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『バイオハザード』をリスペクトして開発された、ゾンビが硬くて強い高難度の三人称視点サバイバルホラー『Daymare: 1998』のプレイレポートをお届けします。
本作はイタリアのインディーデベロッパーInvader Studiosが開発し、Destructive Creations、All in! Gamesによって9月17日にSteamで配信されました。本作の元となったのは、Invader Studiosが『バイオハザード2(Resident Evil 2)』のファンメイド作品として開発していたリメイク作品『Resident Evil 2 Reborn』です。
『バイオハザード2』は1998年に初代PSで発売された人気サバイバルホラーゲームで、筆者も当時プレイしていました。場面場面で画面のアングルが変わるうえ、ラジコンっぽい操作で自キャラを動かさなければならなかったので、慣れるまで結構大変だった記憶があります(恐怖を演出するため、あえて操作を難しくしたらしいですが)。それをTPS風にして現代版として蘇らせようとしたのですが(あくまで非営利・無料配布で)、2015年にカプコンが公式リメイクを発表したことで開発は中止。2016年にオリジナル作品『Daymare: 1998』として再スタートしました。
本作は『バイオハザード4』以降の三人称視点を採用していますが、ゲーム自体は初期のころの『バイオハザード』をリスペクトした内容です。近年のホラーアクションはPCやコンシューマ機の性能も上がったことから大量のゾンビが画面狭しと出てきて、それをなぎ倒していくタイプのものが多くなってきています。
一方初期の『バイオハザード』と言えば、ゾンビの数自体は少ないのですが1体1体が強く、「いかにして弾薬やハーブを節約するか」といったことも考えなければならないことから、遭遇したくない敵としてプレイヤーの前に立ちはだかっていました。
そのような初期『バイオハザード』の「ゾンビの怖さ」を思い起こさせるような強さを持つゾンビが登場するという本作。いったいどんなゲームに仕上がっているのか。さっそくプレイしていきましょう。
秘密研究所の調査に向かえ!
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ゲーム開始時に「デイメアモード」と「ビギナーモード」の2種類から難度を選択できます。最初なので「ビギナーモード」から始めましょう。エイムについては「手動」「アシスト」「自動」から選べます。これはゲーム中でもオプションから変更できますので、気に入らなかったらあとから変更すればいいかと。
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ゲームが始まるとムービーが流れます。いかにも生物兵器を作っているような秘密研究所で謎の腐敗性ガスが発生。職員がゾンビ化して人を襲い、職員の一人であるJorden博士は救援要請をしました。
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研究所との連絡が途絶えてから12時間後。特殊部隊「H.A.D.E.S.」はヘリで研究所へと調査に向かいました。その一員である主人公のLievもヘリに乗っています。しかしホラーでヘリが出てくると、かなりの確率で墜落しそうです
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研究所のヘリポートに降り立ったLiev。ガスマスクを装着していて、結構威圧感のある風貌。ここから操作可能になります。それとヘリは墜落しないで済んだようです(あとでどうなるかは知りませんが)。
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ゲームはXBOXパッドでプレイ。操作方法ですが、左スティックが移動、右スティックが視点操作、LBを押しながら移動で走ります。さっそく弾薬が落ちていたのでAボタンで拾いましょう。後述しますが、本作では弾薬のリロードが多少面倒なことになっています。
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Backボタンを押すことで、右腕につけているタブレットがアップされます。ここでインベントリやマップ、健康状態、拾った資料を見ることができます(LB/RBで切り替え)。『バイオハザード』のようにアイテムを組み合わせることも可能です。文字が結構小さいので、大画面でないと読みづらいかもしれません。
いきなり死体だらけ
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ブリッジの一番奥に研究所の入り口がありました。開けてみると、いきなり多数の死体がお出迎え。動かないので、ゾンビではないようですね。こうやって油断させておいて、そばを通ったときにいきなり襲ってくるみたいなこともありそうなので、注意して進みましょう。
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十字キーの上で、フラッシュライトを点灯することができます。どの死体も結構損傷がひどいですね。いったい何があったのでしょうか。
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階段を下りていくと、広いローディングベイに出ました。火災が起こったようで、爆発して破損したタンクや多くの死体が転がっています。入り口にあった死体とは異なり、骨と肉だけのグロテスクな死体もありました。
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奥の事務室に入ると、生存者のAl Powellを発見。足をケガしているようです。こういう展開は『バイオハザード2』っぽいですね。
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Al Powellは足のケガがひどく、ここから動けないようです。研究所を調査しなくてはならないことをLievが伝えると、Al Powellは「ここで待っている」と言いました。それからなぜか射撃の説明が入ります。十字キーで武器の切り替え。LTでエイムをつけて、RTで撃つ。しかしこの場で射撃の対象となるのは……。
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ちょっとアレな展開のあとに、銃弾についての説明が入ります。本作では一般的なFPSやTPSのように、リロードすると自動的に銃弾が継ぎ足されるわけではありません。現在のマガジンを外し、インベントリにある予備のマガジンを入れるという作業をします。
リロードには2種類あり、Xボタンを短く押すことで装着しているマガジンを床に捨て(あとで拾えます)、新たなマガジンを入れる「ファストリロード」と、Xボタン長押しでマガジンを捨てずに(インベントリに戻る)新たなマガジンと入れ替える「スローリロード」です。
しかも本作ではマガジンと弾薬が「別のアイテム」として扱われます。空になったマガジンは、インベントリ画面で弾薬と組み合わせて「弾入りのマガジン」を作らなければなりません(画像参照)。これをリアルと思うか面倒と思うかで評価が分かれそうです。
謎解きと死にゲーの始まり
