ジェフ・キーリー(Geoff Keighley)氏が主催のゲームショーケースイベント「Summer Game Fest」。国内外の大手およびインディーパブリッシャーなど、様々な企業が参加する本イベントは、E3が今年も中止という状況において、ゲーマーにとっても非常にありがたい存在です。
今回筆者は、Thunderful Publishingがパブリッシャーを、Sad Owl Studiosが開発を手掛けるトリックアートパズル『Viewfinder』を会場ブースにて体験させて頂きました。プレイ時間は10分で、録画などはNGなので、画像はSteamストアからの引用、情報としてはかなり駆け足になってしまうことをお許しください。一緒に座って解説してくださったのはMatt Stark氏です。
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本作は錯視などを利用した一人称アドベンチャーゲーム。インスタントカメラの写真を空間に合わせて設置すると、実際にその景色がそっくり現れる謎の「実体化」現象を利用して、謎解きギミック有りの摩訶不思議な各ステージを探索していきます。
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アドベンチャーとはありますが、実際プレイした限りだと、パズル要素の印象が強い本作。かといって、解法をガチガチに固められた狭い幅……という感じはあまりなく、良い意味で、ある程度不正確でも正解を許してくれる自由度があるプレイフィールでした。
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ゲーム内においてプレイヤーは、各ステージのパズルをクリアして先へ進むわけですが、そのステージ自体が何かしら物語性(?)を持っており、ティーセットなどのちょっとした小物にも「一体何があったのだろう……」と思わせるような気になるポイントがあるのが個人的に好きな部分。
そして肝心のパズル要素、これがまた本当に面白い。ステージ内では道が途切れたり、行き止まりだったりで「先へ進めない場所」が出てきます。そこでまずはステージ内のどこかに隠されたインスタントカメラの写真を探し出すのですが、導線が巧みで「あれ、こっちにはないぞ?じゃああっちかな」と自然に視点が動いた先に「あった!」と発見できるのが楽しい。
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その次に、その写真を目の高さに掲げ持ち、その「先へ進めない場所」と写真を重ね合わせてボタンを押します。すると、写真内部がそのまま目の前の空間に「実体化」することで固定され、例えばそれが何処か別の部屋が写ったものであれば、中に足を踏み入れて先へ進むことができるようになるのです。それまで存在していた「先へ進めない場所」が視覚的にも上書きされて道が拓かれるこの快感は、他のゲームではなかなか見ないと思われます。
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序盤は欠けた空間に写真を充てて道を繋いでいく感じでしたが、それが次第に写真の中にある空間で別の写真を使用してさらに道をひらく、装置を起動するためにバッテリーを回収する、といった具合にパズルが少しずつ複雑化していきます。この時にちょっとした「脳のおしぼり」な感覚を味わうことができるのもまた楽しい。
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ちなみに記事最初の方で少し触れた自由度についてですが、解法を探るにあたり、もちろん手持ちの写真を当該エリアにきっちりかっちりパースを合わせて固定するだけでなく、あえて地面方向に設置して落下するのも良かったり。もちろんわざわざそんな面倒なことをしなくてもいいのですが、それでも一応ステージをクリアできるのが本作の良いところだと思います。なお筆者がそういう謎ムーブをかました時吹き出してから、「その手があったか……」と顎に手を当て唸るMatt Stark氏にプロの開発者魂も感じました……!
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ともあれこの手のパズルであれば、傑作『Portal』があると思いますが、本作はそれとはまた違うプレイフィールで非常に楽しく遊ばせてもらいました。そんな本作はWindows PC(Steam)/PS5向けに米国現地時間で2023年7月18日にリリース予定。なお記事執筆時点において、どちらのプラットフォームでもデモ版が配信されています。