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あの人気建設シミュレーションゲーム『アノ(Anno)』シリーズの最新作、産業革命による工業化の時代を舞台に都市拡張を目指す『アノ1800』オープンベータのプレイレポートをお届けします。
本稿で紹介するのは、ユービーアイソフトによって4月16日に配信予定の『アノ1800』のオープンベータ版(4月12日~14日まで実施)になります。この作品はSteamでも配信予定だったのですが、直前になって配信元がUplayストアとEpic Gamesストアのみになってしまいました。以前プレイレポートをお届けした『Satisfactory』などもそうですが、最近は脱Steamの動きが顕著化してきたように思えます。ゲームを開発している側としては選択肢が増えるのは喜ばしいことですが、ユーザー側としては利便性の問題もあり、なかなか難しいところです。
『アノ』シリーズ(旧作ファンには「創世紀シリーズ」と言ったほうがいいかもしれませんが)は『アノ1602』から始まり、『アノ1503』『アノ1701』『アノ1404』と帆船をメインとした大航海時代などが舞台の建設シミュレーションゲームでした。2011年からは趣向を変え、未来を舞台にした『アノ2070』『アノ2205』が配信されました。シリーズのコンセプト自体は引き継がれているのでそれはそれで面白いのですが、SFチックになってしまうと「何か違う」という感じもあったので、本作の舞台設定は筆者的には大歓迎です。さっそくプレイしていきましょう。
まずはキャンペーンで基本を
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ゲームを開始すると、キャンペーンかサンドボックスのどちらかを選べます。『アノ』シリーズでは、キャンペーンはチュートリアルにもなっているので、初めての人はこちらからプレイするのがいいでしょう。今回はキャンペーンを。
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ゲーム中のアドバイスを多くするかどうかを決めた後、キャラクターメイキングになります。キャラクターの姿やエンブレム、旗の色、名前を決めることができます。とりあえず産業革命の時代にその辺を歩いていそうなおっさんを選択し、名前は「ゲムスパ」で。
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難度選択ですが、ノーマル、ハード、エキスパート、それと自分で条件を決めるカスタムがあります。ノーマルだと資金も豊富ですし、間違えて建設した時でも取り壊せば全額戻ってきますので、失敗を気にせずいろいろ試すことができます。エキスパートでは取り壊し時の返金がないため、今回はノーマルで。
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ゲームが始まりました。ゲムスパは旧世界(新世界に対する言葉。ヨーロッパ、アジア、アフリカなどを指す)にいる妹に会いに行くため、漁船に乗って道を急いでいます。しかしこのしょぼい船で旧世界に渡るのは無理のようです。
そばにいるのはゲムスパの相棒・アーハント。ゲムスパに命を助けてもらったことから、今後はゲムスパを守ると誓いを立てた律義なお方です。そのわりにゲムスパに対して辛口なコメントが多く、「俺たちは無一文なんだ!家族のいる旧世界への乗船券なんて買えやしない!」と文句を言っています。
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金が無いなら稼ごうと、ゲムスパは灯台にあったダイナマイトを使って魚群に投擲。なかなか豪快な主人公です。アーハントは呆れ気味。3トンの魚が取れたので、これを近くの港で乗船券と交換します。
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不機嫌そうな顔をした乗船券売りの老人は、「焦げ臭い」と文句を言いながらも魚と引き換えに乗船券を渡してくれました。旧世界行きの船はもうすぐ出港します。妹に会うため、さっそく出発です。
旧世界へ!
