注意
本作はテキストADVであるため、掲載されるスクリーンショットなどがそのままネタバレになりかねません。本作を初見で遊ぼうと考えている読者の皆様におかれましては、くれぐれもご注意くださいませ。
今回はJump Over The Ageデベロッパーを、Fellow Travellerがパブリッシャーを担い配信中のTRPG風テキストADV『シチズン・スリーパー(Citizen Sleeper)』をご紹介。本作はもともと2022年5月5日にリリースされたものですが、今回2024年2月2日に日本語対応アップデート、さらに日本語版も満を持して配信開始。
現在は、PC(Steam/ GOG.com/ Epic Gamesストア/ Humble)/ PS5/ PS4/ Xbox Series X|S/ Xbox One/ ニンテンドースイッチのプラットフォームで日本語によるプレイが可能になりました(Xbox Game Passも含む)。
『シチズン・スリーパー』とは?
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本作は、機械の身体を持つ主人公を通して、辺境宇宙に漂う宇宙ステーションを舞台に明日を目指して生き延びていくTRPG風テキストADVです。選択と行動、ダイスロールが及ぼす結果、期限付きの各イベント(ドライヴ)、そして刻一刻と削られていく自分が生きられる残り時間……。
これらゲームシステムと、サイバーパンク、宇宙といったSF要素がふんだんに盛り込まれた世界設定が見事に溶け合い、プレイしながらまるで「ここで実際に生きているんだ」と感じさせてくれる見事なデザインでした。今回はWindows PC(Steam)を使用して、早速紹介してまいりましょう。
操作・設定・言語
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本作はキーボード&マウスおよびコントローラーに対応しています。基本的にはポイント&クリックな操作が求められますが、個人的にはどちらでプレイしても特に大きな違和感は感じませんでした。その他設定項目については、文字サイズやスクロール速度、サウンドの音量調整のみでシンプルにまとまっています。
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そして満を持しての日本語対応です。おかげでプレイに支障が無いのは当然のことながら、翻訳のクオリティが非常に高く、この世界へより深い没入感を与えてくれます。個人的には、まるで小説を読んでいるかのような心地よい感覚を覚えました。
本編開始
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さあ始まりました『シチズン・スリーパー』。ゲームを開始すると3つのセーブスロットからひとつを選び、続いてこの物語の主人公となるキャラクターを3人のうちから選択します。
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各キャラクターは「パーク」と「スキル」によって得意不得意の特徴が与えられていますが、後ほど成長させることができますし、序盤はキャラ間でそこまで大きな差にはならないので、お好みで選ぶと良いでしょう。
今回の執筆にあたり、筆者は「操縦士」を選択しました。立ち絵も下からライトアップされた感じが大変格好良い……というか本作のキャラクターデザインはどれも大好きです。
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テキストADVということで、本作の進行は基本的には文章。我々プレイヤーは画面左端に横書きで表示される地の文や会話を読んでいきます。時には選択肢が表示され、こちらの心を試してくる場面もあるのが面白い。そしてさらにアクセントとなっているのがオートセーブ機能です。
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というのも本作は、任意のタイミングでセーブデータを小分けして、「別の選択肢」を確認することができません。しかも行動のたびに時間(クロック、サイクル)が進むので、これらは、プレイヤーのゲーム内における一挙手一投足に「やり直しができない」という重みを与えてくれます。
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チュートリアルも兼ねたプロローグが終わると、舞台となる宇宙ステーションをあちこち動き回ることができます。
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各所にはアイコンが表示され、アクセスすることでイベントが始まったり、アイテムの売買や、通貨であるクリオを稼いだりすること等ができます(ネットワークに潜る場合はデータ入手になる)。
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ちなみにイベント(ドライヴ)を完了まで進めると、キャラクターへの強化ポイントが手に入り、各種スキルへ割り振ることで、ダイスアクションなどの行動に補正をかけられるようになりますね。
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一部を除き、大抵の場合、行動(アクション)をとるには「アクションダイス」を割り当てるのですが……ここでダイスの目によって、良い、普通、悪いといった結果の発生率が変化するのです。
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結果の発生自体は運ですが、その確率を少しでも自分のコントロール下に置くべく、「どの出目を使用するか」といった部分に頭を悩ませる。まさにこの部分が本作におけるTRPG的な楽しみ方だと言えましょう。
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そこへ現れる「クロック」と呼ばれる時間経過の概念は、プレイヤーの行動をより慎重にさせます。クロックには、アクションを行うごとにゲージが貯まるタイプと、1日(サイクル)を終えるごとに時間が進む制限時間タイプの2種類があり、プレイヤーは例えば、「借金返済まで数サイクル」という制限時間の中で、いかにゲージを貯めてイベントを次に進めるかといった部分に頭を使います。
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とはいえ、それによってこちらの行動がガチガチに縛られて、自由に試行錯誤できるようで実のところ選択できるのは一本道のみだった……といったことには決してなりません。その代わりに「別キャラクターとのイベントを犠牲にする必要があるかもしれない」といった、決断を迫られる場面があり、それは行動と結果に対してさらなる重みを加わえてくれます。どうして君たちは似たようなタイミングで同じ貴重アイテムを所望するんだ……!
