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1977年に第一作目の映画が公開されて以来、エンターテインメントIPとして常に一線に立ち続ける人気シリーズ「スター・ウォーズ」。映画以外のメディア展開も精力的に行われており、それはゲームという媒体においても例外ではありません。
「スター・ウォーズ」ゲーム作品は原作付きゲームとしてはトップクラスと言っていいくらいの数が発売されており、今後も『STAR WARS: Eclipse』『STAR WARS: Outlaws』『STAR WARS: Knights of the Old Republic Remake』など様々なメーカーからゲーム作品の発売が予定されています。
これだけの数ゲーム作品があるということは、「スター・ウォーズ」をある程度知っておけば楽しめるゲームの幅が増えるのは間違いないハズ。そこで本記事では映画シリーズを観たくらいの知識量しかないライトユーザーの筆者の視点から、「スターウォーズ」ゲーム作品をプレイ。映画を履修したからこそ感じる面白さをプレイレポート形式でお届けします。
『スター・ウォーズ ダークフォース』とは?
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本記事で取り扱うのは、1995年にMacintoshで発売され、1996年に海外PlayStation、1997年に日本のPS向けにも発売された『スター・ウォーズ ダークフォース』です。開発はジョージ・ルーカス率いるルーカスアーツが直々に行っており、日本語PS版の発売は『テトリス』『ザ・ブラックオニキス』で有名なBPSが行っていました。
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主人公はゲームオリジナルキャラであるカイル・カターン。彼は元帝国軍の将校でしたが、ルーク・スカイウォーカーたちが所属する反乱同盟軍に亡命し、ダースベイダーに立ち向かうためさまざまな星で暗躍します。
『DOOM II』の翌年ながら、進化を感じられる内容
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作品の内容としては1993年にリリースされた傑作『DOOM』のフォロワーといえる2.5D FPSです。入り組んだマップを探索して敵を倒しながら目標の達成を目指します。リロードは存在せず、ある程度正面に捉えていれば自動で弾が飛んでいくため、精密な射撃は要求されず立ち回りのほうが重要というバランスをしています。
プレイしてみると、やはり「スター・ウォーズ」仕様のシューターになっているのがテンションが上がるところ。敵がストーム・トルーパーだったり、撃つ武器がレーザーやエナジー弾だったりと、『DOOM』とは違ったテイストが楽しめます。一方で敵の種類や対処法自体はあまり多くなく、使う武器が固定化されがちという問題もあります。
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『DOOM』ライクなアクションFPSとしてもかなり進んだ作品です。本作ではマップの高低差がさまざまな場面で用意されており、上下のエイムやジャンプを使うアクションなどがあり、如実に進化を感じさせます。場面によっては、落ちたら奈落に真っ逆さまというかなりヒヤヒヤさせられるところも……。これが『DOOM II』の翌年、『Quake』の1年前という事実に驚かされます。
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「スター・ウォーズ」はロケーションや種族の多様性がひとつの大きな魅力ですが、本作でもそのツボをしっかりと押さえています。敵自体はほとんどが帝国軍ですが、ステージごとに雰囲気や建物の雰囲気がまったく見た目が異なる星を探索できます。
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ミッションもただゴールを目指すというものではなく、探索して重要アイテム・人物を見つける、敵を倒して帰還するなどミッションによってクリア条件が定められています。毎回開始前にミッションの背景を説明するブリーフィングが挿入されるため、次はどんなステージなんだろう?とワクワクできます。
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当時のFPSとしてはかなり先進的な作品ですが、昔のゲームらしくやや面倒くさいところがあるのは難点。押したボタンがどの仕掛けに繋がっているのかがぱっと分かりづらかったり、一部似た構造のエリアが続いて困惑したりと、マップが迷いやすい設計になっています。PS版は特殊な操作形態も相まって迷えば迷うほどフラストレーションが溜まります。
デス・スターの設計図を盗め!本編にガッツリ絡むストーリー
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物語は本作オリジナル。おなじみダース・ベイダーと、帝国軍の新たな兵器として「ダーク・トルーパー」というバトルドロイドを作り上げたロム・モーク将軍を中心としたストーリーカットシーンも挿入されます。
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最初のミッションはなんとエピソードIVの直前に位置しており、反乱軍のためにデス・スターの設計図を盗むというミッションを任されます。いきなりルーク・スカイウォーカーや反乱同盟軍の運命を左右するような重要ストーリーが展開されるのはあまりにもアツい……!
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……「スター・ウォーズ」作品を多く見ているファンであれば、「あれ、おかしくね?」思ったことでしょう。それもそのはず、本作はディズニーの買収以降レジェンズ作品(非正史)扱いとなっており、カノン(正史)とは大きく矛盾するようになってしまったのです。
一方、一部要素が「ローグ・ワン」を始めとしたカノン(正史)に組み込まれるなど、ルーカスアーツ謹製ということもあってか「スター・ウォーズ」の歴史を見ると重要な1作となっています。
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ミッション2以降は、エピソードIVとVの合間の出来事を描くストーリーに。「ダーク・トルーパー」は本作初登場ながら後の作品などにも登場したり、反乱同盟軍スパイの「クリックス・メイディン」が捕らえられてしまったり、単独ドラマも作られた人気キャラ「ボバ・フェット」も登場したりと、「スター・ウォーズ」ファン、ひいては旧三部作が好きな人にとっては、非正史ながら心に残る作品になるかと思います。
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『スター・ウォーズ ダークフォース』は、原作付きゲームでありながら当時のFPSとして進化したシステムを多数取り入れており、ひとつのシューターとして満足のいく作品となっていました。「スター・ウォーズ」ファン的な目線から見ても映画おなじみの敵と戦えたり、非正史ながら本編にガッツリ絡むストーリーが用意されているので、ファンであれば一度はプレイしてみてほしい作品です。
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なお本作は、レトロFPSリマスターの名手Nightdive Studiosによる『STAR WARS: Dark Forces Remaster』が2月28日に発売予定。記事執筆時点では残念ながら日本語非対応ですが、各種リマスタリングだけでなく特別追加コンテンツも備わっているとのことなので、ぜひプレイしてみてはいかがでしょうか。
「STAR WARS」ゲーム作品は星の数ほどあるため、今後も連載形式で取り扱っていくかも。クラシックで手が出にくい作品もプレイする予定のため、記事が面白かったら応援や「あの作品を扱ってほしい!」などのコメントをよろしくお願いします!