、とくに大きく形状が変更されたのは左メインボタン横の2ボタン(G7、G8)です。G502に存在したDPIインジケーターが削除されたため、その部分に広がる形でG7ボタンの面積が大きく拡大されています。押した際には面積が大きいG7ボタンの方が、ストロークが若干大きい印象を受けます。
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G502では大きさにかなり差があったサイドボタン(G4、G5)も、G502 Xでは同程度の大きさ(双方とも2cm程度)へと変更され、指への接地面が平面に近いものではなく、三角形の頂点を落としたようなデザインに変更されています。この変更は好き嫌いが分かれそうなポイントで、筆者的には指への接地面積が大きいG502の方が“しっかり押した感”があり、好みです。
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DPIシフトボタン(別称スナイパーボタン、G6)が付け替え、無効化可能になったのも大きな特徴で、使用者の手の大きさや持ち方によって前後向きの変更が可能です。そもそも使わないという場合にはオプションパーツで物理的に無効化もでき、その場合はグリップ部分と一体化するような形状になります。
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これらはマウス本体とパーツの凹凸+磁石によって装着される仕組みですが、あまり頻繁に付け替えをするような想定の設計にはなっていません。クリック感は前後付け替え時ともに良好で、持ち方や使用頻度によって、好きなスタイルで使用して問題ないでしょう。そしてボタン全般で注目できる点として、動作音が挙げられます。G502と同程度ですが、軽量化の構造変化によるものなのか、全体的に高音になり、マウス全体に対して響く印象を感じました。これはシリーズで最軽量となる「G502 X」で特に顕著です。
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ホイールの幅は約6.5mm、24ステップで1周し、指への接地面になる表面にサイドと同じようなパターンのグリップが装備されます。一見では分かりづらいですが、「PRO X SUPERLIGHT Wireless Gaming Mouse」ほどではないものの、しっかりと肉抜きされていて、全体の軽量化にも寄与しています。操作フィールも大きく変化し、「カク、カク」と、より軽く、軽い力で回るようになりました。ホイールクリックはやや固めで、スクロールの最中に誤動作を起こすなどの現象は見受けられません。
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G502にも搭載されていたホイールモードの切り替えはG502 Xシリーズでも継続されており、ホイール下のボタンによって「通常モード」と「高速スクロールモード」(名称は便宜上のもの)の切り替えが可能です。ホイールモード切り替えスイッチの直下にG9キーが配置されるのも変更点のひとつですが(G502では約2mmほどのスペースがありました)、実際に使用していて“誤爆”してしまうというようなケースはありませんでした。
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左右へのチルト機能も引き続き搭載されていますが、これが改善されており、G502ではマウスを高速で振った際にホイールが「ブン、ブン」と揺れる感触がありましたが、G502 Xでは大きく軽減されています(完全にゼロではないですが、ほぼ気にならないレベル)。それに伴ってチルト自体も遊びが少なくなり、感触もやや固くなっている印象を受けますが、逆に明確なクリック感が生まれたことで、「動作した感触が明確に伝わる」仕様になっています。
ホイール自体やホイールクリックの改善と合わせ、意図しない入力をしてしまう現象(例えばホイール押し込みをした際、左右チルトに割り当てたキーが作動してしまう)は、使用期間中に一度もないほど軽減されており、G502のヘビーユーザーとして気になっていた点が解消されたのは素直に喜ばしい点です。
ホイールの上部には各モデル共通でインジケーター(恐らくLED)があり、DPI変更時や接続時などに約5秒ほど点灯します。ワイヤレスモデルはこれに加えて、充電時などにも点灯します(充電中は一定間隔で点滅。充電完了時は永続点灯。双方とも緑色)。見方によっては、先に言及したDPIインジケーターの削除は、この部分に移動したと捉えることもできます。視認性に問題はありません。
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底面は一部ソールの形状が異なる以外は、他のソールやセンサーの位置など、基本的に共通の仕様です。底面は全長約100mmで、センサーは上側(ケーブル側)から約40mm~50mm付近に搭載されているため、完全に中央の配置にはなっていません。
