Prime Mater/Brass Token Studio開発のアクションアドベンチャー『The Chant（ザ・チャント）』日本語版が、PLAIONから2023年3月30日に発売されます。
PC（Steam）/PS5/Xbox Series X|S向けにリリースされる本作は、人里離れた“グローリー島”に居を構えるカルト教団「プリズムの科学」の儀式から物語が始まる、三人称サイケデリックホラー作品です。プレイヤーは儀式の失敗を機に来襲した人々に寄生する怪物と対峙し、未知の次元である「闇」の封印を目指して、過去と現在にまたがるカルトの謎を探ります。
本稿では待望の日本語版が登場する『The Chant』の発売前プレイレポートをお届け。なお、スクリーンショットはPS5版を使用しています。
過去に囚われた主人公は癒しを求め島へ
本作のストーリーは、どこかの場所で儀式が行われているプロローグ後に、主人公・ジェシカ（ジェス）が友人のキムを頼ってグローリー島で行われているスピリチュアル・リトリートに参加するシーンから始まります。
リトリートは、主催者のタイラーと数人の参加者で形成されているコミュニティで、友人のキムをはじめとした全員が心に何らかの傷や過去を背負っている様子。ジェスも妹を失った過去に苦しんでいて、それを払拭したいために、今回休暇を取ってリトリートへと参加したようです。
メンバーとの会話を終え、その夜に歓迎のお茶会と儀式が行なわれることに。リトリートでは、特別な“プリズム”を身に付けることで負のエネルギーに立ち向かうことを目的としているようですが、その儀式中に「恐るべきもの」が出現してキムがパニックを起こし島の奥へと逃げてしまいます。
ジェスや他のメンバーはキムを探しに出るのですが、そこで出会ったのは信じられないような異形の怪物たち。やがてメンバーの“闇”や、島に隠された謎と対峙していく、恐るべき夜が幕を開けていくのです……。
“闇”に精神を蝕まれることなかれ！
本作の主人公・ジェスには、精神・身体・魂の3つのステータスが用意されています。特に重要なのが「精神」。心に悩みを抱えているジェスは、この数値が一定以下になるとパニックを引き起こしてしまいます。精神は暗闇状態や敵の精神攻撃など、さまざまな場面で削れていくので注意が必要です。
「魂」はゲーム進行で得られるプリズム能力や、精神を回復するための瞑想のために使用できるもの。「身体」は敵との戦いで0になればゲームオーバーになるもので、いずれも島での冒険のために密接に関わっているものです。
この3つのステータスが自然回復することは基本的にないため、島で拾える植物を使用して回復しなければなりません。また、戦闘や探索で経験値を得ることでアップグレード画面からステータスアップや行動ボーナス、アイテム所有上限アップすることも可能です。
ゲーム内では次々と恐ろしい怪物が現れたり、心の闇から生じる恐ろしい出来事に飲まれたりと、精神の消費が激しい展開が続くので要注意です。
アイテムをクラフトして怪物に立ち向かえ！
島では動物の骨をかぶった怪物や花のような怪物、巨大なカエルのような怪物など、さまざまな敵キャラクターが登場してジェスに襲いかかってきます。幸いジェスは魔除け効果のある「セージスティック」の作り方をストーリー冒頭で教わっているので、敢然と立ち向かえるのです。
ゲーム内で使用できる武器にはいくつかの属性があり、怪物はそれぞれ異なる弱点属性を持っています。また、戦闘では敵の強力な攻撃をキャンセルできる「塩」などのサブ装備や、魂を消費して強力な効果を発揮するプリズム能力も使用可能。そのほか回避行動や相手を押しのけるアクションもあり、テクニカルな戦闘を体験できます。
ただし、いずれの武器も耐久力が設定されているため、戦っているうちに簡単に壊れてしまいます。武器を作るためには植物が必要となるので、ときには敵から逃げて準備を整えることも必要です。島内では敵の生態や弱点を記したログも見つけられるので、「いかに知識を得て、消費を抑えて戦うか」という点も本作の重要なポイントです。
ジェスはあくまで普通の女性なので、戦闘中は不格好に殴りかかったり、倒れ込むように敵の攻撃を回避したりと、個性的なアクションを見せてくれます。もちろんアクションでの操作感は悪くなく、慣れてくると次々と怪物を倒すような華麗な戦い方も可能ですよ。
島内を探索して“闇”の謎を解け
本作でプレイヤーは、メインストーリーを追いながらさまざまなエリアを探索していくことになります。島内にはリトリートの生活拠点だけでなく、鉱山や灯台などのエリアも。多くの場所は序盤は施錠されていたりかんぬきで扉が閉じられていたりと、行動が制限されています。
探索場面は扉の鍵を見つけたり、アイテムを組み合わせたりしながら道を見つけて行く比較的オーソドックスな探索アドベンチャーです。基本的には目的のエリアをしっかり探索すればそこまで迷うことはないですが、本作ならではの“闇”を突破しなければならない場面も多数用意されています。
さらに探索中に気をつけなければならないのが、常にジェスを追い続ける“過去”という存在。この“過去”に追いつかれると大幅に精神を削られてしまうので、探索しながらも常に意識しなければなりません。一部の建物やエリアに入れない制限もあるので、上手に利用しましょう。
探索することでクラフト素材や回復アイテム、経験値になる「記録」なども多く見つかります。特に「記録」は登場人物の内面やリトリートの秘密などが記されていて、ゲームの物語の根幹を示すこともあります。また、ときどき手に入る「フィルムリール」の映像も必見です。
ストーリーが進めば移動が便利になったり、新しいプリズムを入手したりと、どんどん行動範囲は広がっていきます。本作のマップデザインやアイテム配置はかなり丁寧で、探索そのものが楽しめるようになっているように感じました。
ここまで紹介してきた『The Chant』日本語版。主人公をはじめとした心に秘密を持つ人々、スピリチュアルな世界観、そしてその島に隠された“闇”に立ち向かう探索とアクション、それぞれのバランスが良く、上質なホラーアクションゲームとして完成しています。
日本語の翻訳もとても丁寧で、システムやストーリーはもちろん、ゲーム内の各種ログもしっかりと翻訳されています。日本語吹き替え音声も、映画のような雰囲気のある本作でも違和感がなく、ホラーらしい臨場感がたっぷりに遊べると思います。
怪物との戦いや探索を積極的に行うか、もしくはパニックに陥って逃げ出すか。ジェスが“闇”に立ち向かうために、どの能力を強化していくのか。島での謎解きは、プレイスタイルによってその結末も変化していきます。ただ、慣れないうちはかなりアイテムが不足するので自分に合わせた難易度を選ぶのをオススメしておきます。
ついに日本でも遊べるようになった『The Chant』。ぜひともこの恐るべき島での冒険を楽しみましょう！
スパくんのひとこと
「雰囲気抜群のホラーアクションを楽しんでほしいスパ！」
タイトル：The Chant
対応機種：PC（Steam）/PS5/Xbox Series X|S
記事におけるプレイ機種：PS5
発売日：2023年3月30日
著者プレイ時間：10時間
価格：5,478円（税込）
※製品情報は記事執筆時点のもの
￥4,482
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)