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外輪船に乗って旧世界へ向かうゲムスパとアーハント。そもそもゲムスパは妹に家のことをすべて押し付け、こっそり家出して新世界に来ていたようです(ひどい兄貴ですね)。しかしその間に父が反逆罪で訴えられ、処刑されてしまうという事態に。妹はゲムスパに父を助けてもらおうと、「戻ってきて欲しい」との手紙を出したのでした。父を救うため、ゲムスパは道を急ぎます。
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新世界に到着したゲムスパを迎える妹のハンナ。めっちゃ不機嫌そうな顔をしてますね。面倒を押し付けて勝手に家出したのですから、当然と言えば当然ですが。父はすでに亡くなってしまったようで、その弟のエドバルドが父の遺産をすべて奪おうとしています。
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アーハントはゲムスパが金持ちの子だったのを知らなかったようで、「なぜ魚を売って納屋で寝ていたんだ?」と驚いています。たぶんゲムスパは身分に縛られない生き方がしたかったのでしょう。それにしても街並みがきれいですね。『アノ1404』(北米向けタイトルは『Dawn of Discovery』)のときもそうでしたが、その絵画のようなグラフィックに「これリアルタイムで動くの?」なんて驚きがありました。
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積もる話はたくさんあるようですが、父の葬儀が始まるので参加しなければなりません。そこにいたのは叔父のエドバルド。見るからに悪人ヅラです。「裏切り者の子ども」などと嫌味を言われ、ハンナは「必ず父の汚名を晴らす」と誓います。妹がやけに男前です。
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ハンナが残った財産をすべて使って買い取った島「ディッチウォーター」に到着。ここを発展させ、叔父のエドバルドに対抗する力を手に入れるのが目的です。しかしエドバルドはこれを知り、「あの荒れた島で何ができる」とあざ笑っています。目に物を見せてやりましょう。
さあ、町づくりだ!
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町づくりが始まりました。交易所(港)はすでにあるので、まずは町の中心地になるマーケットを作ります。このマーケットを中心に住居や生産施設などを作っていくのが、本シリーズの伝統的なスタイルです。基本的なところは同じなので、過去作を遊んだことのある方ならチュートリアル無しでもプレイできるかと思います。
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次にマーケットから交易所への道路を作ります。マーケットを含めた建設物は、港と道路がつながっていないといけないというルールがありますので、道路のつなぎ忘れがないよう注意しましょう。そもそも道路がないと人の移動や物資の運搬が行われませんしね。交易所では物資の輸出入も行えます。
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移民を招くために、住居を設置していきます。住居にはグレードがあり、最初は農家から始まります。住民のニーズを満たし、その数が住居の上限に達すればアップグレードが可能。別の階級の人たちを住ませることができます。例えば農家をアップグレードすれば労働者の住居になります。階級によって運営できる施設が違います。
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マーケットを囲むようにしてどんどん住居を置いていくと、移民たちがやってきて町がにぎやかになってきました。海辺に「漁場」を作って食料生産もしましょう。クエストクリアの条件は農家の人口が50人になることなので、もうしばらく待つ必要があります。時間は画面右上のアイコンで早送りすることもできます。
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エドバルドはゲムスパたちの父への中傷を続けていました。記事の内容からして父・サミュエルは、戦略的に重要な島「プロスペリティ」を売却したことで、裏切り者とされてしまったようです。そして刑務所で怪死。その後を継いだエドバルドが救世主扱いとなっていますが、陰謀の臭いがプンプンしますね。
生産施設の建設で町を豊かに!
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人口が50人に達したことで、町の東にある廃墟を片付けることができるようになりました。この廃墟ですが、町の拡大を制限するように配置されており、一定の人口がないと平地にすることができません。片付けた後には「木板」が手に入ります。
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建設には木板が必要なので、廃墟から得たものだけではいずれ尽きてしまいます。木板を生産できるようにしなければなりません。この手のシミュレーションゲームの鉄板である「木こり小屋」と「製材所」を作って生産体制を整えましょう。物資を運搬・保管するための施設「倉庫」も必要ですので建てておきます。
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人はパンのみにて生くるものにあらず。次は住民の生活を豊かにして、彼らの幸福度を上げてやりましょう。「ジャガイモ農場」でジャガイモを生産し、それを「アルコール蒸留所」でシュナップス(ドイツの焼酎。アルコール度数の高い無色透明の蒸留酒の総称)にします。それと娯楽施設の「パブ」や、作業着を作るための「羊の牧草地」と「織物工場」も設置。倉庫も忘れずに。
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エドバルドの拠点であるプライドサンズでは、エドバルドに不満を抱く労働者たちが暴動を起こしていました。労働者の団体を町の中から5つ見つけ、ディッチウォーターに移住させるクエストです。町が結構広くてごちゃごちゃしているため、「ウォーリーをさがせ!」をやっているかのような感じでした。
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先ほどの新聞の編集長も離反。彼の所有する船を使っていいとのことなので、これで労働者たちをディッチウォーターに運びます。労働力を取られてエドバルドは怒っていますが、自業自得でしょう。
農業の時代から工業化の時代へ!