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ワイヤレスモデルには動作のオンオフを切り替えるスイッチと、磁石によって取り外しできるポケットがあり、LIGHTSPEEDレシーバーを収納することができます。センサーはすでに「PRO X SUPERLIGHT」などにも搭載され、実績のある「HERO 25K」を3モデル共通で搭載。最大25600DPIを実現するロジクール G(Logitech G)の看板センサーであり、その性能は幾多のeスポーツを含めた実戦でも証明済みです。G502 Xへの最適化などは特に行われていないようですが、しっかりと性能を発揮できているか、後にチェックした結果を掲載しています。
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各モデルのソールと「G502 X」のケーブルをチェック
ソールはワイヤードモデル、ワイヤレスモデルで一部形状は異なるものの、低摩擦PTFE素材のもの(G502とは異なる素材)が計4箇所(上部、下部、左部、センサー部)に装着されています。双方のモデルで滑走感に劇的な変化はありませんが、後述する本体重量と合わせ、「G502 X」が最もコントロールしやすい印象を受けます。どのモデルもソールの角は丸められていますが、操作に影響を及ぼすほどではないものの、一部処理が甘い箇所も見受けられました。付け加えると、重量調節機能が削除されたため、底面は固定式になっています。
ワイヤードモデルとなる「G502 X」のケーブルは全長約1.75mであり、素材はファブリックではなく、ゴム系のものとなっています。これは「G502 HERO」が、日本市場で2022年3月頃から切り替わった素材に酷似しています。パッケージにはワイヤーによって束ねられる形で入っており、これがかなりコンパクトにまとめられているため、箱から出した瞬間にはケーブルに“クセ”が残ります。テンションを掛けた状態で半日ほど伸ばすと大方クセは取れますが、フラッグシップのワイヤードモデルということもあるので、操作への影響が少ない、柔らかい布製のものを採用してほしかったというのが正直な感想です。
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この点について、ロジクール・伊達氏に確認したところ、「ファブリック(布)は環境負荷が高く、その点からゴム製を採用しています」との回答を得られました。加えて個人的には、ケーブルの付け根が他社製のマウスのように上向きに装着されているタイプ(マウスパッドに干渉することを防ぐ)だとありがたかったと思います。とは言いつつ、実用には十分耐えますし、マウスバンジーを使用すれば大方の問題は解決します。
進化を果たした「LIGHTSPEED」周り
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次は「G502 X PLUS」「G502 X LIGHTSPEED」、2つのワイヤレスモデルの特徴を見ていきましょう。まず大きな改善点として挙げられるのが、「G303 SHROUD」に続き、マウス本体の充電コネクターにUSB-TypeCポートが装備されたこと。接続方式は従来のLIGHTSPEED製品と変わりはなく、レシーバーをUSBポートに挿し込み、マウス本体のスイッチをオンにするという簡単なものです。充電ケーブルがレシーバーの延長ケーブルを兼ねている点、充電しながら使用できる点も共通となります。充電ケーブルの全長は約1.8mとなっており、充電、延長という双方の仕様想定を考えても十分な長さでしょう。
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バッテリー駆動時の連続動作時間はLED非搭載の「G502 X LIGHTSPEED」で約140時間、LED搭載の「G502 X PLUS」はLEDオフで約120時間、LEDオンで約37時間(すべて公称値)となっています。2モデルとも約5分放置するとスリープモードに突入しますが、マウスを動かすだけで(クリックなどは必要なし)、スリープから復帰します。筆者の環境では復帰後は迅速に稼働しており、挙動が乱れるなどの現象は確認できませんでした。
実際に使用しての体感ですが、約140時間連続稼働の「G502 X LIGHTSPEED」は無論、LEDオフ状態の「G502 X PLUS」も1日7~8時間程度の使い方であれば、1週間以上簡単に持ってくれますが、「G502X PLUS」のLEDオン状態での動作時間の短さには気を付けたいところ。8つのLEDゾーンを搭載し、非常に滑らかな光り方をして綺麗ですが、電力消費も激しい模様です。LEDオン状態で使用する場合、プレイ中に「マウスの充電切れたわ」とならないよう、万全を期すなら3日に1回程度はフル充電をオススメします。
