
ベセスダ・ソフトワークスが2024年12月9日に発売した『インディ・ジョーンズ/大いなる円環』は、冒険映画の金字塔である「インディ・ジョーンズ」を題材にしたアドベンチャーゲームです。リブート版『Wolfenstein』シリーズで知られる「MachineGames」が開発を務めています。
そんな『インディ・ジョーンズ/大いなる円環』ですが、発売されるや否や世界中で高い評価を受けました。レビュースコアのまとめサイト「Metacritic」によれば、本作のメタスコアは87点(記事制作時点)。映画原作のゲームは当たり外れが激しい印象がありますが、ゲーマーだけでなく映画ファンからの評価も高いので、本作は“当たり”と言っても良いでしょう。
「インディ・ジョーンズ」シリーズの大ファンである私からしても、『インディ・ジョーンズ/大いなる円環』は“当たり”だと思っています。映画版の再現度とゲーム全体のクオリティが思った以上に高く感じたからです。
『インディ・ジョーンズ/大いなる円環』をずっと待ちわびていた私は、発売初日から2日で本作をクリアしました。そしてクリア時の興奮が冷めないうちに本稿を執筆しようと思い立った次第です。そういうわけで、シリーズファンの視点で『インディ・ジョーンズ/大いなる円環』の魅力を掘り下げていきたいと思います。
「インディ・ジョーンズ」シリーズの再現度がヤバすぎる
「インディ・ジョーンズ」シリーズは、考古学者兼冒険家であるインディ・ジョーンズ(演:ハリソン・フォード)の冒険を描いたアクションアドベンチャー映画です。映画監督のスティーブン・スピルバーグとジョージ・ルーカスがタッグを組んだ本シリーズは、世界中で爆発的な大ヒットを記録しました。
1981年に公開された「レイダーズ/失われたアーク《聖櫃》」から、2023年に公開された「インディ・ジョーンズと運命のダイアル」まで、シリーズ作品は全部で5本。若かりし頃のインディ・ジョーンズを描いた「インディ・ジョーンズ/若き日の大冒険(1992年放映)」というテレビドラマもあります。
さて、『インディ・ジョーンズ/大いなる円環』に話を戻しましょう。本作の時代設定は、第二次世界大戦勃発前の1937年。映画の時系列でいえば、1936年の「レイダーズ/失われたアーク《聖櫃》」と、1938年の「インディ・ジョーンズ/最後の聖戦(1989年公開)」の中間に位置しています。ちなみに「インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説(1984年公開)」はシリーズ第2弾ですが、時代設定は1935年です。


考古学者兼冒険家のインディ・ジョーンズは、「大円環」の謎を解き明かすべく、世界をまたにかけた大冒険に挑みます。罠が張り巡らされた遺跡の探索、謎解き、ナチス・ドイツ軍との戦いなど、原作の醍醐味をゲームでそのまま体験できるのが特徴。インディ・ジョーンズを疑似体験できる「一人称視点」を取り入れたところも大きなポイントです。



ゲームシステムもストーリーも素晴らしいのですが、私の心を射抜いたのは「原作の再現度の高さ」でした。もはや映画の最新作と言っても良いぐらいのクオリティに衝撃を受けたものです。
一番の衝撃は、インディ・ジョーンズを演じるハリソン・フォードのモデリング。インディ・ジョーンズの声とモーションキャプチャーは別の声優さんが担当されたそうですが、ハリソン・フォードの笑顔やしぐさ、声質は本人に瓜二つでした。ビジュアルだけでなく、演技面の再現度も高いと感じました。

特筆すべきは、ゲームの序盤で「レイダーズ/失われたアーク《聖櫃》」の冒頭部分を体験できること。カメラのアングルもキャラクターの立ち位置も原作とほぼ同じで、名シーンである「砂袋と黄金像をすり替える場面」と「岩の大玉から逃げる場面」もしっかり再現されていました。この時点で私の期待値は爆上がり状態に。はっきり言いましょう、最高です。



