
京セラが凄いVRワールドを制作しました。無料のVRなのに、TVの「DASH海岸」に入り込んだかのような水中体験ができるのです。
しかし、タイトルは「京セラレーザーコンセプト製品バーチャル展示ブース」。え? これが「展示ブース」って、どういうことですか。しかも、B2B(企業と企業のビジネス)向けって、いったい…。
◆なぜか海藻へのこだわりが凄い
以下、京セラの意図はまったく無視して、まず海の話をします。
筆者は日本テレビの「ザ!鉄腕!DASH!!」が大好きで、毎週見ている数少ない番組のひとつです。超インドアIT漬け人間なので、その反動か、自分とは縁遠い農業や漁業関連のバラエティ企画を楽しみにしています。中でも東京湾の自然を再生したり、密かに残された自然の美しさを伝える「DASH海岸」の貴重な水中映像が楽しみ。
で、今回のVR企画で一番感動したのが、水中のVR体験でした。水中サバイバルゲームの『サブノーティカ』も、本当に息苦しく感じるような水泳体験ができますが、水中の描写は幻想的で美しくはあっても、CG感も強い。まあ、そもそも地球の海じゃないというのもありますが、実際の海に近いリアリティを出すのが難しいから異星の海なのかな?と思いました。
今回は「レーザーコンセプト製品バーチャル展示ブース」なので、水中体験なんて予想もしていなかったのですが、架空の島にある謎の研究所めいた施設(パビリオン)で、京セラのレーザー製品や未来のレーザー技術を見て学ぶモノでした。サイエンス系の話題が好きな人には十分楽しめる内容ですが、とはいえ普通の博物館的な展示です。


後半は洞窟の中から船で出発して、海中にあるシアター施設でレーザー製品と技術のプレゼンテーションを見るのですが、その海中シアターに行く途中の海中の景色がけっこうリアルで興奮しました。

制作者によると「3DやVRによる水中や海中は、海藻の表現がおざなりなものばかりなので、今回、海藻の“気持ち悪さ”にこだわりました」というだけあって、単なる緑のヒラヒラではなく、胞子葉(メカブ)っぽい先端ウニョウニョ感が表現されていて、従来とは一線を画していました。残念ながら参加者の反応は「気持ち悪い」ではなく「美味しそう」でしたが。


かと思うと、サバらしき魚が凄いスピードで泳ぎ去ったり、イワシらしき小魚の大群が渦を巻いていたり。東京湾ではなく、相模湾の海中を参考に模したとそうですが、DASH海岸っぽい海中感を堪能できました。しかも、実は船に乗る必要はなく、自分の足で海中を探索することもできるのです。ダイビング機器が不要というのもVRの良いところ。
そして、これだけ造形やテクスチャにこだわっているにも関わらず、PC版だけでなく、Meta Quest2単体でも楽しめることもこのVRChatワールドの凄い点です。ゲーミングPCに比べるとGPUパワーが弱く、豪華・複雑なワールドは楽しめないとされているMeta Quest2ですが、ワールド制作者の技量があれば、対応可能だということなんですね。

◆海中でもメタバースできる時代が来る?
肝心の京セラのレーザー製品や技術もなかなか興味深いものでした。
BMWのヘッドライトに採用されたという半導体レーザーは600m先まで照らすことができるそうです。「そんな先まで必要?」とVRに集まった取材陣から半笑いが漏れかけましたが、速度制限がないことで有名なドイツの高速道路アウトバーンは街灯がないために有用とのことで、「なるほど」となりました。
また、未来に向けた技術として、レーザーを使った光無線通信技術「Li-Fi」(Light Fidelity)にも興味が集まりました。青色波長のGaNレーザーを使うことで、5Gや6Gを超える通信速度を実現できるそうです。さらに青色レーザーは海中でも使えることから、「将来は潜水艦の中でもVRChatが楽しめるかもしれない」という話に広がりました。
今回のVR内海中シーンでも、Li-Fiで通信しながら活動する水中ドローンが遊泳しているのを眺めることができます。


京セラがVRChatを使ってレーザー製品の展示を行うのは、これが2回目。今回のコンセプトは、省電力な半導体レーザーによって、安全な暮らしと自然環境保護を促進することをバーチャル空間で表現したかったとのことです。


■京セラレーザーコンセプト製品展示ブース(VR メタバース展示)
期間:2023年6月29日(木)~7月2日(日) 20:00~23:00フロアツアー:ガイド付きツアーを 1 日 3 回(20:00、21:00、22:00)開催予定
プラットフォーム:VRChat
ワールド名: Kyocera Laser World
参加方法:VRChat ID : kyocera1 に Join
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