「G502 X PLUS」のバッテリー消費スピードは“どのようなライティング効果を選択しているか”によるようで、後述するG HUBで“現在のライティング効果を維持して使用した場合の使用想定時間”が確認できます。非常に包括的な表現になりますが、派手に光らせれば光らせるほど消費は激しくなる模様です(逆にLEDをすべてオフにした場合、約130時間ほど稼働するようです)。2モデル共にワイヤレス給電が可能な「POWERPLAY」にも対応しているので、完全なワイヤレス化を目指したい方はそちらもチェック。
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そして「G502 X PLUS」「G502 X LIGHTSPEED」に搭載される「LIGHTSPEED」は、名称こそ変わっていないものの、“LIGHTSPEED GEN2”とでも呼称すべき実質的な新型であり、従来のLIGHTSPEED搭載製品と比較して最大約68%の遅延を減少しているとのこと。「遅延が少なく、なんならワイヤードより速い」というのがウリだったLIGHTSPEEDでしたが、そのゼロに近い遅延を更に減少させたという認識で良さそうです。
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加えて無線信号の安定性を高め、他の無線信号が多い環境下でも信号同士の衝突を回避するなど、実際に体感できるかはともかく、技術的には更なる安定化が図られています。各モデルの使用中、筆者の環境ではトラブルは皆無でしたが、もちろんLIGHTSPEED周りでも問題は起きていません。Bluetoothなど、他の無線信号が多い環境を試すべく、繁忙時の某カフェチェーンなどでも試しましたが、問題なく動作しました。
制御ソフトはおなじみG HUB。
やや難解なものの、スペックを引き出すにはほぼ必須
制御ソフトはLogicool G製品おなじみの「G HUB」です。多ボタンマウスであるG502 Xのスペックをフルに引き出すには必須とも言える存在ですが、アップデートが入り、UIが更新されたとはいえ、初めて導入する方にはやや取っつきにくい印象は拭えません。なお、初回接続時にはモデルごとのチュートリアルが存在し、機能が紹介されます(スキップ可能かつ、何回でも任意で表示が可能)。
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カスタマイズ機能は“最近のLogicool Gマウス”としては至って普通で、DPI設定(100~25600DPI、50DPI単位)、ポーリングレート設定(125、250、500、1000hz)、各ボタンへのキー・マクロ割り当て、LEDのカスタマイズ(「G502 X PLUS」のみ)などが行えます。他社の制御ソフトに用意されているようなマウスパッドへのキャリブレーション機能、LOD設定、デバウンスタイムなどの項目は搭載されていません。これらは設定こそ行えませんが、実際の使用中に困ることはありませんでした。
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キーやマクロを割り当てられる箇所は以下の13箇所。
左右メインボタン(G1、G2)
ホイールクリック(G3)
サイドボタン(G4、G5)
DPIシフトボタン(G6)
左メインボタン横サイドボタン(G7、G8)
ホイール直下ボタン(G9)
ホイール左右チルト(G10、G11)
ホイールスクロール上下(Gキー表記なし)
G502と比較すると、上下のスクロールにも割り当てられるようになったのがポイントです。1箇所にGシフト(該当キーをホールドしている最中に別のキー・マクロを設定、動作できる機能。実質的には1つのプロファイルの中に、2つのプロファイルを同梱できる)を割り当てれば、すべて使いこなせるかはともかく(主に物理的な意味で)、最大で24箇所にそれぞれ別の機能を割り当てることができるということになります。
筆者はG502使用時から、非ゲームプレイ時にGシフト(G6割り当て)を使用していますが、G502 Xからは上下のスクロールにも機能を割り当てられるようになったのが地味に便利でした。参考までに、G502 Xで実際に使用している割り当てをご紹介。
<通常>
G1:プライマリクリック
G2:セカンダリクリック
G3:ミドルクリック
G4:リア(戻る)
G5:進む
G6:Gシフト
G7:コピー
G8:貼り付け
G9:切り取り
G10:左にスクロール
G11:右にスクロール
ホイール上:スクロールアップ
ホイール下:スクロールダウン