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女王陛下の大使、アーチボルト・ブレイク郷の登場。ゲムスパの父の理解者で、公平な裁判が行われなかったことを悔んでいます。さらなる町の発展のためにゲムスパは王室から海運免許を取りたいのですが、それにはまずエドバルドに父の葬儀代を返さなければならないとのこと。
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町の安全のために消防署を設置。それと海運には船が必要なので、帆船ドックを建設して船を造りたいところですが、島には農家しかいません。住居をアップグレードして労働者を増やしましょう。ただしその住居に住んでいた農家はいなくなります。調子に乗ってどんどんアップグレードすると農家が必要な施設が人手不足になるので注意。
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羊の牧草地と織物工場で火事発生!先ほど消防署を建てておいたので、消防員たちがすぐに駆け付けてきてくれました。火は消し止められ、建物は全焼せずに済んだ模様。
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住民から採石場などの生産性を上げるアイテム「ドリル」をもらいました。アイテムは持っているだけでは効果を発揮しないので、装備しなければなりません。この装備するための施設が「労働組合」です。スロットが3つあるので、アイテムを3つまで装備することができます。
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帆船ドックを建てるためには、木板以外にレンガが必要です。材料となる粘土を掘り出すための「粘土穴」、そして「レンガ工場」を建設。レンガ1つ作るのに、結構時間がかかりますね。
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船の帆を作るための「帆布工場」も建設。材料として羊毛が必要なので、羊の牧草地も増やします。着々と町の生産体制が調ってきています。
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囚人を乗せた船が難破したとの知らせを受け、助けに向かいます。彼らを刑務所まで連れていけば借金をすべて帳消しにしてやるとエドバルドに言われました。しかしどうやら囚人たちはゲムスパの父が信頼していた者たちで、政治犯として不当に告訴されていた様子。借金帳消しのために刑務所まで運ぶか、それとも彼らを助けるか。この先はあなた自身の目で確かめてみてください。
安心して遊べるいつもの面白さ
本作は「いつもの『アノ』シリーズ」という基本を押さえており、取っ付きやすい作りになっています。特にキャンペーンは段階的に遊び方を教えてくれるので、シリーズ初プレイの方はぜひともキャンペーンから始めてみてください。逆にシリーズ経験者は、基本的なところはこれまでと同じなので、「キャンペーンは進行が遅くてダルい」と感じるならば、いきなりサンドボックスから始めてしまうのがいいかと思います。
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それとバグなのかメモリ使用量が多いせいかはわかりませんが、一度終了した後にまた起動してセーブデータをロードすると、ゲームが落ちたり画面が真っ白になったりすることがありました。何度やっても駄目だったのでセーブデータが壊れたのかと思いましたが、筆者の環境ではPCを再起動することで直りました。セーブデータを読み込まないときのご参考までに。
筆者的には帆船や蒸気船にノスタルジックなロマンを感じるので、本作の舞台設定は感情移入しやすくてよかったです。今後も歴史もの路線を期待したいところですね。本作の正式版は4月16日に配信されますが、予約済みの方はUplayストアで事前ダウンロードが可能です。リリースと同時に遊びたいという方は、今からダウンロードしておくのがいいでしょう。筆者もUplayで予約購入しているので、ダウンロードして完全版のリリースを待ちたいと思います。
製品情報
『アノ1800』
開発・販売:ユービーアイソフト
対象OS:Windows
通常価格:7,776円
サポート言語:日本語、英語など11カ国語
Uplayストアページ:https://store.ubi.com/jp/%E3%82%A2%E3%83%8E-1800/5b647010ef3aa548048c5958.html
Epic Gamesストアページ:https://www.epicgames.com/store/ja/product/anno-1800/standard-edition
■筆者紹介:渡辺仙州 主に中国ものを書いている作家。母は台湾人。人生の大半を中国と台湾で過ごしています。シミュレーションゲーム・ボードゲーム好きで、ブログ「マイナーな戦略ゲーム研究所」を細々と運営中。著書に「三国志」「封神演義」「封魔鬼譚」(偕成社)、「文学少年と運命の書」(ポプラ社)、「三国志博奕伝」(文春文庫)など。Twitterはこちら。