そのほか、原作に登場していた「マーカス・ブロディ」や「マーシャル・カレッジ」も忠実に再現されていました。原作の映画を鑑賞されている方は確実にニヤリとするはず。私は最初から最後までニヤニヤしっぱなしでした。


『インディ・ジョーンズ/大いなる円環』は、映画の魅力を忠実に再現しているところが魅力です。実際に本作をプレイした際は再現度の高さに驚きましたし、感動すら覚えました。ゲームとしてだけでなく、映画シリーズの最新作としても十分楽しめますよ。
ニヤリとする映画の小ネタが盛りだくさん!
『インディ・ジョーンズ/大いなる円環』の魅力は再現度の高さだけではありません。作中に散りばめられた映画の小ネタも魅力と言えます。ここでは、私がゲーム内で見つけた映画の小ネタを3つご紹介したいと思います。
最初に見つけた映画の小ネタは、マーシャル・カレッジの教室。ここで注目してほしいのは教卓の上に置いてある“りんご”です。
映画を観ている方ならピンとくるかもしれませんが、これは「レイダース/失われたアーク《聖櫃》」へのオマージュではないかと私は考えています。映画の序盤にて、インディ・ジョーンズの講義が終わったのち、生徒のひとりが教卓にりんごを置く場面がそれです。りんごが置いてある場所も原作通りでした。


もうひとつの小ネタは、中国・上海のステージです。ネタバレになるので詳細は省きますが、インディ・ジョーンズはとある事情で上海へ行くことに。ですが、インディ・ジョーンズは飛行機(複葉機)に乗って敵戦闘機から逃げつつ、固定銃座で迎撃することになります。
その際、私は「インディ・ジョーンズ/最後の聖戦」を思い出しました。ジョーンズ親子が飛行機に乗って、ナチス・ドイツ軍の戦闘機から逃げる場面ですね。

また、敵戦闘機から逃走している最中、インディ・ジョーンズは「ラオ・チェーが怒り狂うな」と呟きます。ラオ・チェーとは、「インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説」の序盤に登場していた上海裏社会のボスです。インディ・ジョーンズの発言から察するに、ラオ・チェーは上海のどこかでまだ生きているのかもしれません。ちなみに、ラオ・チェーはシリーズ作品の中でも唯一死んでいない悪役です。

最後の小ネタは、エジプト・ギザの発掘現場。ここは敵であるナチス・ドイツ軍の兵士が徘徊しているため、インディ・ジョーンズは地元の作業員に変装することに。「レイダース/失われたアーク《聖櫃》」にて、作業員に扮したインディ・ジョーンズが発掘現場でアークを見つける場面を想起させます。ちなみに、アークの発掘場所はエジプト・カイロでした。
小物売りの売店に行くと、カウンターの上に可愛らしい子ザルがちょこんと座っています。このとき、私は「レイダース/失われたアーク《聖櫃》」に出てくる子ザルを思い出しました。


私が見つけた映画の小ネタは以上になります。ほかにも映画の小ネタがまだありますので、あとはご自身の目で確かめてみてください。「インディ・ジョーンズ」シリーズを鑑賞済みの方は確実にニヤニヤするはずですよ。
もはやシリーズ最新作と言っても良い出来!
先ほど映画原作のゲームは当たり外れが激しいと述べましたが、決め手になる部分は「再現性とゲーム性のバランス」です。原作を忠実に再現すべきなのか、それともゲームの面白さを優先すべきなのか。理想は均衡を保つことですが、双方のバランスがどちらか一方に偏ると残念ながら“はずれ”になってしまいがちです。
その点、『インディ・ジョーンズ/大いなる円環』は再現性とゲーム性のバランスがしっかりとれたゲームです。原作の再現度も高いですし、ゲームとしての面白さも際立っていると感じました。ゲーマーも映画ファンも納得できる作品に仕上がっていると言っても過言ではないでしょう。双方の均衡が保たれている映画原作のゲームは、現時点では本作がダントツかもしれません。
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