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ゾンビに襲われることもなく、最初の謎解きの場所に到着。初期の『バイオハザード』と言えば、やはりパズルゲームのような謎解きですね。「警察署になんでこんな仕掛けがあるんだ」と突っ込みながら遊んでいた記憶があります。
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各部屋に電力を供給する装置。どこに供給するかについてはすぐそばにヒントがありますので、それを撮影しておくとスムーズに解けるでしょう。SteamではF12でスクリーンショットを撮影することができます。
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電力供給後に操作をせず、ちょっと目を離していたときに、いきなり背後からゾンビが襲い掛かってきました。慌ててXBOXパッドを手に取り、Aボタン連打で振りほどきます。本作のゾンビは噛み付くというか、毒液のようなものを吐いてきますね。
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引き剥がしたあとに、すぐに拳銃を構えて射撃。パッドのせいかエイムを合わせるのが難しい。しかもゾンビが硬くて、連射しまくってもなかなか倒れてくれません。弾薬もあまりないし、戦うこと自体がかなりのリスクになっています。
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何とか倒して別の部屋へ行くと、床に転がっていた女性研究員が立ち上がって襲ってきました。こいつも硬い。多くの弾薬を消費しつつ、何とか倒します。
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しばらく周囲を調べていたら、突然背後からゾンビの攻撃。先ほど倒したはずの女性研究員です。倒れたあとにすぐ立ち上がらず、少し時間を置いてから油断したところを襲ってくるのがイヤらしい。
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女性研究員を倒したものの、HPはもう真っ赤。そんな状態のところにゾンビ化した警備員が襲ってきました。撃っても撃ってもひるまずに近づいてきます。
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抵抗も虚しく、接近されて毒液を吐かれてダウン。そして初期の『バイオハザード』リスペクトな「YOU DIED」のゲームオーバー画面です。リメイク版だと「YOU ARE DEAD」になっていますね。
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死亡後はチェックポイントまで戻されました。先ほど謎解きをした場所ですね。本作のセーブは、チェックポイントでのオートセーブという形を取っています。場所によっては結構戻されることがあります。できるだけ死なないようにしたいものです。
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先へ進むと敵の数も増えてきました。これらを全部相手していたら弾薬がいくらあっても足りません。というか、本作は本当に弾薬不足です。初期の『バイオハザード』で、弾薬のやりくりで精神を消耗していた記憶が戻ってきました。
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ドアによってはハッキングツールを使ってロックを解除しなければなりません。ハッキングはミニゲームになっていて、上下する白いバーをタイミングよくストップさせます。時間制限もあるので注意。ハッキングが必要な部屋には貴重なアイテムもありますので、できるだけ解除していきましょう。
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次の謎解きにたどり着きました。1番から4番までのチャンバーを適切な温度に設定します。温度は各チャンバーを回ればすぐに分かります。
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温度設定が終わると、4番チャンバーが開きました。見に行くと、強そうな敵が登場。ゾンビとは違い、この研究所で作られた生物兵器でしょうか。ボス戦の開始です。
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遠めの距離から敵を撃ち続けますが、これまでのゾンビとは比にならない硬さです。弾薬が足りるかどうか心配になってきました。
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接近されてしまい、殴られて死亡。またもや「YOU DIED」の画面です。うーん、強い。というか、硬い。足を止めて撃ってると近づかれてしまいますね。
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チェックポイントからの再スタート。近づかれないよう、撃っては逃げるを繰り返すヒットアンドアウェイ作戦で対処することにしました。それでもなかなか倒れてくれない。そもそも攻撃が効いているのかよくわからない。果たしてLievは勝てるのか。この続きはぜひとも自身でプレイしてみてください。
リソース管理が重要な高難度のサバイバルホラー
本作はゲーム自体の難度は高く、あまり考えずに敵と戦っていると弾薬が尽きてしまいます。「サバイバルホラー」というジャンルの通り、サバイバルゲームで必要なリソース管理が重要になってくるでしょう。「ゾンビが強いし硬いので、できるだけ敵と遭遇したくない」という初期の『バイオハザード』を遊んでいたときの感覚が思い起こされました。
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それと本作は『バイオハザード』ファンによって開発されただけあって、所々リスペクト的なものが登場します。初代から『バイオハザード』を遊んでいたゲーマーにとってはニヤリとする場面も多いでしょう。謎解きについては、基本的にはそれほど難しくはないのですが、いくつか分かりづらいものもあります(文字入力をしなければならないものなど)。現在Steam版は日本語サポートがないため、英語が分からないと厳しいかもしれません。日本語版については2020年初頭にPC/PS4で発売されるとのアナウンスがあったので、初期の『バイオハザード』が好きな方はぜひとも本作をプレイしてみてください。
製品情報
『Daymare: 1998』
開発・販売:Invader Studios、Destructive Creations、All in! Games
対象OS:Windows
通常価格:3,490円
サポート言語:英語、イタリア語など全7カ国語
Steamストアページ:https://store.steampowered.com/app/842100/Daymare_1998/
■筆者紹介:渡辺仙州 主に中国の歴史ものを書いている作家。母は台湾人。人生の大半を中国と台湾で過ごす。中国の国立大学で9年間講師を勤め、現在台湾在住。シミュレーションゲーム・ボードゲーム好きで、ブログ「マイナーな戦略ゲーム研究所」を運営中。著書に「三国志」「封神演義」「封魔鬼譚」(偕成社)、「文学少年と運命の書」(ポプラ社)、「三国志博奕伝」(文春文庫)など。Twitterはこちら。