日々たくさんのゲームがリリースされる現代。その分話題になる作品も多いわけですが、「どうしてこのゲームは人気なんだろう?」と思ったことはありませんか?
この連載では、ゲーマーから注目を浴びているゲームがなぜ人気になっているのかを分析します。記事を読んで、流行っているゲームに詳しくなっちゃいましょう。今回は、エレクトロニック・アーツより発売されたHazelight Studios開発作品『スプリット・フィクション』をお届けします。
1人では遊べない。2人専用の仕掛け盛りだくさんアクション
本作は、協力プレイ専用のアクションアドベンチャーゲームです。「出版できる」と聞いてレイダー出版社にやってきたアマチュア作家のミオとゾーイの2人は、怪しげな装置に入れられそうになります。それを怪しんだミオが抵抗すると、ゾーイが入った装置に誤って入ってしまいます。


この装置の正体は、作家の脳内にある物語を体験できる仮想世界に飛び込むというもの。同じ装置に入ってしまった2人は、ミオが描いたSF世界と、ゾーイが描いたファンタジー世界の2人でさまざまなハプニングに巻き込まれつつ、現実への帰還を目指します。

本作の特徴は、なんといっても「2人専用」であること。ミオとゾーイどちらかを1人ずつ操作する必要があります。基本は物語の展開にあわせてジャンプなどで進んでいくアクションですが、それぞれできるアクションが異なるので、息を合わせた協力が攻略に必須。乗り物を操縦したり、変身して特殊なアクションを使ったりなど、チャプターごとに異なる独自アクションも用意されています。
なぜヒットした?
本作は、3月6日のリリースからわずか1週間で200万本の売上を突破しており、非常に早いペースで売上を伸ばしています。MetaCriticのメタスコアも91点~93点を獲得しており、記事執筆時点では今年最高のスコアを記録しています。Game*Sparkレビューでも10点満点を獲得しました。ピーク時同時接続数も記事執筆時点で25万9,000人を記録しています。
本作がヒットした理由は、GOTY受賞歴のある開発者が手掛けていることに大きな理由があるでしょう。本作を開発したHazelight Studiosは、2021年のThe Game AwardsなどでGOTYを獲得した『It Takes Two』や、累計売上900万本を誇る『A Way Out』など、分割画面で協力するスタイルの作品を手掛けてきました。また、ディレクター・脚本のジョセフ・ファレス氏は前2作に加え、左スティックで兄・右スティックで弟を操作する「1人Co-op」なアクションアドベンチャー『ブラザーズ : 2人の息子の物語』も手掛けました。
これらの作品に共通するのは、チャプターごとに次々と新しい遊びがでてきて、まるでジェットコースターのように興奮やワクワクが途切れない体験が楽しめるという点。基本的には一度きりの体験ではありますが、一度きりだからこそ非常に濃密な体験に仕上げているというわけです。

また、協力専用な本作においては「フレンドパス」の存在も大きいと考えられます。片方がフレンドパス機能を使って招待することで、片方はゲームを購入せず楽しめます。そのため、強い興味がない人でも「無料ならやろうかな…」と誘いやすいですし、2人で半額ずつ負担するのもアリ。ひとりあたり3,450円と考えると、非常にコスパの良い体験を味わえます。

全プレイヤーがフレンドパスを利用しているとは限りませんが、単純計算でもすでに400万人のプレイヤーが本作を楽しんでおり、今年のヒット作としてインパクトを残すでしょう。
今後も人気は続く?

現時点で本作にはDLCなどの計画はなく、過去作の傾向から見ても、本作の物語がさらに拡張される可能性は低いです。ゲーム側からの供給にはおそらく期待しないほうが良いでしょう。
ただし、すでに極めて高い評価を得ていることから、今年の賞レースで争う可能性は大。ノミネート・受賞などで大きな話題となれば、さらに売上を伸ばすことが考えられます。前作『It Takes Two』は、発売から3年をかけて1,600万売上まで伸ばしており、総プレイヤー数は3,000万人以上となりました。
『スプリット・フィクション』は、PC(Steam/Epic Gamesストア/EA app)/PS5/Xbox Series X|S向けに発売中です。