<Gシフト>
G1:プライマリクリック
G2:セカンダリクリック
G3:ミュート
G4:割り当てなし(親指でGシフトを押すため)
G5:割り当てなし(同理由)
G6:Gシフト
G7:DPIダウン
G8:DPIアップ
G9:割り当てなし
G10:前のトラック
G11:次のトラック
ホイール上:音量を上げる
ホイール下:音量を下げる
そして気になっている方も多いと思いますが、「G502で設定していたプロファイルをG502 Xにコピーする」ことは、本稿執筆時点では残念ながらできません(G502 X各モデル間でコピーすることも不可)。そのため、最初から設定を行う必要があります。プロファイルやゲーム毎に機能を割り当てていた場合、移行に伴う作業量も多くなるため、モデル間を跨ぐコピー機能を実装してほしかったというのが正直なところではあります。
さて、ここからはいよいよインプレッションに入りましょう。
G502 X各モデルのフィールをチェック
まずは搭載センサーの性能を確認すべく、「MouseTester」を用いたテストを行います。テストで使用した環境は以下の通りです。G HUB、製品ファームウェアともに記事執筆時点での最新バージョンを使用しています。なお、ワイヤレスモデルは付属のケーブルを使用し、マウスの使用に影響を及ぼさない範囲で、マウスパッド付近にレシーバーを近づけた状態での計測結果となります。
テスト環境
・OS:Windows10 64bit版
・WPS:デフォルト(6/11)
・ポインターの精度を高める(マウス加速):オフ
・制御ソフト:Logicool G HUB(バージョン:2022.10.326382)
・マウスパッド:ARTISAN ハヤテ甲 SOFT
「G502 X」
(ファームウェアバージョン:160.0.9)
ポーリングレート:1000Hz
「G502 X LIGHTSPEED」
(ファームウェアバージョン:30.0.14 / LIGHTSPEEDレシーバー:4.2.9)
ポーリングレート:1000Hz
「G502 X PLUS」
(ファームウェアバージョン:27.0.16 / LIGHTSPEEDレシーバー:4.2.9)
ポーリングレート:1000Hz
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これに加えてLOD(リフト・オフ・ディスタンス)も計測しています。計測方法は0.1mm厚のステンレスプレートを重ねていき、センサーがマウスパッドを検知しなくなる(カーソルが動かなくなる)高さを割り出すというもの。ここでは「ARTISAN ハヤテ甲 SOFT」に追加し、「Logicool G G240」「SteelSeries QcK Edge」でも実施しました。3モデルともに同一の結果が出たため、以下にまとめて記載しています。
<3モデル共通>
ARTISAN ハヤテ甲 SOFT :0.8mm
Logicool G G240 /:0.7mm
SteelSeries QcK Edge /:0.7mm
環境差があることに留意が必要ですが、計測したLODの結果は優秀といえます。先のセンサー性能と合わせ、搭載されたHERO25Kは、G502 Xでも優秀な性能を発揮しています。各モデルで『Apex Legends』『オーバーウォッチ2』『Call of Duty: Modern Warfare II』などをプレイ(1600DPI設定)しましたが、センサーが原因と思われるエイムの乱れなどは見受けられませんでした。
各モデルを入れ替えながら2週間ほど使用した感想としては、どのモデルも「順当な進化を果たしたG502」と呼べる存在ということです。各部の改良によりG502が抱えていた欠点は可能な限り解消されており、新型スイッチLIGHTFORCEの感触も良好。好みが分かれるデザイン変更はあるものの、全体的なレイアウトは変わっていないため、すでにG502を使用しているユーザーであれば(“マウスは重ければ重いほどいい”という思考の持ち主でなければ)、スムーズに移行できるでしょう。
そして注目したいのは、何といっても軽量化。どのモデルも軽量化は果たされてるとはいえ、やはり「G502 X」の軽さが頭抜けている印象です。「ワイヤードでもいいから、より軽くなったG502が欲しい」というユーザーには「G502 X」が最もオススメできる選択肢になるでしょう。“あのG502が90gを切る”という衝撃は大きく、「軽いG502」としての存在価値はもちろん、「約90g前後のマウスを好む層」へ向けての需要も期待できるものです。市場価格も10,000円前後が見込まれるとはいえ、その価値は十分にあると感じました。
