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麻薬ディーラーの成り上がりを体験できるゲーム『Drug Dealer Simulator』(以下DDS)の続編が、ついに登場しました。
とはいっても、今回の『Drug Dealer Simulator 2』は現在の時点では無料デモ版のみの配信に留まっています。正式リリースは2024第1四半期を予定しているとのことで、いずれにせよ正式配信までまだ時間がかかりそうです。
それでも待ち望まれていた新作のデモ版配信。Game*Sparkで最も麻薬に精通しているライターの澤田真一が、早速ながら『DDS2』をプレイしていきたいと思います。
薬物販売で一獲千金!
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この記事を執筆している2023年12月の時点で、日本は医療用大麻の合法化に踏み切ろうとしています。一方で娯楽用大麻(THC成分が含まれたもの)については引き続き違法とする方針で、所持が発覚すれば刑罰は免れません。
『DDS2』の舞台イスラ・ソンブラでも、大麻は違法薬物に指定されています。しかしそれ故に、この島では地下で大麻が取引されています。主人公は麻薬密売人として大麻を含む様々な薬物を販売し、一獲千金を目指します。
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ゲームプレイ開始早々、主人公がねぐらにしている家ではボヤ騒ぎが。どうやら相棒がクスリの合成に失敗したらしく、キッチンが燃えています。それを消火器で鎮火させると、何事もなかったかのように仕事の時間へ。
何でも、この家で栽培している大麻を乾燥させてパケ詰めしろとのこと。前作『DDS』は、最初のうちは仲買人から商品を取り寄せて転売するという展開でした。レベルを上げることでようやく大麻の自家栽培を実施できましたが、『DDS2』では最初から大麻栽培ができる模様。乾燥機も設置されてるぞ!
大麻が堂々と販売されている国
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大麻は設備さえあれば、自宅で栽培できます。実は筆者は、この前タイを10日ほど旅行してきたばかり。首都バンコクのカオサン通りには、大麻を売るショップが文字通り乱立していました。ゲストハウス、バー、露店……さまざまなところで、国産品種の大麻のジョイントは1本100バーツ(約410円)という価格で販売されています(筆者が実際に購入したという意味ではありません!)。
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大麻はタイ北部の山岳地帯や東北部の痩せた土地、そして室内でも水耕栽培で生産できるため、タイは「グリーンラッシュ」に湧いています。
しかしタイ政府が“娯楽用大麻の合法化に踏み切った”というわけではなく、これは市民による法律の拡大解釈もしくは法律を無視した結果の産物です。現首相のセター・タウィーシン氏は「娯楽用大麻を今後厳しく規制する」と米メディアの取材に答えています。
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なお、この記事にある写真は筆者がタイの現地で直に撮影したもの。ただし、いずれも大麻ショップの協力を得て商品を出してもらったという経緯で、筆者が大麻を買ったわけではありません!
ゲームとしてはまだまだ未完成な部分も……
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さて、『DDS2』デモ版のクオリティーですが、正直まだまだ荒削りというか「細かいところまで手が及んでいない」というのが現状です。
画面左側のチュートリアルのポップアップはCapsLockキーを押せば引っ込むらしいのですが、どんなに押しても無反応……。従って、かなり早い段階で画面が見づらくなってしまいます。一度ゲームをセーブしてからロードすることでポップアップを消すことができますが、どのみち操作の快適さに疑問符が生じます。
そもそもチュートリアル自体がきめ細かい説明と言えるものではなく、「消火器を起動させるにはどうするのか」「乾燥した大麻はどこに収納され、パケ詰めはどうするのか」「手元スペースと収納場所の違いは何か、どう使い分けるのか」というシナリオ進行に必要なアクションを先に説明してくれません。
特に今作は「ストレージの種類」という概念があるのですが(前作はあらゆるブツでストレージがキツキツになりがちでした)、その解説をもっと具体的にやってくれないとパケ詰めだけで難儀してしまいます。
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台詞の文字が小さ過ぎる点も気になる上、ハマると一切の動作ができなくなる(スタックする)場所も見つけてしまいました。自宅の玄関ドアに挟まれ、それを閉じることもできずにいつまでも立ち往生という事態も……。
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現時点でのゲームとしての完成度は、未成熟という状況です。もっとも、此度のデモ版はプレイテストに近い意味合いを帯びていますから、操作時の不具合はあって当然。また、今作では通貨が米ドルと現地通貨の2種類が用意され、ゲーム開始時にキャラエディットも可能です。さらにマルチプレイ対応という点も披露されています。
リゾート地と大麻
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今作『DDS2』の舞台イスラ・ソンブラは、熱帯地方にある島嶼部です。
大麻は「熱帯のリゾート地で嗜むもの」という固定観念を持たれていて、そのためかタイのビーチリゾート都市パタヤへ行っても数十メートル歩くごとに大麻ショップがあります。店からボブ・マーリーの曲が流れてくることもしばしば。ビーチチェアに身を委ねながらジョイントを吸う白人観光客もよく見かけます。
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そんな彼らがパタヤにいる時と同じ感覚で、インドネシアのバリ島に移動する……ということもよくあります。荷物の中には少量の大麻。しかし、インドネシアでは大麻は違法です。量によっては終身刑が下されることも。そのような経緯で塀の向こうに入れられる旅行者が相次いでいます。
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熱帯のリゾート地と大麻。その享楽的な雰囲気に背中を押されてついついジョイントに手を出してしまう旅行者も見受けられますが、それは危険と隣り合わせの行為でもあります。
そんなドラッグビジネスの闇を再現している『Drug Dealer Simulator』シリーズは、ブラックなテーマではありますがウィッシュリストに入れる価値は十分にある作品です。