!注意!本稿はフィクションですが、筆者はマンデラ効果に強い影響を受けてしまったようで、企業名や人名、商品名に別世界のものが使われています。
また、しょうもないネタが続々と展開されます。
また、しょうもないネタが続々と展開されます。
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近年、オカルト界隈で「マンデラ効果」と呼ばれる現象が取りざたされています。事の発端は、南アフリカの元大統領で知られるネルソン・マンデラ氏が2013年に死去した時。その訃報を聞いた一定数の人々が「マンデラ氏は、1980年代に獄中死していたのでは?」と記憶違いをしていた事がわかりました。反アパルトヘイト運動によって逮捕されたマンデラ氏が釈放され、その後、南アフリカ共和国の大統領に就任したのは、小学校の授業でも習う歴史的事実です。
一説によると、これは単なる記憶違いではなく、「1980年代にマンデラ氏が獄中死したパラレルワールドの人々の記憶」が何らかの作用によって、こちらの世界の人々に影響をもたらした結果であると言われています。これはマンデラ氏の事に限る話ではなく、他にも、色々な事柄に対してこの現象が人々の記憶に潜んでいるらしいのです。
当編集部はあらゆる界隈のコネクションを用いて、この「マンデラ効果」の影響を強く受けてしまった人物・Y氏とのコンタクトに成功。「組織の追跡から身を守るために身元は一切明かさない」と言う条件付きで彼にインタビューを敢行しました。
■私は「ドリームキヤストが撤退していない世界」を視ました。
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――それではよろしくお願いします。早速Yさんが経験した「マンデラ効果」に纏わる話をしてくれませんか?
はい。あれは友人と『モンバン』の最新作について会話していた時のことです。「今度の『モンバン』楽しみだな!俺はこのためにドリキヤス4買ったぜ!」って友人に言われたので、ぼくも「俺も出張用にドリキヤス4本体買ったよ。マジで『モンバン』楽しみだよな~」って答えたんです。すると、友人から返ってきた言葉は「は?ドリキヤス4?なんの話してるんだ?」って……
――なんだか会話がかみ合ってないですね。まるで会話の途中でパラレルワールドに迷い込んだような……
まさにその通りなんです。確かに、僕らはその会話の前にドリームキヤスト4の話をしていました。でも、その後友人に聞いてみると、そんな話はしていないって……そもそも友人とは大学時代に『ちからストーン3(※)』を通じて仲良くなったはずなのですが、それも『すまぬな』を通じて仲良くなった事に……。
※:カブコンから発売された多人数対戦アクションシリーズ。こちらの世界では『ちからストーン2』までしか発売されていない。
――恐ろしい話ですね……
その瞬間、両親や友人が他人になった気がしました。でも、両親や友人はいつも通り僕と接してくれるんです。奇妙な感覚ですよ。
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――こちらの世界では、ドリームキヤストは撤退し、ゼガはサードパーティとして展開していると聞いてどう思いましたか?
信じられません。僕がいた世界では、ドリームキヤストが様々な家電と合体しており、人々の生活に溶け込んでいました。ドリームキヤスト内蔵のトイレまであったんですよ。それがこちらの世界では撤退って……まるでディストピアに迷い込んだ感覚ですよ。
――こちらの世界でもドリームキヤストが内蔵されたテレビが出ていますね。そういえばゼガは小便器でゲームができる『トイレリゴー』という商品を発売していました。
そんなくだらなおもしろいものが……なるほど、この世界でも僕の大好きなゼガは形を変えて今も息づいていると言うことですね。
――ええ、そしてドリームキヤスト撤退後、ゼガは、日本の裏社会を題材としたアクションアドベンチャー『恐竜がライク』というヒット作を生み出しました。
それは『シェソムー』みたいなものでしょうか?
――確かにジャンル的にも『シェソムー』に通ずるモノがあると思います。ちなみに『恐竜がライク』は、『オクラホマUSA』を手がけた船越氏が総監督を務めていますね。
あの船越さんが!?それ絶対に面白いじゃないですか!
――ちなみに、これが船越氏の写真です。
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えっ!?僕がいた世界では、船越さんはもっと爽やかというか優しい感じの雰囲気でしたが、ずいぶん男らしく……えぇ?……一体なにが?
――話によると、『恐竜がライク』を制作する上で影響を受けたそうです。
なるほど、パラレルワールドでは人の雰囲気も変わってしまうんですね……。ところで先ほど『シェソムー』の話が出てきましたが、やはり撤退後は完結していないのでしょうか?
――ドリームキヤストでは『シェソムー2』まで出ていますね。そして2018年に『シェソムー3』がマルチプラットフォームで発売されます。
うーむ、なるほど。僕がいた世界の『シェソムー3』とは全く別のゲームシステム、別のストーリー展開になっていると思うので、これはこれで楽しみです。
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Y氏は、ドリームキヤスト3をプレイする様子を絵を描いてくれた。
――Yさんがいた世界では、ドリームキヤストはどんな展開を見せていたんですか?
