
格闘ゲーマーの間で、一種の伝説として語り継がれている名言「小足見てから昇竜余裕でした」。ここから「見てから余裕」構文が無数に派生することになり、今に至っていますが、はたしてこの言葉には如何ほどの真実が含まれているのでしょうか…。
◆ソクラテス的格闘ゲーマー論
11月14日、格闘ゲーム界隈で活躍する動画投稿者のささきさんが、「見てから余裕」構文の真実に切り込みました。
ささきさんは『スーパーストリートファイターIV』や『ストリートファイターV』などの大型大会で優秀な成績を収めてきた有名プレイヤー。格闘ゲーマーの心理を深く理解していることは間違いないでしょう。
そんな彼がTwitter上で、「ぜんぜんわからない。俺達は雰囲気で格ゲーをやっている。」というコメントと共に、格闘ゲーマーのとある習性をネタにした動画を投稿。彼らが口癖のように発する「わかったもう」「(ボタンを)押したって」「見てから余裕」といった言葉について、自虐も込めて「虚偽の申告」と解説していました。
要するに対戦相手のプレイにパーフェクトに対応できることをアピールするため、格闘ゲーマーたちは“口癖”を発するのですが、ささきさんはソクラテスのようにその真相を看破。たとえば「見てから余裕」は、実際には「何も見てない」とのことです。
ささきさんの動画を見た格闘ゲーマーからは、「これがリアル」「見てから余裕は100%見てない」と共感を示す声が多数上がっていました。
◆「見てから余裕」のウソとホント
そもそも「見てから余裕」とはどんな意味なのか。それを理解するには、元ネタとなった「小足見てから昇竜余裕でした」を振り返ればよいでしょう。
この名言は、一種の都市伝説。格闘ゲーム界で“神様”と崇められているウメハラ選手の発言だと思われがちですが、実際に言ったことはないようです。
ウメハラ選手ほどの実力があれば、相手キャラが弱キックを繰り出したモーションを見てから、「昇龍拳」を被せて当てられるのではないか…ということで、伝説が広まりました。

しかし格闘ゲームに詳しい人なら分かるでしょうが、これは人間の領分を超えた離れ業であり、やはり現実では難しいようです。都市伝説のモデルとなったウメハラ選手自身、「小足見てから昇龍は本当に余裕なのか?」という質問に対して、「無理に決まってんじゃん」とあっさり否定していました。
「わかったもう」はわかっていないし、「押したって」は押していないし、「見てから余裕」は何も見ていない…。虚偽の申告だと自覚しつつ、それでも言いたくなる格闘ゲーマーの口癖シリーズ。
そこには人間の深い“業”が潜んでいるのかもしれません──。