被害者は学生だけではない……フリーランスにも毒牙
E(元ゲーム業界人):被害に遭うのは学生さんだけではなくフリーランスのクリエイターの方も多いようです。最近だとゲーム開発も企業だけでなく個人に委託するケースも増えており、優秀な若い女性クリエイターがターゲットになりやすい状況です。
手口は学生さんと同じような感じで、自分は大手企業や巨大プロジェクトとコネクションがあるから、自分と肉体関係をもっていたら仕事の斡旋ができる、人の紹介ができる……というように言葉巧み騙していくのだそうです。
C(大手スマホゲーム社員):ゲーム開発は基本的に実力が見られるので、そういうのはあまり通用しないと思うのですが……。
E(元ゲーム業界人):フリーの方は、企業が守ってくれるわけではないので、泣き寝入りするしかないようです。
わざわざ肉体関係まで結んだのに、仕事の斡旋も人脈の紹介もなく、飲み会やイベントに呼ばれてコンパニオンのような扱いを受けただけだった、自分の趣味の案件を仕事として発注されただけだった……とかそういう話も聞きます。
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C(大手スマホゲーム社員):ひどい話だとノーギャラで仕事をさせられるという話も聞きますが、バックに企業がいないと泣き寝入りするしかないんでしょうね。
E(元ゲーム業界人):確かに企業側にも監視の目がありますし、あまりに酷い取引などがあれば注意喚起できますからね。
C(大手スマホゲーム社員):とあるパブリッシャーでプロデューサーをしていた人物が、そのようにデベロッパーの子に肉体関係を迫ったとかで、デベロッパー側からクレームが入ったという話を聞きます。
A(美術大学教員):プロデューサーレイヤーでもそういうことをするというのは結構衝撃ですね。加害者側についてですが、必ずしもそのような誘いや行動を行うのが企業に属している人間とは限りません。同人ゲームサークル的なものや、企業に属さないフリーな関係同士でゲーム開発にあたったとしても、昔からこのような問題が少なからずあると聞きます。
主催者が、参加する学生にリアルで会って肉体関係を求めるというのはよくある話で、そもそもゲームを完成させたいというより出会い目的でやっているケースも多いようです。大学や専門学校では、学生間以外での同人ゲームサークル参加を禁止しているケースもあります。
ただ、ネットでのコミュニケーションの一般化やコロナ禍でのリモートワーク推進などの時勢も影響して、企業に属している人間にもこうした問題を引き起こす例が散見されるようになってきたと思います。
G(大手コンソールゲーム社員):現場のクリエイターは仕事に忙殺されていてそんな暇はないと思いますが。どちらかといえばマネージャーレイヤーなどの上位層の人間がそういうことを率先してやっている傾向があると思います。
E(元ゲーム業界人):昔からTGSなどのイベントでコスプレイヤーやコンパニオンをゲームのプロデューサーがナンパするなんて話はよく聞きましたが……。
G(大手コンソールゲーム社員):彼女達はプロフェッショナルなので、かわし方がうまいんでしょうね。
D(専門学校講師):だいたいが事務所からの派遣や企業に所属している方ですからね。
E(元ゲーム業界人):そう考えると学生さんやフリーのクリエイターはバックがなければ、そういう経験もないので泣き寝入りしてしまうケースが多いのかもしれません。
ひと昔前には愛人契約をしてチームを崩壊させるような人物も……
――少し話は変わりますが、ひと昔前には愛人雇用なんて話もありました。
E(元ゲーム業界人):某プロデューサーが、自分の愛人のホステスだか、キャバ嬢を秘書にして慰安旅行なんかに会社の経費でよく行ってたなんて話は有名ですが……。
F(大手スマホゲーム社員):他でも似たような話聞いたことありますよ。
G(大手コンソールゲーム社員):昔はとあるパブリッシャーの一部門責任者が好き放題やってたなんて話も有名ですよね。
――もちろん業績不振もあったのでしょうが、その部署は解体されたそうです。トップの人間が好き放題やった結果だと思っています。解体時のリストラはかなり厳しかったようですが、こともあろうに好き放題やった本人主導でリストラが推し進められたと聞きます。当の本人は何の責任も咎められず、現場の人間は退職に追い込まれていく……こちらも闇が深い話ではあります。
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B(ゲーム会社人事):そういう人物が人事をやり、リストラも主導しているのは、厳しいですね。
E(元ゲーム業界人):Bさん、就活生へのパパ活に関してですが、人事の人もそういうことをやっているという話を聞きますよ。Bさんもそういう話は耳に入っているんじゃないですか?むしろ、頑張って働いている現場の人間が一番被害をうけていると思います。そういう人たちは忙しいから、そんなことをしている余裕はないだろうし、プライドもあるから、やらない。
C(大手スマホゲーム社員):それじゃあもう本当に業界のごく一部だけの問題じゃないってことですよね。
D(専門学校講師):業界全体で考えていかなければならない問題だと思います。
――今回はみなさん匿名でという条件での座談会になりましたが、この記事を契機にこうした問題を由々しき事態だと考える業界関係者がもっと問題提起や警鐘を鳴らしてくれるようになってくれることを望みます。ゲーム業界で就活をダシに行われている活動が、メディアを通じて表に出ることによって、抑止力として業界が少しでも健全になって欲しいと思います。
今回の参加者は関西のメンバーがほとんどでしたが、関東の状況も知りたい、また同じような被害に遭う仲間と情報を共有し、個人や特定の企業を攻撃するような下世話な形ではなく、業界関係者に自省を促したいという要望もありました。
第2回以降の展開も検討しておりますので、ぜひ情報を提供したい、体験談を話したいという方がいれば匿名でも構いませんので、編集部宛にメッセージをいただければ幸いです。編集部で得た個人情報やその他の情報については、一切口外することはありませんので、ご安心ください。
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