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日々たくさんのゲームがリリースされる現代。その分話題になる作品も多いわけですが、「どうしてこのゲームは人気なんだろう?」と思ったことはありませんか?
この連載では、ゲーマーから注目を浴びているゲームがなぜ人気になっているのかを分析します。記事を読んで、流行っているゲームに詳しくなっちゃいましょう。今回は4月23日に発売した『百英雄伝』をお届けします。
伝説のRPG『幻想水滸伝』の精神的続編
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本作はRabbit & Bear Studiosが開発したシングルプレイのRPGですが、1995年にコナミより発売された『幻想水滸伝』シリーズの精神的続編として考えられている作品になります。
『幻想水滸伝』でゲームディレクションとシナリオを務めた村山吉隆氏と、キャラクターデザインを務めた河野純子氏が25年ぶりにタッグを組んだことでも注目されています。
本作は『幻想水滸伝』同様に、100人以上も登場する仲間たちを集め、自由に編成し、冒険の旅を続けるというゲームプレイになっています。国産RPGに古来から求められている緊張感ある政治劇や、仲間との絆が描かれるカットシーンは、まさにジャンルファンにはたまらないものとなっていますね。
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ゲームを始めると、主人公のノアはとある村に辿り着きます。村の近くで「魔導レンズ」という重要なアーティファクトが発見されたため、それを受けて2つの国家(諸国連合と帝国)が共同で探索隊を編成していました。ノアもそのメンバーに加わります。
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ダンジョンを踏破し、魔導レンズを持ち帰る面々。しかし、帝国側の中尉であるセイが、この発見が戦争の火ぶたを切って落とすことになるのではと危惧します……。果たして、その不吉な予感は当たってしまうのでしょうか?
なぜヒットした?
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本作がヒットした理由は、やはりRPG黄金期の香りがするからでしょう。村で装備を整え、ダンジョンに潜ってレベルを上げ、帝国との陰謀の匂いを嗅ぎ、強大なボスに挑む。これらのサイクルは鉄板でありながら、未だ尚多くのゲーマーが求めてやまないテンプレートであるのは間違いありません。
リッチな3D背景と2Dスプライトが混ざり、その上にドット調のキャラクターが立っている絵は、レトロとフューチャーが融合した現代ならではのスタイルとなっています。ちょっとグラフィックボードへの負荷が強めですが、今でしか味わえないグラフィックですね。
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戦闘システムも古風で、タイムラインに沿って敵味方が動いていくものです。ド派手な英雄コンボの演出にうっとりしたり、ギミックをしっかり処理したりと、ちゃんと一戦一戦にアクセントを付けていこうという気概を感じました。
今後も人気は継続する?
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本作は一本道のRPGなので、運営型タイトルと異なり、全クリしたあとにもう一度起動するというプレイヤーは少ないでしょう。よって、発売直後である今が最も注目されているかと思われます。
また、昨今の黄金期JRPGを目指した作品にありがちですが、古参プレイヤーからの評価がやや割れている点も気になるところです。度重なるアップデートや修正によって評価が上向いていくことを期待します。しかしながら、何本かのDLCも予定されているので、その都度クリアしたプレイヤーや序盤で投げたプレイヤーが戻ってくることも大いに考えられます。
また、本作は初日からXbox Game Passに対応されていることもあり、遊ぶまでのハードルは非常に低いタイトルでもあります。ボリュームの大きなRPGをやりたいな~と思っているプレイヤーが、今後も散発的に遊んでくれることは大いに有り得るでしょう。
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昨年は海外インディー発の『Sea of Stars』が大ヒットを記録しました。『百英雄伝』のヒットとともに、何度目かのJRPG復興の兆しを感じますね。
『百英雄伝』はPC(Steam/Epic Gamesストア/マイクロソフトストア)/PS4/PS5/Xbox One/Xbox Series X|S/ニンテンドースイッチ向けに発売中です。XboxおよびPC Game Passにも対応しています。