先ほども言ったとおり、向こうの世界ではドリームキヤスト4まで発売されています。とくに僕は、2008年に発売されたドリームキヤスト3が大好きなんです。このハードは、ゲーム機本体にVRデバイスが標準装備されており、簡単にゲームの世界に入り込む事が出来ました。さらに、「におい機能」も搭載されているんです!ゲーム機本体に使い捨ての「においパック」を挿入すると、ゲーム機からゲームキャラクターの体臭や戦場に漂う硝煙の臭いがするようになるんです!スゴイ臨場感ですよ!
――驚異的なゲーム機ですね……こちらの世界では、VR元年は2016年と言われています。
発売当時は「バーチャンノルボーイ」の再来と揶揄され、一部のゲームユーザーから懐疑的に扱われていました。でも、結果的に大ヒットを飛ばし、VR技術は飛躍的な進歩を遂げます。さらに、その後世代機であるドリームキヤスト4では、VRの次なるステージとでもいいますか、人類のゲームライフに革新をもたらしました。なんと睡眠時にゲームがプレイできるんですよ。
――それはどういう事ですか?
ドリームキヤスト4のコンセプトのきっかけは、ゲーム業界が抱えている“ゲーム離れ”です。娯楽の多様化によって、人々は趣味の選択肢が多くなり、毎日ゲームをプレイする人は少なくなりました。それに対してゼガが出した答えは「ゲームするヒマないなら夢の中でゲームしたらいいんじゃね?」なんです。
プレイヤーは、ドリームキヤスト4に標準装備された脳波ヘルメットを着用して眠ります。するとレム睡眠時にゲームをプレイできるようになるんです。ゲームのプレイスタイルは2種類あって、夢の世界でテレビに向かってゲームをするか、あるいは自分が主人公になってゲームの世界には入り込むかを自由に選べます。
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Y氏は、睡眠中にドリームキヤスト4をプレイする自分を絵に描いてくれた。
――プレイヤーが夢の中でゲームキャラクターとして登場すると。まさにドリームキヤストですね!……そうなるとプレイスタイルによって操作方法が全然違いますよね?
はい。とくに後者は、難しい操作が求められないので、普段ゲームをしない年齢層にも受け入れられました。そういう事もあり、ドリームキヤスト4は空前絶後のメガヒットとなり、発売から2年近く品切れ状態が続きましたね。
――そのドリームキヤスト4の中で思い入れのあるタイトルは何ですか?
『集え!くるくる温水』を友人と夢の中でプレイしたのも楽しかったのですが、やはりカブコンの『バイオバザール』シリーズですかね。特にドリキヤス4版『バイオバザール アウトブレイク(※)』は、ゾンビの襲撃から逃れながら崩壊寸前の都市から脱出するという簡潔なルールと、夢の中だからこそ味わえる筆舌し難い危機感が最高でした。ただ、こういうホラーゲームって、恐怖のあまり興奮しちゃって、結局起きちゃうんですよね……。そこが短所ですかね。
※『バイオバザール アウトブレイク』は、2003年にPlayZtation 2向けに発売されたオンラインマルチプレイ対応ゲーム。Y氏のいた世界では、ドリームキヤストが撤退していないため、マルチプラットフォーム展開が行われ、さらに現行機ドリームキヤスト4向けにリメイクされた模様。
――ドリームキヤスト4は、時代を先取りしたあまり様々な問題も抱えていると。
他にも、妙な噂というか、都市伝説も語られています。夢の世界というのは矛盾だらけですし、曖昧なものが蔓延しています。なので、みんなが同じゲームをプレイしていてもストーリー展開やゲームバランスなどがプレイヤーによって少し異なるんです。もちろん、プレイヤーのゲーム体験の整合性を保つ事もドリームキヤスト4の機能にはあるのですが……希にゲームソフトとは全く関係ない別の世界に行けるのだとか……。
――それは……どういう事ですか?
詳しくはわかりません。ただ、その世界に行ってしまうと二度と戻れないそうです……まさかっ……
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Y氏は、まるで何か重要な事に気づいたかのように唖然とし、口を閉ざしてしまいました。そして、何も言わずその場から去って行ったのです。我々編集部の中には、Y氏が語ってくれた事は、あまりにもオカルト的で信じる者は誰一人いませんでした。
果たしてY氏は、「マンデラ効果」によって来訪したパラレルワールドの住人なのでしょうか?それとも虚言を語り我々編集部を混乱に陥れる愉快犯なのでしょうか?すでに消息を絶ったY氏にそれを確認する術はなく、残されたのは謎ばかり。いや、もしかすると本記事の閲覧数やコメント欄の反応で再び彼は戻ってくるかもしれません。その日を期待して待ちましょう。