東京ゲームショウに合わせて来日した、共同創業者で"シャーマン"のMartijn Reuvers氏と、同じく共同創業者でデザイナーのCollin van Ginkel氏にインタビューする機会を得ることができました。レイニーフロッグのTony Byus氏も同席しました。
■カプコンとの縁から始まったTwo Tribes
―――まずは御社についてお聞かせいただけますか?
Tony:Two Tribesは、欧州ではそれなりに名の知れたメーカーです。2001年にカプコンさんと組んでリリースしたGBCソフト『TOKI TORI』が処女作となりますね。
―――印象的なタイトルですが、どういった経緯で付けられたタイトルなのでしょうか。
Martijn Reuvers:「TORI」の部分は日本語の「鳥」ですね。主人公は鳥ですから。ただ、それだけでは何か足りないなと思って……そう、ATARIかなにかで出たゲームのタイトルから拝借した「TOKI」をつけて、『TOKI TORI』になったんです。
※編注:Atari Lynxでリリースされた『Toki』のことかも?
当初は『Egg Bird』というタイトルにしようと思っていたのですが、すでに商標が取られてしまっていて。あれもダメ、これもダメ……となるうちにこのタイトルに行きつきました。それで、カプコンさんにこういうタイトルはどうですかと提案したら全然返事がなくて。一ヶ月後くらいにようやく返答をいただけたと思ったら、「ロゴの方はどうなっていますか?」と(笑)。
その後は、2003年ごろにN-Gage(編注:2003年にノキアが発売したゲーム機機能付き携帯電話。日本未発売)で「ガーフィールド」(編注:オレンジ色のネコ・ガーフィールドを主人公にしたアメリカの新聞マンガ。アニメ化や実写映画化もされている)のゲームを作りました。当初は年末上映予定の映画に合わせてリリースしたいという話だったのですが、途中から映画の公開自体が夏に前倒しされることになりまして。ゲームの方もそれに合わせてほしいと言われて大変でした。
さらにその後はTHQと組んで開発を担当したDSソフト『Worms: Open Warfare 2』が2007年に発売され、2008年にはTGFと組んだWiiソフト『Rubik's Puzzle World』が発売されました。こちはミニゲームを豊富に作る必要があって、なかなか大変でしたね。ただ、これらのソフトはすべて開発を業務委託されて作ったものですし、この頃は会社の経営も厳しい状態にありましたから次のプロジェクトはどうすればいいか、自分のゲームを作れないと将来はもっと厳しいのではないかという思いは常に念頭にありました。
―――『TOKI TORI』以降、オリジナルはなかなか作れない期間が続いたんですね。
Martijn:『TOKI TORI』の10周年も見えてきた頃合でしたので、それを見すえて他のプラットフォームでも出していこうと。まずはXbox 360で移植版を出したいと思っていたのですが、そんな折、WiiでWiiWareが始まることになりましたので予定を変更してWiiWare版をリリースしました。その後、Wii Uが発売されるときにもそのロンチにあわせて『TOKI TORI』の移植と、続編となる『TOKI TORI 2』をリリースしました。
Collin van Ginkel:家庭用ゲーム機にかぎった話ではないですが、ちょうどWiiWareあたりから、パッケージソフトを作らなくてよくなったのはいいことでしたね。(諸経費が浮く分)自分たちが作りたいソフトを作りやすくなりました。やっぱりその方が楽しいですから。2011年にiOSでリリースした『Swords & Soldiers』もそうした思いから生まれた一本です。
『TOKI TORI 2』は思っていたより難攻してしまいました。開発費、開発期間……諸々が想定以上で。でもその分、クオリティが高く楽しめるゲームにできました。プレイしていただくと分かるのですが、この作品は操作がとても簡単です。スティックによる移動と、歌う、ジャンプという2つのアクションだけですから。ですがパズル的な要素には力を入れていて、これだけでさまざまなアクションを起こせるようになっています。たとえば、歌って他の動物の注意を引いて側まできてもらって、その上でジャンプして(着地の振動で驚かせて)口から中に入って移動できるシャボン玉を吐いてもらうとかね。簡単な操作でさまざまなアクションを起こせる。この楽しさを徹底的に追求しました。
■日本びいきな理由はコナミのゲームにあった!?
―――ゲーム業界を志したきっかけはなんだったのでしょうか?
Collin:7歳くらいのときに、親が買ったMSXでたくさんゲームをしていました。その時夢中になっていたゲームはほとんどが日本製のものだったんですよ。かつて日本のゲームにたくさんの楽しみをもらった自分が、今こうして日本のみなさんに楽しみを提供するる側になれたことが本当に嬉しいです。
―――MSXではどんなゲームに夢中になっていましたか?
『PENGUIN ADVENTURE』(編注:『けっきょく南極大冒険』の続編。日本では『夢大陸アドベンチャー』として発売)や『Parodius』など、コナミのゲームに夢中でした。その後、ゲームを遊ぶだけではなく作る興味も出始めて、『TOKI TORI』の原型にあたるゲームをMSXで製作したりもしていましたね。
―――2015年に新作となる『RIVE』をリリースされるそうですが、こちらについてもお聞かせください。
Martijn:今までの弊社の作品とは毛色が異なるアクションシューティングで、2015年第一四半期にリリースする予定です。『TOKI TORI 2』はセールス的にはあまりうまくいっていない作品で、製作当時10人いたスタッフも今は3人になりました。なので、今までは違う方向性を模索していくべきかなと。
『TOKI TORI』は誰でも遊べることを念頭に置いた作品ですが、『RIVE』はもっとコアなユーザーの方に向けて、「分かりやすいシューティングゲーム」を目指して作っています。エンジンは『TOKI TORI』と同じものを使っているので、今度の開発は短期間で終わりそうです。日本での展開予定はまだ未定なのですが、プラットフォームはPCと、Wii U、PS4、Xbox oneを考えています。
―――日本での展開も期待しています。それでは最後に、今後御社が目指していく目標をお聞かせください。
Martijn:時間をかけて規模が大きいゲームを作るよりは、規模が小さめのDLソフトを自分たちが楽しみながら作って、それでやっていけるようにできればいいですね。
Collin:社員が10人以上いたときは、ゲーム製作だけでなくマネジメントにも時間を割く必要がありました。でもそれは自分にはあまり楽しいことではないですから、今のように少人数で楽しみながらゲーム製作だけに向き合えるのがいいですね。社員が3人だから、そのとき作っているゲームで何が重要なのかを最初にしっかり決められるんです。
Martijn:『TOKI TORI 2』の開発時は今思えばどうでもいいことまで「ここはどうするのがベストなのか」と1日かけて考えてしまったりしていましたからね……(笑)。新作の『RIVE』を楽しみにしていてください!
―――最近買ったばかりのWii U『TOKI TORI 2』を遊びながら待ちたいと思います。本日はありがとうございました。
今回のインタビューで話に挙がったWii Uダウンロードソフト『TOKI TORI 2』は、国内では『TOKI TORI 2+ 秘められた謎と不思議な島』というタイトルで配信されています。基本はシンプルな横スクロールのアクションパズルなのですが、時間制限がなかったり、協力をしてくれる動物たちはいても戦うべき敵はいないという、まったり・のんびりした魅力が持ち味の一本です。
今は3人という少人数体制を敷いているTwo Tribes。ゲームエンジンの流用など省力化にも勤めており、新作『RIVE』の開発は順調に進んでいるようです。Two Tribesの公式HPで見られる同作のPVを見ると『Gダライアス』を彷彿とさせる敵をキャプチャーして味方にするようなシステムなどがあるようで、なかなか遊びがいがありそうです。
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