ワイヤレスモデルとなる「G502 X PLUS」「G502 X LIGHTSPEED」は、違いとなるのはLEDライティング搭載の有無(それによる重量の変化)のみです。「G502 Xが欲しいけど、別に光らなくていいし、少しでも軽いほうがいい。けどワイヤレスは必須」という場合、大きな差こそないものの、「G502 X LIGHTSPEED」に軍配が上がります。フラッグシップモデルの「G502 X PLUS」は「マウスは絶対に光ってほしい」「G502 Xの中で最も重いモデルが欲しい」というニーズに応えられていると思います。
伊達氏曰く、「市場からも“別にゲーミングマウスって光らなくてもいいよね”という声が上がるようになり、今回のラインナップを用意させていただいた」とのことなので、G502 XのベースラインはLEDなしモデルという見方もできそうです。ただ、それでも「G502 X PLUS」の光り方は非常にキレイで、所有欲を満たしてくれます。
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これらを踏まえた上で、筆者の個人的な一押しモデルを挙げるなら、やはり公称値89gの「G502 X」。0.5gでも軽さを追求するため、カラーはブラックを強く推奨します。この89gという数値は「G403 HERO」(公称値87.3g、ワイヤードのIE3.0クローン)に匹敵し、筆者の手元にある個体の実測値、85gでいえば完全に下回るもの。ワイヤードという煩わしさはありますが、「G502 X PLUS」「G502 X LIGHTSPEED」のワイヤレスという特権に対しても、それを補って余りある重量差だと感じます。
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筆者は普段から主にシューターゲームをプレイしており、テスト中にも散々プレイしましたが、最もエイムが安定したのは「G502 X」。ゲームプレイの録画を見返しても、トラッキングエイムはもちろん、フリックエイムの精度が最も安定しています。シューターゲーム以外ではワイヤレスモデルでもいいかなと思いきや、これほどの重量差があると、疲労の蓄積具合も大きく変わってきます。どの程度マウスを動かしているかの個人差(感度やゲーム性も含む)もあるため断言はできませんが、G502はシューターに限らず、MOBAやMMOなどでもユーザーが多いと思われるので、“長時間プレイ時の疲労軽減”という点で買い替えを検討してもよいかもしれません。
かくいう筆者もワイヤレスの快適さは十分味わった人間であり、可能であればワイヤレスモデルを望むところですが、それでも今回は、その重量差に様々な部分でアドバンテージがあります。89gのワイヤレスモデルが出てくれれば、25,000円でもウイスキーを置き去りにして飛びつく未来が見えますが、それはまだ先のことになるでしょう。未来の「G502 XX」(仮)しかり、「G502 X LIGHTSPEED SUPERLIGHT」(仮)に期待です。
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「過去に一度は買ったことがある」方も多いと思われるゲーミングマウス・G502。それと同時に「サイズが合わなかった」「重量がキツかった」という理由で乗り換えた方も、また多いでしょう。サイズ面の問題は残念ながら諦めるしかありませんが、重量という点では確実な進歩を見せており、とくに「G502 X」は飛躍的な軽量化を実現しています。
すでにG502を使用しているユーザーはもちろん、過去に使用していたユーザー、他社の他ボタンマウスを使っているユーザー、これからPCゲーミングを始める層も含め、確実かつ、強力に新たなマウス候補として存在感を放つG502 X。“多ボタンマウスならではの体験”を、G502 Xは更に高めてくれています。
ただし「G502 X」はともかく、ワイヤレスとなる「G502 X PLUS」「G502 X LIGHTSPEED」の20,000円前後という価格は「いくらなんでも、ちょっと高いよね」と言わざるを得ません。とはいえ、いずれのモデルも「G502の“ほぼ”完全上位互換」であることは疑いのない事実であり、同時に「うお、ボタンいっぱいついてる!すごい!」と幼児退行した時のあの感動を、「うお、ボタンいっぱいついてる!すごい!しかも軽い!すごい!」に上書きしてくれる存在です。
シンプルな超軽量マウスが全盛の昨今、いくら古臭さを感じるとはいえ、すでに売れているモデルをそのまま売るという選択肢もあったはずなのに、G502のアップデートを見捨てなかったロジクール。そして価格の差もあるとはいえ、「重量などを筆頭に、G502を好むユーザーもいるから」という理由で、既製品も継続して販売を行うという判断は市場のユーザーとニーズをしっかり見ている証でもあります。いずれにせよ、気になった方は、ぜひ実際に手に取っていただきたいところです。
※UPDATE(2022/11/13 19:55):記事内容を一部修正しました。コメント欄でのご指摘ありがとうございました。