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ところで先ほど1日(サイクル)と言いましたが、もう少し触れておきましょう。ゲーム内時間は1日ごとに進み、その1日で主人公がとれる行動回数は、基本的には所持する「アクションダイス」の個数と「活力」によって変化し、また所持ダイスは、1日開始時点でランダムの出目で渡され、その数は「状態」によって増減します。
複数の要素が連動しているので、実際プレイしないと、少々ややこしいかもしれません。ものすごくざっくり言えば「飯を食わないと活力が無くなり身体の状態が悪くなる。状態が悪くなる程アクション回数が減る」という感じでしょうか。
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そして状態は、活力とアクション云々とは別に、1日毎にどんどん減少していきます。このゲージが底をつくとまずい、ではどうやって状態を回復すれば良いのだ、となるのですが、それにはステーション内で「薬」の購入が必要になります。この薬、序盤だとなかなか高額なので、“様々な手段”で入手していくのですが……。
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ここらへんは機械の体を持つ主人公の設定としても見事にゲームシステムに落とし込まれており、プレイしながら「このままでは死ぬ」という焦りと、イベントを選択しながら「生き延びるためには何でもやってやる」という反骨心を感じるほどでした。
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この弱肉強食の宇宙ステーションで生き残るには、危険なイベントに良い出目のアクションダイスを使ってせめて被害を抑えようか、いやどうせ首が回らなくなる未来ならあえて悪い出目を使って一発逆転を狙うか……などなど、そこにはプレイヤーごとに様々なドラマが生まれることでしょう。
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またゲームを進める中で、好感度の高いキャラと同じくらい、なんだか胡散臭い、鼻持ちならないといったキャラも登場しますが、彼らもまたこの世界でもがいているというのが徹底して描写されているので、どうしたって憎みきれなかったり。
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何度も繰り返してしまいますが、本作は、いつの間にか「自分がこの世界で生きている」という感覚を覚える程のめり込んでプレイしてしまう魅力にあふれています。
続編も絶賛開発中である『シチズン・スリーパー』、日本語対応もしたことですし、これまで二の足を踏まれていた方も是非この機会に遊ばれてはいかがでしょうか。
タイトル:『シチズン・スリーパー』
対応機種:Windows/ Mac(Steam/GOG.com/Epic Gamesストア/Humble)/PS5/ PS4/Xbox Series X|S/Xbox One/ニンテンドースイッチ
記事におけるプレイ機種:Windows PC(Steam)
発売日:2022年5月5日
※日本語アップデートおよび日本語版リリース:2024年2月2日(一部機種では24年2月1日)著者プレイ時間:3時間
サブスク配信有無:Xbox Game Pass(PC/Ultimate)
価格(Steam):通常版 2,300円(2024年2月16日まで1,150円のセール中)、デラックスエディション 3,375円
価格(GOG.com):19.99米ドル(2024年2月6日まで9.99米ドルのセール中)、デラックスエディション 37.77米ドル、Jump Over the Age Collection 31.48米ドル
価格(Epic Gamesストア):2,000円(2024年2月7日午前1時まで1,040円のセール中)
価格(Humble):19.99米ドル(2024年2月14日まで9.99米ドルのセール中)
価格(PlayStation Store):2,640円(PlayStation Plus加入者向けに2024年2月14日23時59分まで1,848円のセール中)
価格(Microsoft Store):2,350円
価格(マイニンテンドーストア):2,570円(2024年2月14日23時59分まで1,799円のセール中)
※製品情報は記事執筆時点のもの
スパくんのひとこと
SF小説の中へ実際に飛び込んで生活しているようで、プレイしながらわくわくが止まらなかったスパよ